異世界転生したのだけれど。〜チート隠して、目指せ！ のんびり冒険者 (仮)

本編

深くは聞かない

｢……で、説明してもらおうか？｣

エミリーさんがいなくなって、少しの間のあと。

ロイさんはにっこり笑いながらそう言ってきた。


｢せ、説明って？｣

ネックレスは男の人も付けれるって思ってる理由？
それとも、このネックレスの出処？


｢これ、売ってたやつじゃねぇだろ。どうやって手に入れた？｣

後者だった。

｢売ってたってことでどうにか誤魔化されてくれたり……は、しない、よね？さすがに｣

｢………お前には、錬金……ではなさそうだが……何か、物を作る系統のスキルがあるのか？｣

｢……………うん｣

｢そうか。わかった。どうせ聞いても言わないだろうから、深くは聞かないが……とりあえず、あまり突拍子もない物は作るな｣

｢はい……｣

｢このネックレス、俺が付けても違和感のないデザインだし、耐性付きなんだろ。見えないようににはなるが、付ける｣

｢うん！｣

ネックレスをロイさんはやっと付けてくれた。


｢これでいいのか？｣

｢うん。紐は短めにしてみたんだけど……どうかな？｣

｢ちょうどいいな。邪魔にならない位置だ｣


◇  ◇  ◇

｢で、これには何魔法の耐性がついてるんだ？｣

私が作った物ってことは自白したわけだし、言っちゃってもいいよね？

｢全属性｣

｢……は？｣

｢だから、全属性！  火に水、風と土、それから氷と雷に闇と光の8種類全部の耐性ついてるよ｣

｢………………………｣

は？ って顔と口の形のまま、ロイさんは固まって動かなくなった。

……結界魔法を任意で発動できる機能付きだなんて言ったら、ロイさん倒れちゃう気がするからやめとこう。


｢ロイさん？ 大丈夫？｣

｢慣れたつもりだったんだけどな…… ｣

｢ちなみにリルの首輪も同じく8種の魔法耐性ついてるよ｣

｢まぁ、そうだろうな｣

｢私のつけてるこのネックレスもね～｣

｢……もしかしてそのネックレス、元は俺と買い物したときに買ったブレスレットか？｣

｢え、なんでわかったの？｣

｢え、冗談のつもりだったんだか｣

｢｢……………………｣｣

しばらくの沈黙のあと、ロイさんは頭を抱えだした。

ー物を作るスキルって、錬金以外に何があるのか全然想像つかないけど、まったく違うものに作り替えれるのが規格外なのはわかってたし、今のロイさんの反応からしてもそうなんだろうなって確信してる。

だからこそ素でびっくりして、あの反応になったんだけど。



｢……ねぇ、ロイさん。あのさー……｣