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第4章 魔界編
第205話 最高神セルト
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この世界にある天界は主に4つの区画に分かれている。
黄金の神ユリウスがいる第一神界都市。
女神マリアがいる第二神界都市。
剣神ジンクがいる第三神界都市。
そして、最高神セルトが住まう神殿に続く転移門が設置されているかつて始まりの者達が暮らした楽園を模して造られたと言われている【神の庭】。
最高神セルトがいる神殿に向かうにはまず【神の庭】に行く必要があるのだが、その【神の庭】へ行くにも、各天界都市に1つだけある転移門を通って行かなければならない。
ちなみにだが、3神が暮らしているそれぞれの都市には数多くの天使が暮らしていて、3神には天使たちへの命令権を与えられているが、最終的な命令権は全て天界に頂点に君臨する最高神セルトが持っている。
ユリウスは第一天界都市にある唯一の転移門から、【神の庭】へとやってきていた。
ユリウスがやってきて、1分も経たないうちに3つ横並びになっている転移門の中からマリアとジンクも現れた。
「ここに来るのも久しぶりね。相変わらず無駄に広い事で」
やってきたマリアは不満げな態度を隠さず、【神の庭】を眺める。
【神の庭】はただ広い草原が広がるだけの基本的には何もない場所だ。
一応、申し訳程度の茶飲み場のような施設もあるが、普段使われる事はほとんどない。
そんな【神の庭】はユリウスにとってセルトがいる神殿に続く忌むべき場所であると同時に短い期間だが、彼女とかけがえのない時間を過ごした思い出の地でもある。
「いいから行くぞ。待たせるわけにも行かないからな」
マリアの言葉にユリウスがそう返すと、3人は【神の庭】の中央部にある転移門を目指し始めた。
ただ広いと言っても、実際の広さは直径5kmほどしかない半球体でオリジナルの始まりの者達の楽園と比べるまでもなく狭い。
それでも空を見れば暗い闇の世界が広がっていて、その向こうには星が散らばる様に光っている光景は彼女に言わせてもかなり夜のオリジナルの始まりの楽園と近いらしい。
中心部までは2,5km程しかない距離を飛び、ユリウス達は数分ほどで目的の転移門までたどり着いた。
目の前にある直径3mを越える転移門を見て、ユリウスはかつて仲間と共に旅をした魔王城にやってきた時のような感情を覚えた。
実際に戦闘になるかはユリウスには分からないが、この転移門の先にいる敵はかつて決死の覚悟で挑んだ魔王よりも遥かに強大な力を持つ男だ。
それでもユリウスは気後れするような感情は全くない。
かつてユリウスが人類を魔王から救う為に挑んだ時と同じ——いや、それ以上の決意をもってユリウスは今日この日まで過ごしてきたのだから。
「行こう、マリア、ジンさん」
「あぁ」「そうね」
ユリウスの言葉にそう答えたジンクとマリアと共にユリウスは最高神セルトが待つ神殿へと続く転移門へと入って行く。
そうして転移門を潜った先には約100年ぶりにやってきた最高神セルトの神殿があった。
それ以外の外の景色は先程の【神の庭】とそれほど変わりはない。
ユリウス達が最高神の神殿へと視線を送ると門の前には少女の姿をした天使2人が立っていた。
そして天使たちは転移してきたユリウス達に気付き、こちらへと歩いてくる。
「「お久しぶりでございます。ユリウス様、マリア様、ジンク様。セルト様がお待ちです。ご案内いたします」」
「……あぁ、頼む」
まるで打ち合わせをしていたかのように無表情でぴったりと音量も口調も合った金髪の天使の少女2人はそう言ってユリウス達を神殿の中へと促した。
彼女たちは最高神セルトに直接仕える天使でユリウスが3神になる前から最高神セルトに仕えている。
そんな彼女たちに促されるまま、ユリウス達は神殿内部へと入り、そのまま長く広い廊下を歩いて行く。
神殿はその大半が石造りで作られていて、その全てが高純度の魔石によってできている。
その効果かか神殿内部は見た目と比べると、常に適温に調整されていてかなり過ごしやすい気温になっている。
そんな神殿内部を天使2人に案内されたユリウス達は1分ほどで神殿内最奥にある神の間に辿り着いた。
「「私達はここでお待ちします。ユリウス様、マリア様、ジンク様どうぞお入りください」」
息の合った2人の天使がそうユリウス達に告げると、神の間へと続く大きな扉がゆっくりとひとりでに開き始めた。
そうして開かれた先にある神の間の最奥の玉座にその男はいた。
最高神セルト。
創世神リティスリティアが直々に生み出した唯一の使徒にして、かつて最も彼女から寵愛と信頼を受けていたこの世界最初の神。
外見は白の長髪でその顔はこの世の者とは思えないほどまでに整っていて、抑えても隠し切れない程の魔力とオーラを纏わせている。
その魔力総量は他の始まりの者の使徒の中でも1,2を争うまでに高く、最も始まりの者に近い実力を持つとされるこの世界最高クラスの実力者だ。
セルトはユリウス達の姿を確認すると言った。
