42 / 43
第2章 ドラゴン襲来編
第42話 変ですねー
しおりを挟む
「た、退避ぃー!」
敬語を使う暇もなかったのかガルドは馬車内にいた私達に向け大きな声を上げました。
そんな言葉を聞くまでもなく私達4人は馬車から飛び出した直後、天馬を避ける様にして数発の火の玉が馬車へと着弾し、小さな爆発が数回連続して起こってから馬車は激しく燃え上がり始めます。
カレンは全員が回避したのを確認してから燃え盛る馬車から天馬を逃がすため、天馬と馬車が繋がれていた金属製の鎖をミスリル製の剣で勢いよく断ち切りました。
普通の馬だったら確実に逃げ出していたのでしょうが、天馬は少し動じた様子こそ見せたもののその場から逃げ出す事はありませんでした。
とはいえこのまま私達の傍においておくと攻撃を受けてどうなるかもわからなかったので、近くの林まで退避させるよう私は指示を出します。
すぐに天馬を退避させるよう動き出したガルドの後ろ姿を見送ってから、私達は攻撃を仕掛けてきたアッシュへと視線を向けると、アッシュはこちらの事など見ておらす隣にいた女性と向かい合っています。
「こぉら、いきなり人に向かってファイヤーボールを放ってはいけません」
女性はそんな言葉をアッシュにかけていますが、その言葉には真剣味は感じません。
まるで溺愛する我が子の小さな悪戯を注意するようなそんな親バカを見ているようでした。
その間もこちらではメラメラと馬車が大きな火柱を上げ、燃え上がっているのですが、あの女性にはそれが見えていないのでしょうか?
「でもあの人達はあのクソ王子の仲間なのですよね? 師匠は言っていました。気に食わん奴は力で黙らせてしまえばいいって」
幼い言葉の節々に汚い言葉と暴力的は発言が入り混じったそんなアッシュの言葉に私に思わず恐怖を覚えました。
やはりアッシュはとても危険な思想の持ち主だったのです。
「ケイン君、クソとかそういう言葉は使っちゃダメですよー。アッシュ様曰くアッシュ様のアレは覇者の言葉遣いらしいです。世界最強の偉大過ぎる勇者になって初めて許されるのですよ。多分ですけどー」
「ふふ、僕も早く師匠のような偉大な勇者になりたいです」
少年の言葉をユルめに窘めるように女性がよく分からない事を言うと、少年は目をキラキラさせながらそんなことを言いました。
どうやら少年はアッシュではなかったようです。
ケインというの少年はアッシュの弟子という事だけはなんとか理解できましたが、それ以外の事は正直、私にはまったく分かりません。
私が混乱する中、ようやく私達がじっと見ているのに気付いたのか女性がこちらへ視線を戻し、こちらへとやってきます。
「大丈夫ですかー? 王都からやってきた方ですよねー?」
まるで何事無かったかのように女性はそう言って更に近づいてきます。
私達のすぐ後ろで馬車が今にも燃え尽きそうなのが見えないのでしょうか?
かといってこちらとしてもあまりあちらを刺激したくはありません。
天馬はともかく馬車の車体自体はそれなりに高額ではあるのでしょうが、替えなどいくらでも効くのですから。
「危険です!エリシア様」というカレンとエミュラを抑えて、こちらからも彼女の方へと向かいます。
ちょうど話しやすい距離にまで近づいた私は勇気を振り絞って言いました。
「私はエリシア=ユーディーン=ドレアスと申します。本日はこちらに滞在中とお聞きしたアッシュ様にお願いがありやって参りました」
できるだけ相手に好印象を持ってもらえるよう丁寧に挨拶し、私は小さく頭を下げると彼女は少し驚いた表情で私を見ます。
「よくここが分かりましたねー。エリシア様と言うとドレアス王国の第一王女様でしょうか?」
「はい、私がドレアス王国第一王女のエリシアです」
「後ろの方たちは?」
なぜか彼女は不思議そうに私の顔を見た後、エミュラ達の事も気になったのかそう言いました。
王族が王都の外に出るのに護衛はいて当然なのですが、警戒されてしまっているのでしょうか?
「彼女たちは私の親衛隊騎士でこちらからエミュラ、カレン、アイルといいます。彼女たちにはここに来るまでの護衛をお願いしました」
あくまで町の外の獣に対する警護だという事を強調しつつ、私はエミュラ達を軽く自己紹介させました。
こうゆう場であまり護衛について尋ねられることはないので私が少し不思議に思っていると、彼女はよく分からないことを言い始めます。
「あ、私も自己紹介しないといけませんね。私はセラ。グレスデン大教会の聖……って言っても分かりませんか。えーとぉ……アッシュ様の仲間です。ところで変な事を聞きますが、エリシア様は国王陛下から溺愛されていたりします?」
本当に変な質問です。
ここでするような質問でしょうか?
