異世界転生したのだけれど。〜チート隠して、目指せ！ のんびり冒険者 (仮)

本編

ロイさんの苦悩は止まらない 01

「なんか、魔法使いっぽい！！」

ローブを身につけたリルを可愛い可愛いと言いまくり、撫で回し、抱きしめ、堪能したあと。

リルに催促され ようやく私もローブを羽織ってみた。

着る前はちょっと大きいかな？とも思ったけど、尻尾の動きが制限されることがない程度にゆったりめなだけで 袖の長さも丈も、なんならフードだって、ちょうどだった。

.........一瞬、なんでショタな神様あの人、私のサイズ知ってるんだろう... って思ったけどまぁ神様だしね！  って思って気にしない方向でいこうと思った。


「そろそろいいか？行くぞ」

「あ、うん」

そしてこれまたいつのまにか、扉があいていて、ついでに言えば宝箱も、消えてなくなっていた。

そして。


「ここ、どこ？」

罠によって転移させられた時とほとんど変わらない言葉を、口にしたのだったー......。


◇  ◇  ◇

「..................」

周囲の状況を確認し終わったらしいロイさんが、眉をひそめ、こちらをチラッと一瞥し、そして盛大にため息をついた。

その様子から、またなんかややこしい場所に転移したというか戻ってきたんだということは簡単に察しがついた。

── けど。

「これは私、悪くないよね。なんで私見て そのあと わかってたけどふざけんな、的な感じでため息つかれるのかわかんないんだけど」

「あ゛？」

どうやら、声に出しちゃっていたらしい。

「元はお前が罠にかかったからなんだが」

「.........で、ここどこなの？ロイさん」

「オイ、話逸らすな」

「帰ったらいくらでもお説教されるからとりあえずここがどこだかわかるんなら教えてほしいんだけど」

「.........帰ったら覚えとけよ？」

「はいはい、わかってるって」

お説教はもう確定事項だから その内容が1個2個増えたところでもういいかなぁ.........って。(遠い目)


「で、ここはどこなの？」

「.........ボス部屋前」

「？

 10階に戻ったってこと？だとしたら罠の場所から大して変わらないところに戻れたってこと？」

「最下層の、ボス部屋前」

「...........................はっ？」

ロイさんの言葉に、頭の理解が追いつくまでに 多少の時間が必要だったことはもちろん言うまでもないー.....。