「よく来たね。待っていたよ。ユリウス、マリア、ジンク。さぁこちらへ。今日は君達に大事な話があるんだ」
そんなに大きくないのにとても澄んで響くセルトの声に促されて、ユリウス達は神の間へと入って行った。
黄金の神ユリウスがいる第一神界都市。
女神マリアがいる第二神界都市。
剣神ジンクがいる第三神界都市。
そして、最高神セルトが住まう神殿に続く転移門が設置されているかつて始まりの者達が暮らした楽園を模して造られたと言われている【神の庭】。
最高神セルトがいる神殿に向かうにはまず【神の庭】に行く必要があるのだが、その【神の庭】へ行くにも、各天界都市に1つだけある転移門を通って行かなければならない。
ちなみにだが、3神が暮らしているそれぞれの都市には数多くの天使が暮らしていて、3神には天使たちへの命令権を与えられているが、最終的な命令権は全て天界に頂点に君臨する最高神セルトが持っている。
ユリウスは第一天界都市にある唯一の転移門から、【神の庭】へとやってきていた。
ユリウスがやってきて、1分も経たないうちに3つ横並びになっている転移門の中からマリアとジンクも現れた。
「ここに来るのも久しぶりね。相変わらず無駄に広い事で」
やってきたマリアは不満げな態度を隠さず、【神の庭】を眺める。
【神の庭】はただ広い草原が広がるだけの基本的には何もない場所だ。
一応、申し訳程度の茶飲み場のような施設もあるが、普段使われる事はほとんどない。
そんな【神の庭】はユリウスにとってセルトがいる神殿に続く忌むべき場所であると同時に短い期間だが、彼女とかけがえのない時間を過ごした思い出の地でもある。
「いいから行くぞ。待たせるわけにも行かないからな」
マリアの言葉にユリウスがそう返すと、3人は【神の庭】の中央部にある転移門を目指し始めた。
ただ広いと言っても、実際の広さは直径5kmほどしかない半球体でオリジナルの始まりの者達の楽園と比べるまでもなく狭い。
それでも空を見れば暗い闇の世界が広がっていて、その向こうには星が散らばる様に光っている光景は彼女に言わせてもかなり夜のオリジナルの始まりの楽園と近いらしい。
中心部までは2,5km程しかない距離を飛び、ユリウス達は数分ほどで目的の転移門までたどり着いた。
目の前にある直径3mを越える転移門を見て、ユリウスはかつて仲間と共に旅をした魔王城にやってきた時のような感情を覚えた。
実際に戦闘になるかはユリウスには分からないが、この転移門の先にいる敵はかつて決死の覚悟で挑んだ魔王よりも遥かに強大な力を持つ男だ。
それでもユリウスは気後れするような感情は全くない。
かつてユリウスが人類を魔王から救う為に挑んだ時と同じ——いや、それ以上の決意をもってユリウスは今日この日まで過ごしてきたのだから。
「行こう、マリア、ジンさん」
「あぁ」「そうね」
ユリウスの言葉にそう答えたジンクとマリアと共にユリウスは最高神セルトが待つ神殿へと続く転移門へと入って行く。
そうして転移門を潜った先には約100年ぶりにやってきた最高神セルトの神殿があった。
それ以外の外の景色は先程の【神の庭】とそれほど変わりはない。
ユリウス達が最高神の神殿へと視線を送ると門の前には少女の姿をした天使2人が立っていた。
そして天使たちは転移してきたユリウス達に気付き、こちらへと歩いてくる。
「「お久しぶりでございます。ユリウス様、マリア様、ジンク様。セルト様がお待ちです。ご案内いたします」」
「……あぁ、頼む」
まるで打ち合わせをしていたかのように無表情でぴったりと音量も口調も合った金髪の天使の少女2人はそう言ってユリウス達を神殿の中へと促した。
彼女たちは最高神セルトに直接仕える天使でユリウスが3神になる前から最高神セルトに仕えている。
そんな彼女たちに促されるまま、ユリウス達は神殿内部へと入り、そのまま長く広い廊下を歩いて行く。
神殿はその大半が石造りで作られていて、その全てが高純度の魔石によってできている。
その効果かか神殿内部は見た目と比べると、常に適温に調整されていてかなり過ごしやすい気温になっている。
そんな神殿内部を天使2人に案内されたユリウス達は1分ほどで神殿内最奥にある神の間に辿り着いた。
「「私達はここでお待ちします。ユリウス様、マリア様、ジンク様どうぞお入りください」」
息の合った2人の天使がそうユリウス達に告げると、神の間へと続く大きな扉がゆっくりとひとりでに開き始めた。
そうして開かれた先にある神の間の最奥の玉座にその男はいた。
最高神セルト。
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外見は白の長髪でその顔はこの世の者とは思えないほどまでに整っていて、抑えても隠し切れない程の魔力とオーラを纏わせている。
その魔力総量は他の始まりの者の使徒の中でも1,2を争うまでに高く、最も始まりの者に近い実力を持つとされるこの世界最高クラスの実力者だ。
セルトはユリウス達の姿を確認すると言った。
「よく来たね。待っていたよ。ユリウス、マリア、ジンク。さぁこちらへ。今日は君達に大事な話があるんだ」
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