美しい夜の獣

ぶんぶんごま

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16話 拐われる

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次の日、昨日行けなかった山に来ていた

あの男がまた来るかもしれない
そうすると家にいるのはまずいなと思い、朝早くでてきたのだ

山に来るとウルはすぐに走っていって獲物をとりにいくのだが今日は俺の横にくっついていた

昨日あれからウルは以前よりもベッタリと俺にくっついていた
余程不安なのだろう
そんなウルを見ているのはつらかった

今度来たらもう2度と来れないようにしてやろうと心に誓う



山に入って少したった頃、徐々にウルの様子が戻ってきて山を走りはじめた
良かったと俺はほっと息をはいたのだった。



午前中には特に収穫もなく終わった
食べれる野草があったので少しとってきたくらいだ

お腹がすいてきたので、持ってきたご飯を食べようと準備をしようといい感じの切り株を探していたときだった

ウルの声がかすかに聞こえた気がした

顔をあげるとさっきまでいたところにウルの姿がなかった
周りを見渡すがみあたらない
いつもなら走り回ってどっか行ってることはよくあることだが今日は違う
少し離れても不安なのか俺の目の届くところにいたのだ

急に不安が襲う

「ウル!!ウルどこいった?!」

………

いつもならすぐに吠えてくるのだがなにも聞こえない

冷や汗が吹き出す

「ウル!!!返事しろウル!!!」

さっきまでウルがいた場所へ走った

「!!」

結構離れたところに人影が見えた。山を降りていく後ろ姿が見える
男が3人。
何かを抱えているようだ
その男達の間から大きなふさふさしたものが垂れていた

「ウルッ!!!」

ふさふさしたものはウルの尻尾だった

何かやられたのか?!
ぐったりとしているのが見えて血の気がひく

「お前らっ!!ウルに何をしたっ?!!」

山道を全力でかけおりる
男たちは先に山を降り用意していたのか降りた先にある車に乗り込んだ

このままだとウルが連れてかれる…っ
俺は転がる勢いで山を降りた

しかし、俺が山を降りたとき目の前を車が走り去っていってしまったのだった


「ウル…!!!」


俺はすぐにそいつらの行った方向へ軽トラを走らせた。
だが、少し行ったところで行き止まりになってしまいどこに行ったらいいか、どうしたらいいかわからなくなってしまった


あいつらはなんなんだ?!
ウルをどうするつもりだ…!
あんなにも怯えていたウルの姿を思い出す

守りきれなかった…
ウル…ッ!

こうしてるうちにもウルは何をされているかわからない
どうしたらいいんだ…っ

…ふと思い出すあいつらのこと町で噂になっていたと言っていた
そうだ智也ならなにか知ってるかもしれない…!!

俺は軽トラを飛ばし智也の元へ行った



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