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本編
ボス部屋、ドーン?
しおりを挟む「この迷宮、30階あるって言ってなかったっけ.........?」
「あぁ」
「私たち、いたの10階だったよね」
「そうだな」
「罠にかかったんだから同じところに戻れるとは思ってなかったけど.......。
迷宮ではよくあることなの?」
「聞いた事ねぇな。いきなり最下層に転移なんて物騒な罠」
「だよねぇ......」
ここに他人がいれば 何呑気な会話してんだよって言われそうだけど、私たちしかいないし。
「ボス部屋に挑む以外に選択肢って、ある?」
「ないな。本来なら上の階から下りてくる為の道があるんだが、それが見当たらない」
「そっかぁ.....。じゃあ、行こう」
「休憩しなくていいのか」
「ロイさんがしたいならしてもいいけど」
「....必要ない」
「じゃあ行っていい? またこの扉触ればいいんでしょ?」
「.........ボス部屋に何がいるのかとかを聞く、とかそういう発想はないのか」
「えっ?」
──歴史は繰り返す、というか。
単純に懲りてないだけか。
またしても返事を聞く前に、扉に触れていて。
「.................................」
開いた。
◇ ◇ ◇
「.........中に何も、いないよ?」
ロイさんの刺すような痛い視線を受け流しつつ、中を覗く。
「これって入ったら突然、ドーン!と現れるってこと?」
そういえば前にロイさんの 迷宮とは何ぞや講座(強制参加) で聞いたような気がするなぁ.........。
「いや、この迷宮は待ち構えてる魔物ばっかりだな」
「じゃあなんでいないんだろ?」
「とりあえず中に入るぞ。
急に戦闘になってもいいように構えとけよ。それからリルはある程度の大きさになっておいてくれ」
「きゃうん!」
リルは一瞬で大きさを変化させ、大型犬よりちょっと大きいくらいのサイズになった。
そして2人と1匹で中に入った途端、扉は自動で閉まった。
それどころか、扉は消えて跡形もなくなっていた。
「出てこないねぇ.........」
何も起こらないまま、 1分くらいは経ったと思う。
「..................」
ロイさんは何かを考えるような仕草をし始めた、そんな時だった。
「きゃうん! きゃんきゃん!!」
急にリルが、何もない.........いや、なにもなかったはずの方向に向かって吠えだした。
「どうしたの?リル......... って、ロイさん!」
「あ?」
「宝箱! が 現れたの! 何もないところから急に!」
よく漫画やアニメで見た、煙が立ち込めてその中心からでてくる.......とかそういうのは一切なくて。
転移でもしたかのように突然! しかも何個も!
「は?」
一瞬、何言ってんだコイツ 的な目を向けられたけど ロイさんの視界にも入ったらしく、突然戦闘態勢に入った。
.........戦闘態勢?
「それはミミックだ! 」
「.........へっ?」
ミミック?って宝箱のフリした魔物だっけ? なんてことを考えていたせいで、反応が遅れた。
──あ、ちょっとヤバいかも。咄嗟すぎて魔法も間に合わないわ。
とりあえずネックレスの結界だけでもー......
なんて思っていたら。
「きゃうん!」
足下にいたリルが、吠えてー......
襲いかかってきていたミミック(複数)が
全て真っ二つに切り落とされていた。
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