異世界転生したのだけれど。〜チート隠して、目指せ! のんびり冒険者 (仮)

ひなた

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本編

年不相応 ロイSide

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「はぁ……」

「ロイさん、まだ怒ってる?」

「怒っては、ない。呆れてるんだよ」

「旅に出た時に不便になるのはしょうがないけどさ。 その不便をちょっとでも少なくしたいなーって思ったの」

「あぁ」

それは、わかる。

たしかに旅中は不便を強いられる。
それがマジックアイテムで補えるなら補いたいと冒険者時代に幾度となく思った。

……が、それはそれ、これはこれだ。

そもそも、マリアが作ったものはどれもこれも規格外すぎだ。


魔力を流せば無限に水が出る樽。
料理にも焚火にも使える板。
ここらへんはまだいい。許容範囲だ。

旅中でも風呂に入りたいが毎回浴槽を土魔法で作るのはめんどくさいという理由で、魔力を流せば浴槽型に膨らむ 一見ただの小さい木の箱にしか見えないもの(ただし素材は木ではない)を作ったと聞いたときには怒りを通り越して呆れた。
(ちなみにそれは膨らみきった瞬間に三方を囲む壁も作られて、なおかつシャワー?とかいうのも出来上がるというオマケ2つ付きだった。)


その他にもいろいろ、本当にいろいろと、便利だがこんなのが作れるとバレたらかなり問題ありな物、俺にはまったく使い道のわからない物もあったり、女特有のこだわりを叶える物とかもあった。


「お前の発想力には本当に驚かされるな」

「私はただ単純に、こういうのあったら便利だよね!って物を作ってるだけだよ?」

「……そうか」

マジックアイテムではなく、魔道具として生産ギルドに登録すれば それなりにいい金になるだろうなって物もいくつかあった。
……余計なことは言わないが。


「そんなことよりロイさん。お腹すいたよ~  ご飯食べに行こう?」

「そうだな」

ーこれだけ大量のマジックアイテムを作っといて、“そんなこと”で終わらせるのか……。


ー本当にマリアは、10歳らしくない。
良くも悪くも、年不相応だ。


怒っても怒っても懲りないところは子供みたいだ。

だが、怒られるとわかっていても便利だからと似たようなことを繰り返すところは子供っぽいというより、図太いと思う。


「きゃうう~ん」

俺の気持ちを知ってか知らずか、
リルは慰めるかのように俺に体をこすりつけてくる。

「リルはいい子だな」

「きゃふん!」

ーマリア自身のこと、リルのこと、
マリアの持つスキルのこと。

悩みの種は多い。

それでも……マリア自身のことも、スキルのことも、
一緒に旅をしてるうちに少しずつ知っていけるだろう。それでいい。無理に知ろうとはしなくていい。

逃げられたくはないからなー……。
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