144 / 255
第4章 魔界編
第144話 謎の2人組
しおりを挟む
レナザード達が宿を出て、冒険者協会へと向かっていた頃——
賑わい合う冒険者協会の待合所でシステア達『光の剣』の面々はだべっていた。
今朝、クドウ達と連絡を取り合ってエルナシティアへと約束通り向かう事になったのである。
クドウ達との待ち合わせ時間よりもかなり早く到着してかなり暇だったのかガランが特に誰に言うでもなく割と大きな声で呟いた。
「愛しのクドウさんはまだっスかねー?」
「や、やめんか。馬鹿たれ! 誰かに聞かれたらどうするんじゃ!」
「えっ、今更じゃないっスか?」
ガランの不用意な発言にシステアが焦りながら小声で注意するが、ガランは素知らぬ顔でそう反論した。
ちなみにだが、システアは今日も昨日に引き続きいつもの黒ローブスタイルを脱ぎ捨てた美少女スタイルでキメている。
「まぁ確かに結構噂になっているみたいですね」
ガランに同意するようにニアまでそんな事を言い始めてシステアは顔を真っ赤にさせて黙り込む。
システアとしても冒険者内でちょっとした噂になっていることは知っていた。
原因は分かっている。
昨日、冒険者協会で起きたクドウとシステアのデート事件によるものだ。
クドウはパーティー同士の食事会、システアは一対一の食事会だと勘違いしていたためちょっとした騒ぎとなった事でその場にいた冒険者にそれとなくシステアがクドウに好意を抱いていることが露見してしまったのだ。
そしてあの場にいた冒険者が仲の良い冒険者に噂話として広め、現在のような状態となってしまったのである。
(あぁぁぁぁぁー! もう消えてなくなってしまいたい……)
唯一の救いがあるとするのならそれが恐らくクドウとクドウとツーカーなアールにはバレていない事だろうか。
そんなシステアの心情を悟ったアリアスが慰めるように言った。
「大丈夫ではないですか? クドウさんこういうことにはかなり鈍そうですから。……まぁそれが大丈夫と言って良いのかは分かりませんが」
システア的には確かにバレるのも恥ずかしいので嫌だが、鈍いというのもどうなのだろうか?
そもそも今回冒険者達に噂話が回ったのはクドウが鈍すぎたことが大きな原因の一つなのだから。
「長い戦いになりそうな予感がするっスね」
ガランは他人事のように笑った。
システア達がそんな恋バナに花を咲かせている中、システアは冒険者協会の中に入ってきた1組の男女に目がいった。
特に理由があったわけではない。
強いて理由を上げるなら、男女2人共が頭を覆い隠すような黒いローブを身に纏っていたことがなんとなく気になったくらいのことだ。
「……アリアス」
「なんですか? システアさん」
「今、入ってきた男女少し気にならないか?」
システアに言われてアリアスは協会内の入り口に視線を向けた。
「あの黒ローブの2人ですか? なんかシステアさんみたいですね。身長は全然違いますけど」
「……余計な事は言わんでいい。なにか感じないか?」
再度問われ、アリアスは不自然にならない範囲で黒ローブの男女の様子を伺うが、アリアスがその答えを言う前に、ガランが口を開いた。
「女の方はめっちゃ美人っスね。メイヤさんといい勝負っス。男の方はなんていうか……やつれてるっスね。ベースは悪くないと思うんスっけど」
「おいっ、ガラン。誰が容姿の評価をしろと言った?」
と口では文句を言いつつもガランの言う事も間違いでないとシステアは思った。
男の方は置いとくとしても女の容姿は黒ローブから覗かせる顔だけ見ても女であるシステアにして美女としか表現のしようがない程に整っていた。
「僕、システアさん程魔力の感度良くないんですけど、あの二人冒険者にしては魔力が低すぎませんか?」
ガランの批評の最中に男女の魔力を探っていたアリアスがそう答えるとシステアはすぐさま聞き返す。
「じゃな。というよりはほぼないと言っていいくらいじゃ。それならそれで下位の冒険者として話が通らなくもないが——」
システアが話していると、例の男女は受付にいたエリーゼと何かを話した後、システア達の方を振り向き、男女の方を見ていたシステア達と目が合った。
「こっちに来るっスね」
ガランがそう呟いた十数秒後、謎の男女2人は待合所の席に座るシステア達の前までやってきた。
