79 / 121
本編
リルの種族
しおりを挟むーそれは突然だった。
「え、リルの種族?」
「あぁ。考えたんだがやっぱり、旅に出る前に最低限リルの種族やスキルくらいは知っとくべきだ」
「まぁ、そうだね……」
やっぱりそうくるかぁ……。ロイさんがリルの種族を知りたがってるのはわかってたから、リルのステータスを偽装できないかやってみたんだけど、ダメだったんだよね……。自分にのみ有効のスキルだった。
「だから今日はギルド行って、鑑定石借りてリルのこと鑑定してから依頼受けるぞ」
「はーい……」
リルがフェンリルだってことを知ったあと、ロイさんがどんな反応するかって考えたら怖いなぁ……。
でもこれからずっと一緒に旅をしていくのに、ずっと隠しとくのは無理な気がするなぁ……。
それに、リルが通常の大きさにならなきゃいけない場面に遭遇する可能性だってきっとあるだろうし。
「……ロイさん。ギルドで鑑定石使うのに、個室を借りれないかな?」
「個室を? ………ギルドマスターがいれば、直接頼んでみるけど、出来るかはわかんねぇぞ」
何かを察したのだろう。ロイさんは少し悩んだ末、今はまだ何も聞かないでくれた。
「うん。お願いします」
◇ ◇ ◇
「……………………」
ギルドマスターにお願いしたらあっさり個室の利用許可がおりて。
ついでに鑑定石も借りて、リルを鑑定した。
そして予想通り、ロイさんはリルの種族を見た瞬間、固まってしまった。
無言のまま固まること、およそ10分。
「あの~ロイさん? びっくりしてるのはよくわかるんだけどさすがに長すぎ……」
種族見ただけでこれかぁ……。 これでリルが本来はこのサイズじゃないって知ったらどうなるんだろ……。
「お、おう……。悪い。 規格外なお前の契約獣な上に、戦闘能力も相当だったからな。 ある程度覚悟はしていたんだが……想像以上すぎた」
「ごめんなさい?」
頭を抱えつつロイさんは やっと、って感じで声を発した。
「スキルもすごいな……。まぁフェンリルならこんなもんだろうが……。
……リルがフェンリルだってこと、誰かに言ったか?」
「言えるわけないでしょ。だから子犬かな?なんてすっとぼけてたんだよ」
「知ってて契約したのか? つか、どうやって契約に持ち込めたのか聞きたいような気がするが、聞かないほうが身のためな気がする」
「あーうん。それは聞かないでほしいし、聞かれたとしても言わない……」
というか、聞かれても困る。
“神様から契約獣として送られてきましたー” とか何アホなこと言ってんの?とかしか思えないでしょ。
かといって、良い誤魔化し方とか浮かばないし。
ーそもそもこの世界、神様を信仰してるのかすら知らないし。
信仰してたとして、あのショタな神様は何の神様なのか知らない……。
130
お気に入りに追加
7,922
あなたにおすすめの小説

異世界転生してしまったがさすがにこれはおかしい
増月ヒラナ
ファンタジー
不慮の事故により死んだ主人公 神田玲。
目覚めたら見知らぬ光景が広がっていた
3歳になるころ、母に催促されステータスを確認したところ
いくらなんでもこれはおかしいだろ!

転生幼女の怠惰なため息
(◉ɷ◉ )〈ぬこ〉
ファンタジー
ひとり残業中のアラフォー、清水 紗代(しみず さよ)。異世界の神のゴタゴタに巻き込まれ、アッという間に死亡…( ºωº )チーン…
紗世を幼い頃から見守ってきた座敷わらしズがガチギレ⁉💢
座敷わらしズが異世界の神を脅し…ε=o(´ロ`||)ゴホゴホッ説得して異世界での幼女生活スタートっ!!
もう何番煎じかわからない異世界幼女転生のご都合主義なお話です。
全くの初心者となりますので、よろしくお願いします。
作者は極度のとうふメンタルとなっております…

転生貴族のスローライフ
マツユキ
ファンタジー
現代の日本で、病気により若くして死んでしまった主人公。気づいたら異世界で貴族の三男として転生していた
しかし、生まれた家は力主義を掲げる辺境伯家。自分の力を上手く使えない主人公は、追放されてしまう事に。しかも、追放先は誰も足を踏み入れようとはしない場所だった
これは、転生者である主人公が最凶の地で、国よりも最強の街を起こす物語である
*基本は1日空けて更新したいと思っています。連日更新をする場合もありますので、よろしくお願いします

(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅
あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり?
異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました!
完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。

幼女と執事が異世界で
天界
ファンタジー
宝くじを握り締めオレは死んだ。
当選金額は約3億。だがオレが死んだのは神の過失だった!
謝罪と称して3億分の贈り物を貰って転生したら異世界!?
おまけで貰った執事と共に異世界を満喫することを決めるオレ。
オレの人生はまだ始まったばかりだ!

野草から始まる異世界スローライフ
深月カナメ
ファンタジー
花、植物に癒されたキャンプ場からの帰り、事故にあい異世界に転生。気付けば子供の姿で、名前はエルバという。
私ーーエルバはスクスク育ち。
ある日、ふれた薬草の名前、効能が頭の中に聞こえた。
(このスキル使える)
エルバはみたこともない植物をもとめ、魔法のある世界で優しい両親も恵まれ、私の第二の人生はいま異世界ではじまった。
エブリスタ様にて掲載中です。
表紙は表紙メーカー様をお借りいたしました。
プロローグ〜78話までを第一章として、誤字脱字を直したものに変えました。
物語は変わっておりません。
一応、誤字脱字、文章などを直したはずですが、まだまだあると思います。見直しながら第二章を進めたいと思っております。
よろしくお願いします。

お前じゃないと、追い出されたが最強に成りました。ざまぁ~見ろ(笑)
いくみ
ファンタジー
お前じゃないと、追い出されたので楽しく復讐させて貰いますね。実は転生者で今世紀では貴族出身、前世の記憶が在る、今まで能力を隠して居たがもう我慢しなくて良いな、開き直った男が楽しくパーティーメンバーに復讐していく物語。
---------
掲載は不定期になります。
追記
「ざまぁ」までがかなり時間が掛かります。
お知らせ
カクヨム様でも掲載中です。

異世界に転生した社畜は調合師としてのんびりと生きていく。~ただの生産職だと思っていたら、結構ヤバい職でした~
夢宮
ファンタジー
台風が接近していて避難勧告が出されているにも関わらず出勤させられていた社畜──渡部与一《わたべよいち》。
雨で視界が悪いなか、信号無視をした車との接触事故で命を落としてしまう。
女神に即断即決で異世界転生を決められ、パパっと送り出されてしまうのだが、幸いなことに女神の気遣いによって職業とスキルを手に入れる──生産職の『調合師』という職業とそのスキルを。
異世界に転生してからふたりの少女に助けられ、港町へと向かい、物語は動き始める。
調合師としての立場を知り、それを利用しようとする者に悩まされながらも生きていく。
そんな与一ののんびりしたくてものんびりできない異世界生活が今、始まる。
※2話から登場人物の描写に入りますので、のんびりと読んでいただけたらなと思います。
※サブタイトル追加しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる