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本編
ギルドマスターと 04 リアードside
しおりを挟む「.........はっ!?」
今、何が起きた?
──ロイにそれなりに面倒な内容の依頼をギルドマスター権限で指名依頼し、そのあいだにマリアを連れ迷宮に来た。
深層に近い中層まで転移の魔法陣を利用して移動した。
そこで マリアとリルの交互、もしくは共闘で倒せ と言ってみた。
どんな反応をするのか、が見てみたくて。
もちろん、少しでも危険だと判断される場面になれば自分が介入するし、速やかに離脱するための魔導具だって持ってきている。
マリアは予想通りの反応を見せた。が、すぐに何かを察したという顔をする。.........やはりこの子供、聡い。外見と中身の年齢は一致しなそうだ。
中身の早熟は 獣人の特徴としてはなかったはず。ということはこの子特有の......... と思考の海に入りそうになった時だった。視界の端に、魔物(複数)の姿が映った。
何やらマリアも考え込んでいたらしく、魔物の接近に気づいていない。
声をかけ、ようやくマリアも魔物を視認した、その時だった。
リルが、魔物に向かって走りだしていた。
「あ、うん......... って、リル!?」
マリアが焦った声をあげる。
1匹ならともかく、なんで自分から魔物の集団に迫るんだ!?あのチビ!
思わず内心で毒づきながら リルを巻き込まないように倒せる方法を考え.........
「きゃうん!」
.........始めた時だった。
リルが放ったウィンドカッター数発により、魔物は倒され、ドロップアイテムへと姿を変えたのだった。
◇ ◇ ◇
確実に今、目の前で起きた光景にも関わらず、理解ができなかった。
その時点でかろうじて理解出来たことは、横にいたマリアが“やっちまった”って感じで頭を抱えたことだけだった。
「きゃふ~ん」
そんな俺達を意に介さず、リルはしっかりと倒した魔物から出たドロップアイテムを咥えて戻ってきた。
しっぽを振りながら褒めてくれ と言わんばかりの様子を見せる。
「きゃうぅ?」
どうしたの?とでも言いたげに首を傾げるリル。
「あ、ありがとうリル」
マリアはドロップアイテムを受け取り、リルを撫でる。
.........倒して、拾って、戻って、褒める。それがいつものやりとりに見えるのは、気の所為だろうか。気の所為であってほしいものだ。
「とりあえずリルが倒すのはちょっとおやすみしようね。というか1人で魔物に向かってかないでほしいかなぁ......今は」
「きゃふん?」
「んーちょっと色々あって。とりあえずいいよって言うまでは待っててくれる?」
「きゃん!」
「いい子だね~リルは! 可愛い!!!」
リルをぬいぐるみのように持ち上げながら目線を合わせ、そして話しかける、マリア。
言われたことを理解して返事してるように見える、リル。
そしてさらに話すマリア。
キャッキャウフフとしてるその様子は、とても迷宮内とは思えない微笑ましい 子供と小動物の戯れで。......会話の内容が聞こえていなければ。
──待て待て待て待て! 会話してるようにしか見えないんだが???
マリアはリルの言葉がわかるのか?
俺はギルドマスターであるにも関わらず、少しの間 目の前の光景を呆然と眺めるほか、なかったのだったー......。
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番外編、書きました。
章設定して 1番上にあります。
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