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第2章 魔人侵攻編
第30話 面白くもないし、ボコりもしないし
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「勇者ですか。面白くなってきましたね。クドウ様」
俺の目の前で訳の分からない事をほざくアルジール。
元はといえば全てお前の所為なのに、なんでそんなに呑気なの?
「勇者なんてお兄ちゃんにかかればワンパンだよ! ワンパン! やっちゃえ! お兄ちゃん!」
アルメイヤもアルメイヤで意味不明な事をテンション高めでほざく。
キャラ変わりすぎじゃね?
クールなお姉さんキャラはどこへ行ったんだ?
ていうかお前の所為でもあるからね?
……それと戦わないよ? 魔人気分抜けきってないな。こいつ……。
そんなアルメイヤの様子を見て、プリズンは「あれ、この姉さん……あの時の?」と呟いている。
あまりにも雰囲気が変わりすぎているため本人かどうか確信を得られないようである。
間違ってないぞ、プリズンよ、あの時のクールで口汚いお姉さんだよ。
なんか訳の分からない空間が出来かかっているが俺は意を決して話を切り出す。
「すまん、プリズン。俺達は急用を思い出したから帰るわ」
この場でいろいろ言ってやりたいが、プリズンやエリーゼに聞かれたくない話もある。というか、ほぼ聞かれたくない話しかない。
そういうわけで俺達はこの場からそそくさと離脱することにする。
「……あ、あの、兄貴、あのお姉さんの紹介を……」
「すまん、また今度話すから今日のところは勘弁してくれ」
気になるだろうが我慢してくれ。俺はさっさと3人きりで話がしたいのだ。
まだ何か言いたそうなプリズンを振り切り、俺達は冒険者協会を出た。
だが、冒険者協会を出て少ししたところで、俺はプリズンかエリーゼに聞いておかなければならなかったことを思い出した。
「そういや、勇者の名前聞いてなかったな。あと聖者の名前も」
「この前、無謀にもクドウ様に挑んだ愚かな勇者の名は確かソリ、ソリ、……」
隣を歩いていたアルジールが俺に挑んできた一番最近の勇者の名を思い出そうと頑張るが、名前が出てこないようだ。
アルジールにとってはそれくらいの認識なのだろう。
「ソリュード君だ。……確か苗字もあった気もするが忘れたな」
挑まれた時に大声で名乗られた気がするが、名前を憶えていただけアルジールよりかはマシだろう。
ソリュード君が一番最近に挑んできた勇者といってももう10年以上前の話である。
俺達にとっては最近の話だが、人間的な感覚で言えば結構昔の話なので代替わりしている可能性が高い。
なぜか俺に敗れた勇者が再び魔王城に来ることは一度もなかった。
魔王に負けたら引退という制度でもあるのだろうか?
「お前、名前も覚えてないみたいだけど、結構強かったぞ。今のお前なら結構いい勝負だったんじゃないか?」
例に漏れずソリュード君も俺にボコボコされたわけだが、歴代勇者の中ではそこそこ強い部類ではあったのは確かだ。
全盛期のアルジールならともかく転生直後の今のアルジールなら結構いい勝負をするかもしれないというのが俺の率直な感想だ。
「そんな訳はないですよー! お兄ちゃんですよ! お兄ちゃん! 瞬殺ですって!」
横からアルメイヤが口を挟む。
もうクールキャラに戻る気はないらしい。
アルメイヤがそんなことを言うが、アルジールは俺が言ったことについて少し考えているようだ。
脳内シミュレーションでもやっているのだろうが、俺がやっても多分アルジールが勝つ。くらいの事しか分からない。
「まぁ、今代の勇者の事はミンカにでも聞くか」
詳しい事まではミンカも分からないだろうが、名前と年齢くらいはミンカでも知っているだろう。
勇者とはそういうものだ。多分な。
俺達は今後の事を相談すべくミンカの宿屋へ向かうのだった。
俺の目の前で訳の分からない事をほざくアルジール。
元はといえば全てお前の所為なのに、なんでそんなに呑気なの?
「勇者なんてお兄ちゃんにかかればワンパンだよ! ワンパン! やっちゃえ! お兄ちゃん!」
アルメイヤもアルメイヤで意味不明な事をテンション高めでほざく。
キャラ変わりすぎじゃね?
クールなお姉さんキャラはどこへ行ったんだ?
ていうかお前の所為でもあるからね?
……それと戦わないよ? 魔人気分抜けきってないな。こいつ……。
そんなアルメイヤの様子を見て、プリズンは「あれ、この姉さん……あの時の?」と呟いている。
あまりにも雰囲気が変わりすぎているため本人かどうか確信を得られないようである。
間違ってないぞ、プリズンよ、あの時のクールで口汚いお姉さんだよ。
なんか訳の分からない空間が出来かかっているが俺は意を決して話を切り出す。
「すまん、プリズン。俺達は急用を思い出したから帰るわ」
この場でいろいろ言ってやりたいが、プリズンやエリーゼに聞かれたくない話もある。というか、ほぼ聞かれたくない話しかない。
そういうわけで俺達はこの場からそそくさと離脱することにする。
「……あ、あの、兄貴、あのお姉さんの紹介を……」
「すまん、また今度話すから今日のところは勘弁してくれ」
気になるだろうが我慢してくれ。俺はさっさと3人きりで話がしたいのだ。
まだ何か言いたそうなプリズンを振り切り、俺達は冒険者協会を出た。
だが、冒険者協会を出て少ししたところで、俺はプリズンかエリーゼに聞いておかなければならなかったことを思い出した。
「そういや、勇者の名前聞いてなかったな。あと聖者の名前も」
「この前、無謀にもクドウ様に挑んだ愚かな勇者の名は確かソリ、ソリ、……」
隣を歩いていたアルジールが俺に挑んできた一番最近の勇者の名を思い出そうと頑張るが、名前が出てこないようだ。
アルジールにとってはそれくらいの認識なのだろう。
「ソリュード君だ。……確か苗字もあった気もするが忘れたな」
挑まれた時に大声で名乗られた気がするが、名前を憶えていただけアルジールよりかはマシだろう。
ソリュード君が一番最近に挑んできた勇者といってももう10年以上前の話である。
俺達にとっては最近の話だが、人間的な感覚で言えば結構昔の話なので代替わりしている可能性が高い。
なぜか俺に敗れた勇者が再び魔王城に来ることは一度もなかった。
魔王に負けたら引退という制度でもあるのだろうか?
「お前、名前も覚えてないみたいだけど、結構強かったぞ。今のお前なら結構いい勝負だったんじゃないか?」
例に漏れずソリュード君も俺にボコボコされたわけだが、歴代勇者の中ではそこそこ強い部類ではあったのは確かだ。
全盛期のアルジールならともかく転生直後の今のアルジールなら結構いい勝負をするかもしれないというのが俺の率直な感想だ。
「そんな訳はないですよー! お兄ちゃんですよ! お兄ちゃん! 瞬殺ですって!」
横からアルメイヤが口を挟む。
もうクールキャラに戻る気はないらしい。
アルメイヤがそんなことを言うが、アルジールは俺が言ったことについて少し考えているようだ。
脳内シミュレーションでもやっているのだろうが、俺がやっても多分アルジールが勝つ。くらいの事しか分からない。
「まぁ、今代の勇者の事はミンカにでも聞くか」
詳しい事まではミンカも分からないだろうが、名前と年齢くらいはミンカでも知っているだろう。
勇者とはそういうものだ。多分な。
俺達は今後の事を相談すべくミンカの宿屋へ向かうのだった。
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