話をした限り、噂で聞いているアッシュと比べるとかなり友好的な女性に思えますが、少し変わった人なのかもしれません。
「溺愛ですか? 嫌われているという事はないと思うのですが溺愛まではされていないと思います」
仮に溺愛されているのだとしたら私は今この場に立っていないと思います。
質問の意図が全く分かりません。
「そうですかー。変ですねー」
はい、私も変だと思います。よく分かりませんが。
大事な交渉の前哨戦だというのに私は一体なにをやらされているのでしょうか?
このままセラさんのペースに飲まれると始まるものも始まらないと思った私は単刀直入に切り出す事にしました。
「あの!」
「はい、なんでしょう?」
「既にご存知かもしれませんが、ドレアスは現在神獣ドラゴンの脅威により滅亡の危機にあります。そこでどうか一騎当千の戦士であるアッシュ様のお力をお借りしたいのです。出来得る限り最大限の報奨金をご用意させていただきます。アッシュ様に会わせていただきませんか?」
私をそう言って大きく頭を下げました。
本来であれば第一王女である私が頭を下げるのはドレアス王国の王である父上ただ一人ですが、なりふりなど構ってはいられません。
私と同じように後ろに立つエミュラ達も私を止めることなく一緒に頭を下げているのが私の体ごしに見えます。
「頭を上げてください。やっぱり昨日、北に向かっていったドラゴンの群れは王都を目指していたのですか」
セラさんの声で私達は顔を上げると、そこには少し考えこんだ様子のセラさんの顔がありました。
あれだけ大群の移動だったのでやはりアッシュ達はドラゴンの存在に気付いていたみたいです。
考え込んでいるもののそんなドラゴンの大群を見ていたはずのセラさんの顔には恐れのようなものは見えません。
そんなセラさんの表情に期待してしまったのも一瞬の事でした。
「無理ですね」
セラさんは無情にもそう私に告げるのでした。
敬語を使う暇もなかったのかガルドは馬車内にいた私達に向け大きな声を上げました。
そんな言葉を聞くまでもなく私達4人は馬車から飛び出した直後、天馬を避ける様にして数発の火の玉が馬車へと着弾し、小さな爆発が数回連続して起こってから馬車は激しく燃え上がり始めます。
カレンは全員が回避したのを確認してから燃え盛る馬車から天馬を逃がすため、天馬と馬車が繋がれていた金属製の鎖をミスリル製の剣で勢いよく断ち切りました。
普通の馬だったら確実に逃げ出していたのでしょうが、天馬は少し動じた様子こそ見せたもののその場から逃げ出す事はありませんでした。
とはいえこのまま私達の傍においておくと攻撃を受けてどうなるかもわからなかったので、近くの林まで退避させるよう私は指示を出します。
すぐに天馬を退避させるよう動き出したガルドの後ろ姿を見送ってから、私達は攻撃を仕掛けてきたアッシュへと視線を向けると、アッシュはこちらの事など見ておらす隣にいた女性と向かい合っています。
「こぉら、いきなり人に向かってファイヤーボールを放ってはいけません」
女性はそんな言葉をアッシュにかけていますが、その言葉には真剣味は感じません。
まるで溺愛する我が子の小さな悪戯を注意するようなそんな親バカを見ているようでした。
その間もこちらではメラメラと馬車が大きな火柱を上げ、燃え上がっているのですが、あの女性にはそれが見えていないのでしょうか?
「でもあの人達はあのクソ王子の仲間なのですよね? 師匠は言っていました。気に食わん奴は力で黙らせてしまえばいいって」
幼い言葉の節々に汚い言葉と暴力的は発言が入り混じったそんなアッシュの言葉に私に思わず恐怖を覚えました。
やはりアッシュはとても危険な思想の持ち主だったのです。
「ケイン君、クソとかそういう言葉は使っちゃダメですよー。アッシュ様曰くアッシュ様のアレは覇者の言葉遣いらしいです。世界最強の偉大過ぎる勇者になって初めて許されるのですよ。多分ですけどー」
「ふふ、僕も早く師匠のような偉大な勇者になりたいです」
少年の言葉をユルめに窘めるように女性がよく分からない事を言うと、少年は目をキラキラさせながらそんなことを言いました。
どうやら少年はアッシュではなかったようです。
ケインというの少年はアッシュの弟子という事だけはなんとか理解できましたが、それ以外の事は正直、私にはまったく分かりません。
私が混乱する中、ようやく私達がじっと見ているのに気付いたのか女性がこちらへ視線を戻し、こちらへとやってきます。
「大丈夫ですかー? 王都からやってきた方ですよねー?」
まるで何事無かったかのように女性はそう言って更に近づいてきます。
私達のすぐ後ろで馬車が今にも燃え尽きそうなのが見えないのでしょうか?
