異世界転生したのだけれど。〜チート隠して、目指せ！ のんびり冒険者 (仮)

本編

マリアも知らないリルのこと ロイside

｢リ.........ル、なのか.........？｣

地下だからこそ、それなりの高さをとって作られた練習場の天井にほど近い場所に 顔がある。
ほとんど真上を見る状態になりつつ、声を出す。
.........かろうじてだが、声が出せたことにホッとしながら。



『そうだよ。リルだよ！！』

｢！！！！！？？？？


い、いいい今のは、リルがしゃべったのか！？｣

『うん』
｢しゃべれたのか｣
『この姿だからね。普段の姿だとまだ無理かなぁ』
｢まだ、ってことはそのうちできるようになるのか｣
『うん。あと1年くらいしたらできるようになると思うよ』
｢そうか｣
『この姿のままだと話にくいから もう少し小さくなるね～』
｢あ？｣

フェンリルは人語をも操るという内容のお伽噺もあったというが......... そうか。話せるのか。そうか...........................。


『ごめんロイさん！ 今の能力値じゃ この大きさが話せる限界みたい』
｢おぅ、了か....い.........｣

小さくなる、と言っていた通り リルは随分と小さくなった。
最初に比べれば、随分と。

それでも。

｢これが限界の大きさなのか｣
『うん。今のところね～。これ以上小さくなると話せなくなっちゃう』

｢.........そうか｣

リルが“おすわり”とやらの状態でも 俺とほとんど変わらない目線の高さ になる。


『で、聞きたいことって？』

｢あー.......  最初のが、リルの本来の大きさなのか？｣

『うん。そうだよ』

｢小さくなってるのはスキルか？それともフェンリルって小さくなれる種族なのか？｣

『スキルだよ～ 普段の姿までならどの大きさにもなれるよ！』

｢.........そうか｣

『なんかロイさん、疲れてる？大丈夫？』

｢あーそうだな。なんか一気に疲れた........｣

『僕のせい？だよね？？』

｢否定はできないな......。まぁ、大丈夫だから気にすんな｣

『ごめんなさぁい』

｢マリアはこれ知ってるんだよな？｣

『これ？』

｢リルの本来の大きさとか、話せること とか｣

『大きさのことは知ってるけど、人の言葉を話せるのは知らないよ』

｢知らないのか！？｣

『うん。だって最近だもん～  話せるようになったの！』

｢.........そうか｣

マリアも知らないことを、俺が知ってるのか.........。


隠されていて変なところで知るとめんどくさいが、
先に知っていたら知っていたで、何か違うような気がしたー…。