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15話 訪問者
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それは突然のことだった
朝ごはんを食べたあと今日は山に行こうと準備しているときだった
ゴンゴンと玄関を叩く音がした
めずらしく村人ではない誰かが訪ねてきたようだ
村の人は玄関を開けて声をかけてくるからすぐに誰がきたかわかるからだ
出てみると白衣を着た痩せた40代くらいの男が立っていた
見覚えはない
目が異様にギラギラとしているのが不気味だ
なんだか嫌な感じの男だった
「誰だ?」
そう男に訪ねる
「朝早くに申し訳ない…
私は逃げた犬を探しているのですが、近くであなたが私共の犬と暮らしているとお聞きしまして」
私共の犬?
心当たりはウルしかいない
俺はウルに飼い主がいるならと見つかることを願っていた
しかし、それはあまり喜ばしいことじゃなかったのかもしれないとこの男の感じをみて思った
いや、そもそも本当にウルの飼い主なのか?
違う可能性もある
「本当に探している犬かどうか一致しないと、渡すことはできない。こちらも保護してる責任があるのでな」
「でしたら私にみせてください。そうしたらすぐにわかることでしょう」
ウルとこいつを会わせてはいけない気がした
というか本当にこの男からは嫌な感じがする
なにがひっかかるんだろうか
「その前にいろいろ聞かせてくれ。その犬がいなくなったのはいつ頃なんだ?」
「たしか…1か月前でしたね」
俺がウルと出会った頃と時期は合っている
ふと出会った頃のウルを思い出す
何ヵ月も洗われていないような汚れた毛並み
そして痩せ細った体
「なるほど。じゃあその犬の種類は?毛並みの色はや性格などは?」
「犬種は雑種なので…しかし狼のような犬で。毛並みは灰色だったかな。性格は気が荒く獰猛で大変手を焼きましたよ」
……
あんなに美しい銀色の毛並みを灰色などと汚れていたとしてもそれを飼っていたものが知らないわけはないだろう
もし本当に飼っていたとして、ウルはずっと汚れたままだったということだろうか
それにウルは気が荒くもないし獰猛でもない
これだけ違うと拾われた犬がいるってことだけ聞いて来たのだろうか
「灰色?それだと家にいる犬ではないな」
「何を言いますか!そんなわけはない私共の犬を渡したくなくてそう言っているんじゃないんですか?」
絶対に私共の犬だ!と男はすごい剣幕で言いはじめた
「そんなことはない。あの毛色は灰色などではないし、性格も大人しく賢い。あんたの犬じゃない帰ってくれ」
そう言って玄関を閉めた
あれはいくら言ってもダメなやつだ
「会えばわかりますから会わせてくださいよ!私共の犬ですよ!ふざけないでください!」
玄関の外でわめいているが無視した
リビングに行くとウルはいなかった
どこにいった?寝室か?
寝室に行き、部屋をみわたすと隅っこにいるウルをみつけた
「フーッ…!フーッ…!」
牙を剥きだしにしてウルは威嚇していた
…!
驚いた
ウルが威嚇しているところははじめてみる
いつもおとなしいウルがこんな風になるとは…表にいる男は全くの無関係ってわけじゃないということか
しかし、あのウルがこうも…
ただ事じゃないな
「ウル」
「………クゥゥ…」
俺がウルを呼ぶと威嚇するのをやめて小さな声で鳴いた
近づいて逆立っている毛を撫でてやる
「ウル、大丈夫だぞ。こんなに嫌がってるんだから嫌で逃げ出してでもきたんだろ?そんな場所に戻したりしないからな。大丈夫だ」
「…ワゥ」
ウルは俺にもたれかかってきて
安心するのかずっと俺の匂いをかいでいた
ふと何日か前、智也に聞いた話を思い出した
「不気味なやつらがなにかを探している」ということを
さっきのやつのことだろう
探してるのはウルか…
なんだかヤバそうな感じだな
男はその後少しの間外にいたが諦めて帰っていったようだった
朝ごはんを食べたあと今日は山に行こうと準備しているときだった
ゴンゴンと玄関を叩く音がした
めずらしく村人ではない誰かが訪ねてきたようだ
村の人は玄関を開けて声をかけてくるからすぐに誰がきたかわかるからだ
出てみると白衣を着た痩せた40代くらいの男が立っていた
見覚えはない
目が異様にギラギラとしているのが不気味だ
なんだか嫌な感じの男だった
「誰だ?」
そう男に訪ねる
「朝早くに申し訳ない…
私は逃げた犬を探しているのですが、近くであなたが私共の犬と暮らしているとお聞きしまして」
私共の犬?
