異世界転生したのだけれど。〜チート隠して、目指せ! のんびり冒険者 (仮)

ひなた

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本編

休養日 02

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美味しいオークの串焼きを食べたあとは、また街を宛もなく歩くことにした。

「そういえば、服がもう少しほしかったんだっけ……」

前世の私はちょっとは裁縫できたんだけど、今の私に裁縫スキルはないんだよね……。あと料理。

というか見事に 戦闘向きのスキルばかりなんだよねぇ……。もうちょっとバランス考えてほしかったよ、あのショタな神様めぇ~。魔法チート欲しがったのは私だけどさ。それだけになるとは思わないじゃん。そもそも魔法だって、まさか全部つくとは思わなかったし。


ってないものねだりしてもしょうがないか。

えっと……なんだっけ。あ、そうそう服だ!服を見よう!で、いいのがあれば買っちゃおう~。

ってことで露店にある服屋に。
といっても、獣人用の服がある店かどうか聞かなきゃなんだけどね。

「いらっしゃいませ~ってあらあら、可愛い猫の獣人さんなのね。でもごめんなさいねぇ。生憎うちには、獣人用のは置いてないのよ」

「あ、そうなんですね……」

聞くまでもなく入るなり、優しそうなちょっとふくよかなおばちゃんがそう教えてくれた。

「このまままっすぐ行ったところに1つ、獣人用の服専門のお店があるわ~ ただそこは中古じゃなくて新品を扱ってるところなの。ここら辺で中古の獣人用の服売ってるところないのよ……」

「ご親切にありがとうございます(ニコッ)。 行ってみますね。……買えるかどうかは別として、見てみようと思います」

「あらあら、小さいのにしっかりしてるのね。うちのとは大違いだわ~」

話もそこそこに、教えて貰ったお店に向かう。

この世界の洋服は中古が主流で、新品を買うことは少ないみたい。常に新品を買うのは王族貴族、あと大商人の家とか……要するにお金持ちがすること。
しょみ……じゃなかった、平民は、中古で買ってこれでもかってくらい着倒すのが基本。


ー新品の服ってどれくらいするのかな? 

服はストリートチルドレンになった最初のころに食費を削って貯めた無けなしのお金で買って以来買ってないし、それだって中古でそこそこの値段だった。

それこそ服くらい幻惑魔法でどうにかできないかなって思ってやってみたりもしたんだけどね。できなかったんだよね。
鑑定で詳しく見てみたら、驚きの事実が発覚。どうやらこの魔法、耳としっぽにしか効果がないみたい。耳としっぽをほかの人に見えなくしてなおかつ、通常の位置に人間の耳があると認識させるため“だけ”の、女神様からの救済措置の魔法だった。なのにレベルSSSなのは私しか使えないから。ただそれだけらしい。だったら生活魔法と同じく、レベルなしで良くない?って思ったよね。あとそれなら幻惑魔法以外になんか違う名前なかったのかな、紛らわしい。

生まれて意識がはっきりしたときに一通り鑑定はしたけど、一個一個こんなに細かくは見なかったんだよね……。

幻惑魔法がダメなら、マジックアイテム作成魔法で どんな服でもそこそこの物に見せれるやつ作ればいいじゃん!ってなったけど、これもダメだった。この魔法、何も無いところから物を作れる便利魔法じゃなかった。マジックアイテムにするための物(ブレスレットとかネックレスとか)がなければどうにもならないやつだった。だったらとりあえず保留でいいや、ってなったんだよね。マジックアイテム作成じゃないよね、付与だよねこれ。付与魔法、エンチャントだよ。ちなみにこれのスキルレベルの理由も幻惑魔法と同じだった。
マジックアイテムは冒険者で言うとランクC以上の人(もしくはそれと同等の実力者)なら見ればマジックアイテムってわかっちゃうらしい。冒険者以外だと目の長けた商人とか騎士とかね。そしてそれらは総じて高価な物が多いから危ないんだって。 見えるように堂々とつけてると、金持ってるって自分で教えて回ってるのと同義だとか。そしてなにより、マジックアイテムだと分からないようにすることは例え作った本人だとしてもできないってことで却下した。マジックアイテムはいわゆるダンジョンって呼ばれるところでゲットできるものだからどんなものがあっても不思議はないって認識みたいだけどあまりにも規格外なのはやばいかもなぁ……。というかさ、作った本人にもどうにもできないってなんだそれって思うけど、神様が直に作ったスキルを持ってしてもそれはどうにもできないし、幻惑魔法でどうこうなんてできないの確定だしってことでどうにかできるか試してみようとかそういう気すら起きなかった。

……神様の概念に、マジックアイテム=高価な物とか目立つ っていうのはないんだろうな。(正解)
(魔法鞄マジックバックは王族貴族はもちろん、冒険者や商人、平民でも入る量の違いはあれど、そこそこまんべんなく普及しているからここには該当しない)


ーちなみに言うと、生活していく上で耳としっぽを隠す必要性を感じなかったために、しばらく幻惑魔法のことを思い出すことはなかったし、マジックアイテム作成魔法なんてもっとなかった。


幻惑魔法とマジックアイテム作成魔法の落とし穴に気づき、慌てて他の魔法の鑑定をしっかりしたのは言うまでもない。


◇  ◇  ◇

ー新品の服は想像以上に高かったけど、スライム討伐の報酬と魔石の買取金のおかげで懐に余裕があった私は、それなりの量の服と下着を買って帰った。
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