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第4章 魔界編
第94話 バッドタイミング
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「おぉー、結構でっかい城ねー」
「おい、あんまりウロウロするんじゃねぇよ。俺が恥掻くじゃねぇか」
ブリガンティス城へと到着したゾデュス達は今まさにブリガンティス城内の廊下を歩いていた。
なぜかブリガンティス城に着いてすぐは門番の者に入城を渋られたが、ブリガンティスに確認を取ったのかその後はすんなりと城内部へと案内されていた。
「ゾデュス様、その者は誰ですか?」
案内人の魔人の一人がゾデュスに質問すると、なぜかセラフィーナがその質問に誇らし気に答えた。
「私は野良のハルピュイア系魔人、セラフィーナよ。頼りないこいつらの助太刀の為にここまで来てやったのよ、感謝しなさい」
ゾデュスの背中を叩きながらそう言うセラフィーナを案内人の魔人は「は、はぁ」と駐屯地にいた魔人と似たような表情で聞いていた。
「……頭は悪いが、強さは俺が保証する。ていうかブリガンティス様の前でそんな態度取るんじゃねぇぞ? 殺されたくなきゃな」
「頭が悪いってどういう意味よ?」
セラフィーナがゾデュスを下から覗き込むようにガンを飛ばしてくる。
どういう意味もそういう意味だ。
その点を議論するつもりもないのでゾデュスはセラフィーナに無視された重要な点を再度頭があまりよろしくないセラフィーナにでも分かるように繰り返し言った。
「分かったな? ブリガンティス様の前でそんな態度取るんじゃねぇぞ? 殺されたくなきゃな」
「そんなことよりも頭が悪いってどういう意味? ねぇ、教えなさいよ」
(……しつけぇガキだな)
普段であればここで喧嘩の一つでも付き合ってやるところだが、今は時間がない。
あと数分もすればブリガンティスの元に辿り着くというのに喧嘩などしている暇などゾデュスにはない。
「聡明なセラフィーナさん、いいから俺の話を聞いてはくれないか? ブリガンティス様は大変気難しい方なんだ。あまり失礼な態度を取ると縊り殺されてしまうかもしれないから静かにしといてくれないか?」
「分かればいいのよ。まぁ相手の出方次第だけどとりあえずは丁寧に接してあげなくもないわ」
(本当に大丈夫なんだろうな……。まぁあの方を前にすれば頭の悪いこいつでも理解できるだろ)
ゾデュスはそうポジティブに考える事にする。
これ以上は何をやっても無駄だからだ。
そんな無駄話をしているうちにゾデュスは思っていた方向とは違う所に向かっていることに気が付いた。
「おい、こっちは会議室じゃないか? ブリガンティス様は会議室にいるのか?」
ブリガンティスの自室に案内されると思っていたゾデュスは違和感を覚え、案内人の魔人に質問すると聞かれた魔人は言いづらそうにゾデュスの問いに答えた。
「……現在、ブリガンティス様は来城されたミッキー様、アルレイラ様と共に会議室におられます」
(……マジか。これはもしかしてやばいタイミングで帰ってきてしまったのか? 俺達は)
ここに来て初めてやばい状況だと気付いたゾデュスだったが、既に遅かった。
恐らく、ミッキーとアルレイラがブリガンティスの人間界侵攻に気づいたのだろう。
そして、その苦情に来た。
いつかは来るだろうと思っていた事だが、ゾデュスの予想より早かったうえに最悪のタイミングである。
抗議をする席でミッキーかアルレイラのどちらかがゾデュスの帰還に気づいた。
それで、2人の四天王にその点をつかれたブリガンティスが渋々ゾデュスを招き入れたという状況に違いない。
というかそれ以外には考えられない。
ゾデュスが難しい顔で唸っていると横のセラフィーナがゾデュスを覗き込む。
「ミッキーとアルレイラ? それって残りの四天王の?」
「あぁ、そうだ」
「あっはは、まさかもう人間界侵攻バレちゃったわけ? 杜撰な作戦ねー」
笑いながら言うセラフィーナにゾデュスは軽く殺意を覚えるが、今は我慢の時だ。
これ以上悩みの種は増やしたくはない。
そもそも現段階でバレていても問題ない作戦だったのだ。——ゾデュス達が作戦に成功してさえいればの話だが。
全てはあの2人のE級冒険者と勇者アリアスが原因だ。
あれらの邪魔さえなければゾデュスは現在のこのような危機的状況には陥っていなかったはずだった。
そんなことを考えているうちにゾデュス達はとうとう会議室の前まで来てしまった。
(つってももう行くしかねぇな、……よし!)
