上 下
75 / 121
本編

今日も長々お勉強タイム

しおりを挟む


「そういえばマリア。ルイスから聞いたけどお前、自分が住んでるこの街の名前すら知らなかったんだってな?」

「え?あ、うん……」

朝ご飯も食べ終わり、ギルドで売ってた地図を購入して部屋に戻った途端、ロイさんが急にそうきりだしてきた。

ー返事を聞いたロイさんの目は、完全にスイッチが入っていた。

あ、これ 今日1日、地理のお勉強になるコースだ……。


◇  ◇  ◇

「とまぁ、こんな感じだな。国内だと」

「はー やっと終わった……」

ー予想通り、地理のお勉強で1日が終わった。

最初の方はリルも一緒に聞いてくれていたんだけど、あまりにも長くて途中でリルはお昼寝タイムに入った。

ロイさんの声を子守唄に、たっぷりお昼寝をした。

それなのに起きてもまだ続いていたから、目を見開いてびっくりした顔で、私を見て、ロイさんを見て……を何回か繰り返していた。

リルって獣なのに表情豊かだよねぇ……。


ーちなみに、びっくりしてるリルの顔もすごく可愛かった!カメラがあったらよかったのに……って思った。まぁあったとしても状況的に、写真なんか撮れなかったけどさ。

◇  ◇  ◇

カメラ、かぁ~……  マジックアイテム作成魔法で作れたりしないかなぁ……。

「………リア」

あーでもなぁ……仮に作れたとしても、そもそもそういう概念の物が存在してなかったとしたら目立つ……というか、アウトだよなぁ……。

「ア………  リア!」

カメラじゃなくても、見たものを見たままっぽくなんかこう……写すってかえがく?みたいなのならまだ……

「マリア!」

「!

ごめんロイさん。考え事してた」

「考え事? ……なんか余計なこと、考えてんじゃねぇだろうな?」

そう言ってギロリと睨まれる。

うわ、鋭い……。

「そ、ソンナコトナイヨ……?」

咄嗟に目線はそらしたものの、声になった言葉は正直だった。というか正直すぎた。

「お前さ……前から何回も言ってるが、ちょっとは嘘つくの上手になれよ。別に、嘘つきになれっつってるわけじゃなくてな。
嘘ついてるって丸わかりなのをどうにかしてくれ。 

……というかな、隠し事多いくせになんでそこまで嘘が下手なのかが俺は不思議でしょうがない。」

「……ハイ」

「で?」

「えっ?」

でっ? って何が??

意味がわからずポカーンとする私にロイさんは黒い笑みを浮かべながら、目を逸らさせまいと顔に触れ、がっちり固定したのち、言葉を続けた。

「何を考えてたんだ?言ってみ? ん??」

ー黒い笑みもそうだけど、目が笑ってない。これっぽっちも、笑ってない。
……久しぶりに見たわ このガチ具合。怖い。

「……ま」

「ま?」

「マジックアイテムについて、考え事……を、してまし……た……」

顔はがっちり固定されてて動かせないのでせめてもの抵抗で、視線を明後日の方向にそらしつつ、途切れ途切れにそう答えたー……。



「りっ リルの可愛い姿を、なんか……絵とかそういう感じに、でもそういう時間
かかりそうなのじゃなくて、もっと手軽?簡単?に 残せる物、ってかマジックアイテム?みたいなのないかなーって!」

マジックアイテムって言ったの自分だけど、それでロイさんが火魔法耐性付きブレスレットのことを思い出して言ってきたらめんどくさいってことを思い出して慌てて、ロイさんの言葉を待たずに話を進めた。

「知らないな。そもそもの意味もよくわからない。絵じゃダメなのか?」

「絵だと絵じゃん? そうじゃなくて……」

「そりゃあ、絵は絵だろ」

声にこそだされはしなかったけど、完全に、“何言ってんだコイツ”って言ってる顔だった。


「……うん」

ダメだわ。当たり前っちゃ当たり前かもしれないけど、伝わる気がまるでしない。
……自分の説明が酷いせいも多少はあるんだろうけど。


ーとりあえず、今のところカメラに期待はできなさそうだから リルの可愛いところは心の目に焼き付けておこうと思う。
しおりを挟む
感想 106

あなたにおすすめの小説

異世界転生してしまったがさすがにこれはおかしい

増月ヒラナ
ファンタジー
不慮の事故により死んだ主人公 神田玲。 目覚めたら見知らぬ光景が広がっていた 3歳になるころ、母に催促されステータスを確認したところ いくらなんでもこれはおかしいだろ!