賑わい合う冒険者協会の待合所でシステア達『光の剣』の面々はだべっていた。
今朝、クドウ達と連絡を取り合ってエルナシティアへと約束通り向かう事になったのである。
クドウ達との待ち合わせ時間よりもかなり早く到着してかなり暇だったのかガランが特に誰に言うでもなく割と大きな声で呟いた。
「愛しのクドウさんはまだっスかねー?」
「や、やめんか。馬鹿たれ! 誰かに聞かれたらどうするんじゃ!」
「えっ、今更じゃないっスか?」
ガランの不用意な発言にシステアが焦りながら小声で注意するが、ガランは素知らぬ顔でそう反論した。
ちなみにだが、システアは今日も昨日に引き続きいつもの黒ローブスタイルを脱ぎ捨てた美少女スタイルでキメている。
「まぁ確かに結構噂になっているみたいですね」
ガランに同意するようにニアまでそんな事を言い始めてシステアは顔を真っ赤にさせて黙り込む。
システアとしても冒険者内でちょっとした噂になっていることは知っていた。
原因は分かっている。
昨日、冒険者協会で起きたクドウとシステアのデート事件によるものだ。
クドウはパーティー同士の食事会、システアは一対一の食事会だと勘違いしていたためちょっとした騒ぎとなった事でその場にいた冒険者にそれとなくシステアがクドウに好意を抱いていることが露見してしまったのだ。
そしてあの場にいた冒険者が仲の良い冒険者に噂話として広め、現在のような状態となってしまったのである。
(あぁぁぁぁぁー! もう消えてなくなってしまいたい……)
唯一の救いがあるとするのならそれが恐らくクドウとクドウとツーカーなアールにはバレていない事だろうか。
そんなシステアの心情を悟ったアリアスが慰めるように言った。
「大丈夫ではないですか? クドウさんこういうことにはかなり鈍そうですから。……まぁそれが大丈夫と言って良いのかは分かりませんが」
システア的には確かにバレるのも恥ずかしいので嫌だが、鈍いというのもどうなのだろうか?
そもそも今回冒険者達に噂話が回ったのはクドウが鈍すぎたことが大きな原因の一つなのだから。
「長い戦いになりそうな予感がするっスね」
ガランは他人事のように笑った。
システア達がそんな恋バナに花を咲かせている中、システアは冒険者協会の中に入ってきた1組の男女に目がいった。
特に理由があったわけではない。
強いて理由を上げるなら、男女2人共が頭を覆い隠すような黒いローブを身に纏っていたことがなんとなく気になったくらいのことだ。
「……アリアス」
「なんですか? システアさん」
「今、入ってきた男女少し気にならないか?」
システアに言われてアリアスは協会内の入り口に視線を向けた。
「あの黒ローブの2人ですか? なんかシステアさんみたいですね。身長は全然違いますけど」
「……余計な事は言わんでいい。なにか感じないか?」
再度問われ、アリアスは不自然にならない範囲で黒ローブの男女の様子を伺うが、アリアスがその答えを言う前に、ガランが口を開いた。
「女の方はめっちゃ美人っスね。メイヤさんといい勝負っス。男の方はなんていうか……やつれてるっスね。ベースは悪くないと思うんスっけど」
「おいっ、ガラン。誰が容姿の評価をしろと言った?」
と口では文句を言いつつもガランの言う事も間違いでないとシステアは思った。
男の方は置いとくとしても女の容姿は黒ローブから覗かせる顔だけ見ても女であるシステアにして美女としか表現のしようがない程に整っていた。
「僕、システアさん程魔力の感度良くないんですけど、あの二人冒険者にしては魔力が低すぎませんか?」
ガランの批評の最中に男女の魔力を探っていたアリアスがそう答えるとシステアはすぐさま聞き返す。
「じゃな。というよりはほぼないと言っていいくらいじゃ。それならそれで下位の冒険者として話が通らなくもないが——」
システアが話していると、例の男女は受付にいたエリーゼと何かを話した後、システア達の方を振り向き、男女の方を見ていたシステア達と目が合った。
「こっちに来るっスね」
ガランがそう呟いた十数秒後、謎の男女2人は待合所の席に座るシステア達の前までやってきた。
0
お気に入りに追加
522
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
