異世界転生したのだけれど。〜チート隠して、目指せ! のんびり冒険者 (仮)

ひなた

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本編

ロイさんの起こし方

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「は? ロイの起こし方のコツ?」

今日はギルマスからロイさん個人に、指名依頼がおりたとのことで、朝から別行動だった。

何をしようか悩んだ末、ルイスにロイさんの起こし方のコツを聞きに来た。

聞くとルイスは、“何言ってんだこいつ”って顔をされた。


「そう。なんかしらのコツがあるんじゃないかなーって。私まだロイさんのこと起こせた試しなくて……」

一旦保留になったとはいえ、旅に出ることは間違いないわけで。
そうなると起こせないって、キツい。

「慣れてるってだけで別にコツとかねぇし」

ルイス誰かさんみたいにうるさくすれば起きるのかなって思ったけど起きなかったんだよねぇ……」

「俺の事言ってんだろ、その誰かさんって」

「だってうるさいじゃん、ルイスの足音」

「……………」

あ、思わず呼び捨てにしちゃった。

「ふっ……」

一応自覚はあったのか、バツが悪そうに視線を逸らし、黙るルイス。
今のやりとりを近くで見聞きしていたらしい他の騎士さんがたまらずって感じで笑い声をもらした。

「だから俺もいつも言ってんだろ。足音うるさいって。マリアちゃん、もっと言ってやってよ。対魔物のときは足音立てずに歩けるくせに普段うるせぇの。ま、おかげで居場所はすーぐわかるけどな」

「……ちょっと古めの建物の2階をちょっと歩いただけで床破壊しそうな足音だよね」

「わかる。つーか、実際壊したことあるぞ」

「え、冗談で言ったのに本当?それはやばいよルイス」

「うるせぇな!つかマリアお前は勝手に呼び捨てしてんな!」

「あーはいはい。ルイスさんねー。わかったから叫ばないでよ うるさい。
だったらはやく教えてよ。ロイさんの起こし方のコツ!」

脱線しちゃったけど、聞きたいのはそれだけなんだってば。


「だから、ねぇって。まじで、慣れ。ただのその1つ!」

「じゃあどうやったら起きると思う? なんか案出してよ」

「は?めんどくせぇな……。

……叩いてみればいんじゃね?しっぽとかで腹あたりを」

めんどくさいとか口ではいいつつ、考えてくれるんだよねルイスって。

「それならもうやった。とりあえず跡は残らない程度の強さでお腹をぺしぺしと。……微動だにしなかったわ」

何回も叩いたんだけど。

「あーじゃあ、しっぽでくすぐってみるとか」

「それもやった。お腹をくすぐったよ。結果は同じで、微動だにせず」

お腹くすぐっても微動だにしないから、死んでるのかと思ったよ……。その直後にかろうじて寝息が聞こえてきたから心配はしなかったけど。


「鼻をくすぐるのは?しっぽで細かく」

「それも……(以下同文)」

その他、激しく揺するとか強めのデコピンとか、ルイスは色々出してくれたけど全部試したものばかりだった。


「…………起きなさすぎだろさすがに」

最終的にネタが尽きたルイスが、驚き半分、呆れ半分で声をあげたところで終わった。……強制終了ともいう。


ーギルドでエミリーさんにも聞いてみたら、あっさりと返された。

どうやらロイさん、野営中はちゃんと寝起きできるらしい。
街の宿とか、安全なところで寝ちゃうとなかなか起きないらしい。でも本人が寝るのに満足したら自然と目を覚ますから 起こせないなら 諦めろ、と。

ー要するに、ロイさんが変わる、ってのはもう不可能(前に散々2人が頑張ったらしいんだけど無理だったんだって。)だから諦めて、自分が忍耐力つける変わる に変えたほうがはやいし、その分を有意義に自分のしたいことをして使えばいいって結論に至った。
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