かといってこちらとしてもあまりあちらを刺激したくはありません。
天馬はともかく馬車の車体自体はそれなりに高額ではあるのでしょうが、替えなどいくらでも効くのですから。
「危険です!エリシア様」というカレンとエミュラを抑えて、こちらからも彼女の方へと向かいます。
ちょうど話しやすい距離にまで近づいた私は勇気を振り絞って言いました。
「私はエリシア=ユーディーン=ドレアスと申します。本日はこちらに滞在中とお聞きしたアッシュ様にお願いがありやって参りました」
できるだけ相手に好印象を持ってもらえるよう丁寧に挨拶し、私は小さく頭を下げると彼女は少し驚いた表情で私を見ます。
「よくここが分かりましたねー。エリシア様と言うとドレアス王国の第一王女様でしょうか?」
「はい、私がドレアス王国第一王女のエリシアです」
「後ろの方たちは?」
なぜか彼女は不思議そうに私の顔を見た後、エミュラ達の事も気になったのかそう言いました。
王族が王都の外に出るのに護衛はいて当然なのですが、警戒されてしまっているのでしょうか?
「彼女たちは私の親衛隊騎士でこちらからエミュラ、カレン、アイルといいます。彼女たちにはここに来るまでの護衛をお願いしました」
あくまで町の外の獣に対する警護だという事を強調しつつ、私はエミュラ達を軽く自己紹介させました。
こうゆう場であまり護衛について尋ねられることはないので私が少し不思議に思っていると、彼女はよく分からないことを言い始めます。
「あ、私も自己紹介しないといけませんね。私はセラ。グレスデン大教会の聖……って言っても分かりませんか。えーとぉ……アッシュ様の仲間です。ところで変な事を聞きますが、エリシア様は国王陛下から溺愛されていたりします?」
本当に変な質問です。
ここでするような質問でしょうか?
話をした限り、噂で聞いているアッシュと比べるとかなり友好的な女性に思えますが、少し変わった人なのかもしれません。
「溺愛ですか? 嫌われているという事はないと思うのですが溺愛まではされていないと思います」
仮に溺愛されているのだとしたら私は今この場に立っていないと思います。
質問の意図が全く分かりません。
「そうですかー。変ですねー」
はい、私も変だと思います。よく分かりませんが。
大事な交渉の前哨戦だというのに私は一体なにをやらされているのでしょうか?
このままセラさんのペースに飲まれると始まるものも始まらないと思った私は単刀直入に切り出す事にしました。
「あの!」
「はい、なんでしょう?」
「既にご存知かもしれませんが、ドレアスは現在神獣ドラゴンの脅威により滅亡の危機にあります。そこでどうか一騎当千の戦士であるアッシュ様のお力をお借りしたいのです。出来得る限り最大限の報奨金をご用意させていただきます。アッシュ様に会わせていただきませんか?」
私をそう言って大きく頭を下げました。
本来であれば第一王女である私が頭を下げるのはドレアス王国の王である父上ただ一人ですが、なりふりなど構ってはいられません。
私と同じように後ろに立つエミュラ達も私を止めることなく一緒に頭を下げているのが私の体ごしに見えます。
「頭を上げてください。やっぱり昨日、北に向かっていったドラゴンの群れは王都を目指していたのですか」
セラさんの声で私達は顔を上げると、そこには少し考えこんだ様子のセラさんの顔がありました。
あれだけ大群の移動だったのでやはりアッシュ達はドラゴンの存在に気付いていたみたいです。
考え込んでいるもののそんなドラゴンの大群を見ていたはずのセラさんの顔には恐れのようなものは見えません。
そんなセラさんの表情に期待してしまったのも一瞬の事でした。
「無理ですね」
セラさんは無情にもそう私に告げるのでした。
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります
真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」
婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。
そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。
脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。
王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
公爵家長男はゴミスキルだったので廃嫡後冒険者になる(美味しいモノが狩れるなら文句はない)
音爽(ネソウ)
ファンタジー
記憶持ち転生者は元定食屋の息子。
魔法ありファンタジー異世界に転生した。彼は将軍を父に持つエリートの公爵家の嫡男に生まれかわる。
だが授かった職業スキルが「パンツもぐもぐ」という謎ゴミスキルだった。そんな彼に聖騎士の弟以外家族は冷たい。
見習い騎士にさえなれそうもない長男レオニードは廃嫡後は冒険者として生き抜く決意をする。
「ゴミスキルでも美味しい物を狩れれば満足だ」そんな彼は前世の料理で敵味方の胃袋を掴んで魅了しまくるグルメギャグ。
誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!
ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく
高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。
高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。
しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。
召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。
※カクヨムでも連載しています

のほほん異世界暮らし
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。
それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。
【商業企画進行中・取り下げ予定】さようなら、私の初恋。
ごろごろみかん。
ファンタジー
結婚式の夜、私はあなたに殺された。
彼に嫌悪されているのは知っていたけど、でも、殺されるほどだとは思っていなかった。
「誰も、お前なんか必要としていない」
最期の時に言われた言葉。彼に嫌われていても、彼にほかに愛するひとがいても、私は彼の婚約者であることをやめなかった。やめられなかった。私には責務があるから。
だけどそれも、意味のないことだったのだ。
彼に殺されて、気がつけば彼と結婚する半年前に戻っていた。
なぜ時が戻ったのかは分からない。
それでも、ひとつだけ確かなことがある。
あなたは私をいらないと言ったけど──私も、私の人生にあなたはいらない。
私は、私の生きたいように生きます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる