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本編
違和感の正体と…。 ロイside
しおりを挟む「..................どうするか、いまさらだが」
マリアとリルの大暴走(と俺は思っている)から2日が経った。
リルと2人で 、冒険者ギルドが管理する 予約制で個人でも借りることが出来る地下練習場に来ていた。
初めに 準備運動がてら リルと軽く闘い、
リルの使える魔法と威力 及びその制御の度合を確認したり、
どのくらいまでなら細かい指示を 聞いて実践できるのか、
お互い怪我をしないように気をつけつつも ある程度力を出して戦ったり、など
思いつく限り色々とやってもらった。
普段の生活でなんとなくわかっていたつもりだったが、思っていた以上にリルの知能が高いことがわかった。
細かい指示を出しても余裕でこなす。
反対に かなり大まかな指示を出したら
それならそれで好きなようにさせてもらう、とでも言いたげな様子を見せたのち、完遂。
この辺りは 幼くともさすがフェンリル、ということなのだろう。
一通りの確認も済んだところで、最後に、というかこれが本題なのだが。
確認したいことが、あった。
そして確認しようとしたところで気づき、冒頭の呟きがもれた。
「くぅん......?」
確認するには、意思の疎通が必要不可欠だ。
それが出来ない、という根本的な問題が存在していることになぜ気づかなかったのか。
「普通に話せば 当たり前のように全部通じるから、出来てるように感じるんだよなぁ.........」
リルは俺の言っていることを理解している。
が、俺はリルの言っていることが、わからない。
俺が理解できるようにリルが頷く・首を傾げるなどの動作、そして声色に鳴き方で表現してくれているからだいたいの会話は成立する。
会話が成立するからといってそれが必ずしも意思の疎通が成立している、とはならないのだということを俺は初めて知った。
「なぁリル。フェンリルって、他の魔物に比べて成長って遅いのか?」
「きゃうん?」
首を傾げる、リル。
「成体になるのにどれくらいかかるか知ってるか?」
「きゃふぅ~ん」
「それはどういう返事だ?」
「きゃーん」
リルにしては珍しく、どっちつかずな返事をされているような気がした。
「魔物と同じくらいの成長速度なら、出会った頃からそれなりに大きくなってるものだが、リルは変わっていないってことにリアードと話してて気付かされた」
「きゃふーん」
「.........リル? どうした?」
リルは突然走り出し、俺から距離を取ったところで止まり、
「きゃーん!!」
天を仰ぎ、吠えた。
──その次の瞬間だった。
リルの足元に魔法陣が現れる。
そしてどこからかたちこめる、白煙。
突然現れた魔法陣に気を取られ、気づくのが遅れた。
「リルっ!? 大丈....夫.........か..................?」
──目の前に立ちはだかるは 巨大な、獣。
圧倒的強者だと、ただそこに居るだけで本能に植え付けられる威圧感。
幼い頃、話半分で聞いた、もうほとんど忘れてしまっているお伽噺の一節が脳裏を過ぎる。
──その神獣・フェンリルは 山と見紛う大きさであったー....。
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