転生幼女の怠惰なため息

(◉ɷ◉ )〈ぬこ〉
ファンタジー
ひとり残業中のアラフォー、清水 紗代(しみず さよ)。異世界の神のゴタゴタに巻き込まれ、アッという間に死亡…( ºωº )チーン… 紗世を幼い頃から見守ってきた座敷わらしズがガチギレ⁉💢 座敷わらしズが異世界の神を脅し…ε=o(´ロ`||)ゴホゴホッ説得して異世界での幼女生活スタートっ!! もう何番煎じかわからない異世界幼女転生のご都合主義なお話です。 全くの初心者となりますので、よろしくお願いします。 作者は極度のとうふメンタルとなっております…

神に異世界へ転生させられたので……自由に生きていく

霜月 祈叶 (霜月藍)
ファンタジー
小説漫画アニメではお馴染みの神の失敗で死んだ。 だから異世界で自由に生きていこうと決めた鈴村茉莉。 どう足掻いても異世界のせいかテンプレ発生。ゴブリン、オーク……盗賊。 でも目立ちたくない。目指せフリーダムライフ!

流石に異世界でもこのチートはやばくない?

裏おきな
ファンタジー
片桐蓮《かたぎりれん》40歳独身駄目サラリーマンが趣味のリサイクルとレストアの資材集めに解体業者の資材置き場に行ったらまさかの異世界転移してしまった!そこに現れたのが守護神獣になっていた昔飼っていた犬のラクス。 異世界転移で手に入れた無限鍛冶 のチート能力で異世界を生きて行く事になった! この作品は約1年半前に初めて「なろう」で書いた物を加筆修正して上げていきます。

異世界転生は、0歳からがいいよね

八時
ファンタジー
転生小説好きの少年が神様のおっちょこちょいで異世界転生してしまった。 神様からのギフト(チート能力)で無双します。 初めてなので誤字があったらすいません。 自由気ままに投稿していきます。

魔晶石ハンター ~ 転生チート少女の数奇な職業活動の軌跡

サクラ近衛将監
ファンタジー
 女神様のミスで事故死したOLの大滝留美は、地球世界での転生が難しいために、神々の伝手により異世界アスレオールに転生し、シルヴィ・デルトンとして生を受けるが、前世の記憶は11歳の成人の儀まで封印され、その儀式の最中に前世の記憶ととともに職業を神から告げられた。  シルヴィの与えられた職業は魔晶石採掘師と魔晶石加工師の二つだったが、シルヴィはその職業を知らなかった。  シルヴィの将来や如何に?  毎週木曜日午後10時に投稿予定です。

裏の林にダンジョンが出来ました。~異世界からの転生幼女、もふもふペットと共に~

あかる
ファンタジー
私、異世界から転生してきたみたい? とある田舎町にダンジョンが出来、そこに入った美優は、かつて魔法学校で教師をしていた自分を思い出した。 犬と猫、それと鶏のペットと一緒にダンジョンと、世界の謎に挑みます!

異世界無知な私が転生~目指すはスローライフ~

丹葉 菟ニ
ファンタジー
倉山美穂 39歳10ヶ月 働けるうちにあったか猫をタップリ着込んで、働いて稼いで老後は ゆっくりスローライフだと夢見るおばさん。 いつもと変わらない日常、隣のブリっ子後輩を適当にあしらいながらも仕事しろと注意してたら突然地震! 悲鳴と逃げ惑う人達の中で咄嗟に 机の下で丸くなる。 対処としては間違って無かった筈なのにぜか飛ばされる感覚に襲われたら静かになってた。 ・・・顔は綺麗だけど。なんかやだ、面倒臭い奴 出てきた。 もう少しマシな奴いませんかね? あっ、出てきた。 男前ですね・・・落ち着いてください。 あっ、やっぱり神様なのね。 転生に当たって便利能力くれるならそれでお願いします。 ノベラを知らないおばさんが 異世界に行くお話です。 不定期更新 誤字脱字 理解不能 読みにくい 等あるかと思いますが、お付き合いして下さる方大歓迎です。

処理中です...