心当たりはウルしかいない
俺はウルに飼い主がいるならと見つかることを願っていた
しかし、それはあまり喜ばしいことじゃなかったのかもしれないとこの男の感じをみて思った
いや、そもそも本当にウルの飼い主なのか?
違う可能性もある
「本当に探している犬かどうか一致しないと、渡すことはできない。こちらも保護してる責任があるのでな」
「でしたら私にみせてください。そうしたらすぐにわかることでしょう」
ウルとこいつを会わせてはいけない気がした
というか本当にこの男からは嫌な感じがする
なにがひっかかるんだろうか
「その前にいろいろ聞かせてくれ。その犬がいなくなったのはいつ頃なんだ?」
「たしか…1か月前でしたね」
俺がウルと出会った頃と時期は合っている
ふと出会った頃のウルを思い出す
何ヵ月も洗われていないような汚れた毛並み
そして痩せ細った体
「なるほど。じゃあその犬の種類は?毛並みの色はや性格などは?」
「犬種は雑種なので…しかし狼のような犬で。毛並みは灰色だったかな。性格は気が荒く獰猛で大変手を焼きましたよ」
……
あんなに美しい銀色の毛並みを灰色などと汚れていたとしてもそれを飼っていたものが知らないわけはないだろう
もし本当に飼っていたとして、ウルはずっと汚れたままだったということだろうか
それにウルは気が荒くもないし獰猛でもない
これだけ違うと拾われた犬がいるってことだけ聞いて来たのだろうか
「灰色?それだと家にいる犬ではないな」
「何を言いますか!そんなわけはない私共の犬を渡したくなくてそう言っているんじゃないんですか?」
絶対に私共の犬だ!と男はすごい剣幕で言いはじめた
「そんなことはない。あの毛色は灰色などではないし、性格も大人しく賢い。あんたの犬じゃない帰ってくれ」
そう言って玄関を閉めた
あれはいくら言ってもダメなやつだ
「会えばわかりますから会わせてくださいよ!私共の犬ですよ!ふざけないでください!」
玄関の外でわめいているが無視した
リビングに行くとウルはいなかった
どこにいった?寝室か?
寝室に行き、部屋をみわたすと隅っこにいるウルをみつけた
「フーッ…!フーッ…!」
牙を剥きだしにしてウルは威嚇していた
…!
驚いた
ウルが威嚇しているところははじめてみる
いつもおとなしいウルがこんな風になるとは…表にいる男は全くの無関係ってわけじゃないということか
しかし、あのウルがこうも…
ただ事じゃないな
「ウル」
「………クゥゥ…」
俺がウルを呼ぶと威嚇するのをやめて小さな声で鳴いた
近づいて逆立っている毛を撫でてやる
「ウル、大丈夫だぞ。こんなに嫌がってるんだから嫌で逃げ出してでもきたんだろ?そんな場所に戻したりしないからな。大丈夫だ」
「…ワゥ」
ウルは俺にもたれかかってきて
安心するのかずっと俺の匂いをかいでいた
ふと何日か前、智也に聞いた話を思い出した
「不気味なやつらがなにかを探している」ということを
さっきのやつのことだろう
探してるのはウルか…
なんだかヤバそうな感じだな
男はその後少しの間外にいたが諦めて帰っていったようだった
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