気合いを入れなおしたゾデュスはノックをした後、ガデュス、セラフィーナと共に会議室の中へと入っていくのだった。
「おい、あんまりウロウロするんじゃねぇよ。俺が恥掻くじゃねぇか」
ブリガンティス城へと到着したゾデュス達は今まさにブリガンティス城内の廊下を歩いていた。
なぜかブリガンティス城に着いてすぐは門番の者に入城を渋られたが、ブリガンティスに確認を取ったのかその後はすんなりと城内部へと案内されていた。
「ゾデュス様、その者は誰ですか?」
案内人の魔人の一人がゾデュスに質問すると、なぜかセラフィーナがその質問に誇らし気に答えた。
「私は野良のハルピュイア系魔人、セラフィーナよ。頼りないこいつらの助太刀の為にここまで来てやったのよ、感謝しなさい」
ゾデュスの背中を叩きながらそう言うセラフィーナを案内人の魔人は「は、はぁ」と駐屯地にいた魔人と似たような表情で聞いていた。
「……頭は悪いが、強さは俺が保証する。ていうかブリガンティス様の前でそんな態度取るんじゃねぇぞ? 殺されたくなきゃな」
「頭が悪いってどういう意味よ?」
セラフィーナがゾデュスを下から覗き込むようにガンを飛ばしてくる。
どういう意味もそういう意味だ。
その点を議論するつもりもないのでゾデュスはセラフィーナに無視された重要な点を再度頭があまりよろしくないセラフィーナにでも分かるように繰り返し言った。
「分かったな? ブリガンティス様の前でそんな態度取るんじゃねぇぞ? 殺されたくなきゃな」
「そんなことよりも頭が悪いってどういう意味? ねぇ、教えなさいよ」
(……しつけぇガキだな)
普段であればここで喧嘩の一つでも付き合ってやるところだが、今は時間がない。
あと数分もすればブリガンティスの元に辿り着くというのに喧嘩などしている暇などゾデュスにはない。
「聡明なセラフィーナさん、いいから俺の話を聞いてはくれないか? ブリガンティス様は大変気難しい方なんだ。あまり失礼な態度を取ると縊り殺されてしまうかもしれないから静かにしといてくれないか?」
「分かればいいのよ。まぁ相手の出方次第だけどとりあえずは丁寧に接してあげなくもないわ」
(本当に大丈夫なんだろうな……。まぁあの方を前にすれば頭の悪いこいつでも理解できるだろ)
ゾデュスはそうポジティブに考える事にする。
これ以上は何をやっても無駄だからだ。
そんな無駄話をしているうちにゾデュスは思っていた方向とは違う所に向かっていることに気が付いた。
「おい、こっちは会議室じゃないか? ブリガンティス様は会議室にいるのか?」
ブリガンティスの自室に案内されると思っていたゾデュスは違和感を覚え、案内人の魔人に質問すると聞かれた魔人は言いづらそうにゾデュスの問いに答えた。
「……現在、ブリガンティス様は来城されたミッキー様、アルレイラ様と共に会議室におられます」
(……マジか。これはもしかしてやばいタイミングで帰ってきてしまったのか? 俺達は)
ここに来て初めてやばい状況だと気付いたゾデュスだったが、既に遅かった。
恐らく、ミッキーとアルレイラがブリガンティスの人間界侵攻に気づいたのだろう。
そして、その苦情に来た。
いつかは来るだろうと思っていた事だが、ゾデュスの予想より早かったうえに最悪のタイミングである。
抗議をする席でミッキーかアルレイラのどちらかがゾデュスの帰還に気づいた。
それで、2人の四天王にその点をつかれたブリガンティスが渋々ゾデュスを招き入れたという状況に違いない。
というかそれ以外には考えられない。
ゾデュスが難しい顔で唸っていると横のセラフィーナがゾデュスを覗き込む。
「ミッキーとアルレイラ? それって残りの四天王の?」
「あぁ、そうだ」
「あっはは、まさかもう人間界侵攻バレちゃったわけ? 杜撰な作戦ねー」
笑いながら言うセラフィーナにゾデュスは軽く殺意を覚えるが、今は我慢の時だ。
これ以上悩みの種は増やしたくはない。
そもそも現段階でバレていても問題ない作戦だったのだ。——ゾデュス達が作戦に成功してさえいればの話だが。
全てはあの2人のE級冒険者と勇者アリアスが原因だ。
あれらの邪魔さえなければゾデュスは現在のこのような危機的状況には陥っていなかったはずだった。
そんなことを考えているうちにゾデュス達はとうとう会議室の前まで来てしまった。
(つってももう行くしかねぇな、……よし!)
気合いを入れなおしたゾデュスはノックをした後、ガデュス、セラフィーナと共に会議室の中へと入っていくのだった。
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