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第7話 聖鎧勇者

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少しすると、受付嬢が帰ってきた。


「お待たせしました。こちらがE級冒険者プレートになります。これがあなたの冒険者としての証になりますので無くさないでくださいね」


受付嬢はそう説明すると、俺にプレートを手渡した。


一応これで冒険者登録はこれで終了となる。

しかし俺にはまだ一つ受付嬢が言っていた話の中で気になった事があったのでついでに尋ねてみることにした。


「ちょっと質問していいですか?」


「どうぞ」


「聖鎧勇者の事なんですけど勇者ハルトが消息を絶ってから数年後に誕生したって言っていましたよね? ということはその聖鎧勇者様というのはかなりのご高齢なのですか?」


仮にその聖鎧勇者が10歳で勇者になったのだとしても生きていれば現在100歳を超えていることになる。

まぁギリギリあり得なくもないがその高齢では勇者業というのはかなり難しいのではないだろうか?

それか引退はしたけどわざわざ莫大な懸賞金をかけてまで勇者ハルトを探しているという事なのだろうか?

どちらにせよ100年も前にいた人物を探すのに1万金貨もの懸賞金をかけるなどすさまじい執着心と資金力である。

すると、またも受付嬢は俺に呆れたような視線を向けた。

だが、既に十分呆れられている俺にはもう恐いものなどないので気にしない。


「冷静に考えてくださいよ。100年も前の人物が生きているわけないじゃないですか」


うん? 俺は生きてるぞ。

まぁむしろなんでまだ生きているのか俺が知りたいくらいだがね。

まさに目の前に100年以上の時を生きる勇者ハルトがいることなど知る由もない受付嬢は更に話を続ける。


「今の聖鎧勇者様は4代目です。先代の聖鎧勇者に認められた者が次代の聖鎧勇者となり神器である聖鎧を引き継ぐんです」


「なるほど、そういうことですか」


つまり聖鎧とやらを着た爺さんがヒィヒィ言いながら100年も頑張っていたってわけじゃないってことだ。

まぁ普通に考えればそうだよな。

自分が100年なんて軽く生きちゃっているもんだから感覚が麻痺してしまっていたようだ。

ということは聖鎧勇者になるという事は聖鎧だけではなく1万金貨をかけた勇者ハルトの捜索まで引き継いでいるってことになる。

律儀な事だ。

俺だったら確実に「もう死んでるからアレもういいよな」とガン無視すること確実な案件だ。

ていうか本人を目の前にして門番も受付嬢も普通にスルーしている事から考えるとそもそもあの似顔絵自体あまり機能していないのだろう。

そもそも無駄にイケメンに書きすぎな上に、先程受付嬢も言ったように普通に考えれば100年前の人間が生きているはずがないので、恐らく一般人からすれば完全に形骸化された捜索なのだ。

まぁ俺としてはその方がありがたい。

今更勇者ハルトとして活動するなんてゴメンだからな。


(ていうかそれ以前に俺は勇者になった覚えはないんだけどな。……あのクソジジイめ)
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