異世界転生したのだけれど。〜チート隠して、目指せ! のんびり冒険者 (仮)

ひなた

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本編

何者だコイツ ルイスSide

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「あーもう、めんどくせぇな~」

仕事が終わって、エミリーに用があってギルドに行ったら、つかみかかってるやつがいたから追い払った。

そこまでは、いい。エミリーは俺のなわけだし、ギルド職員に手を出すやつは騎士団の取り締まりの範囲内だからな。


でも、その後の展開は面倒事以外の何者でもなかった。


「つーかあの子供ガキにスライム特殊個体とか大丈夫なのかよ」

ロイだったらこの前のゴブリンのときみたいに   大丈夫、楽勝だろ って言いつつ帰ってくるまで心配し続けるんだろうけど……
俺はそもそも、アイツがやられないかが心配なんだけどまじで大丈夫なのかよ。


いくら心配でも、パーティーメンバーどころか冒険者ですらない俺が手出しはできないから、死ぬなよと祈りつつ待つことしかできないわけで。


「つーか、ギルドの規定も知らないで冒険者って、大丈夫なのかよアイツ……」

直前まで俺も一緒に倒すと思ってたと知った時には、違約金なんざ俺が払うから帰ろうって言おうか本気で悩んだわ。

「ロイに言っとくか……」

マリアアイツギルドの規定も知らねぇみたいだぞ って言えばロイなら絶対教えるな。よし、言おう。


◇  ◇  ◇

様子は見えないが音はギリ聞こえる位置にいた俺は、音がまるでしなくなったことに気づいた。

「倒し切るにはまだはやいよな……。
え、まじ?おいおい、冗談だよな?」

最悪の事態が頭をよぎり、俺は走った。



「おいっ!」

無事か!?

「あ、ルイスさん。ちょうどよかった!終わりました~」

慌てて向かった先にいたマリアコイツは、俺の姿を見て笑顔で手を振ってきた。


…………は?


「……もう終わったのか?」

はやさも異常だけどそれ以上に、なんだこの量。信じられねぇほど大量のスライムの死骸がコイツの周りに落ちているんだが。

「はい。この通り。大量でした~」

大量は大量だけど…… 聞いてた量より遥かに多いよな?これ。

「……………………………」

目の前の信じられない光景に、自分の目を疑った。
夢でも見てんのか、俺は。

「?  ルイスさん??」

これだけでも驚きすぎて現実か疑ってるというのに、コイツはさらにとんでもないことを口にした。


「いや、なんでもない。それにしてもすごい量だな」

「ですね~ 特殊個体だけでも、100はいましたからね」

「……は?」

100?  100ってあの100か?   100????

「ギリギリですけど、日暮れまでには間に合いますかね? 帰りましょっか!」

特殊個体だけで100ってことは普通のも相当数いたってことだよな?つか、いたよな?絶対!

なのになんでそんな笑顔なんだよ。元気なんだよ。音からして魔法相当使ってたのに、魔力枯渇してねぇのかよ。見たところ、怪我も一切してねぇみたいだし。

……何者だコイツ。
獣人だからって範疇に収まるやつじゃねぇよ。だいたい、魔力量の多い獣人ってだけでも珍しいっつーのに。怖ぇよ。


「………………………」

頭痛くなってきたぞ……。

ロイはこれ知ってるのか?知った上で世話焼いてんのか?

「ルイスさん? 帰らないんですか?」

「あーうん、そうだな。帰るか……」

……考えるの、やめるか。それがいいな。そうしよう。



ーこうして俺たちは、予想よりだいぶはやく、帰路についた。
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