友人Aの俺は女主人公を助けたらハーレムを築いていた
山田空
ファンタジー
友人Aに転生した俺は筋肉で全てを凌駕し鬱ゲー世界をぶち壊す
絶対に報われない鬱ゲーというキャッチコピーで売り出されていたゲームを買った俺はそのゲームの主人公に惚れてしまう。
ゲームの女主人公が報われてほしいそう思う。
だがもちろん報われることはなく友人は死ぬし助けてくれて恋人になったやつに裏切られていじめを受ける。
そしてようやく努力が報われたかと思ったら最後は主人公が車にひかれて死ぬ。
……1ミリも報われてねえどころかゲームをする前の方が報われてたんじゃ。
そう考えてしまうほど報われない鬱ゲーの友人キャラに俺は転生してしまった。
俺が転生した山田啓介は第1章のラストで殺される不幸の始まりとされるキャラクターだ。
最初はまだ楽しそうな雰囲気があったが山田啓介が死んだことで雰囲気が変わり鬱ゲーらしくなる。
そんな友人Aに転生した俺は半年を筋トレに費やす。
俺は女主人公を影で助ける。
そしたらいつのまにか俺の周りにはハーレムが築かれていて
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
お願いだから俺に構わないで下さい
大味貞世氏
ファンタジー
高校2年の9月。
17歳の誕生日に甲殻類アレルギーショックで死去してしまった燻木智哉。
高校1年から始まったハブりイジメが原因で自室に引き籠もるようになっていた彼は。
本来の明るい楽観的な性格を失い、自棄から自滅願望が芽生え。
折角貰った転生のチャンスを不意に捨て去り、転生ではなく自滅を望んだ。
それは出来ないと天使は言い、人間以外の道を示した。
これは転生後の彼の魂が辿る再生の物語。
有り触れた異世界で迎えた新たな第一歩。その姿は一匹の…
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
毎日スキルが増えるのって最強じゃね?
七鳳
ファンタジー
異世界に転生した主人公。
テンプレのような転生に驚く。
そこで出会った神様にある加護をもらい、自由気ままに生きていくお話。
※ストーリー等見切り発車な点御容赦ください。
※感想・誤字訂正などお気軽にコメントください!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
転生した体のスペックがチート
モカ・ナト
ファンタジー
とある高校生が不注意でトラックに轢かれ死んでしまう。
目覚めたら自称神様がいてどうやら異世界に転生させてくれるらしい
このサイトでは10話まで投稿しています。
続きは小説投稿サイト「小説家になろう」で連載していますので、是非見に来てください!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
ダンジョン探索者に転職しました
みたこ
ファンタジー
新卒から勤めていた会社を退職した朝霧悠斗(あさぎり・ゆうと)が、ダンジョンを探索する『探索者』に転職して、ダンジョン探索をしながら、おいしいご飯と酒を楽しむ話です。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
捨て子の僕が公爵家の跡取り⁉~喋る聖剣とモフモフに助けられて波乱の人生を生きてます~
伽羅
ファンタジー
物心がついた頃から孤児院で育った僕は高熱を出して寝込んだ後で自分が転生者だと思い出した。そして10歳の時に孤児院で火事に遭遇する。もう駄目だ! と思った時に助けてくれたのは、不思議な聖剣だった。その聖剣が言うにはどうやら僕は公爵家の跡取りらしい。孤児院を逃げ出した僕は聖剣とモフモフに助けられながら生家を目指す。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。
狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。
街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。
彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる