異世界転生したのだけれど。〜チート隠して、目指せ! のんびり冒険者 (仮)

ひなた

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本編

らしくない行動 ロイSide

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「帰ってきたか?」

「来てないな。というかそれ、1時間前にも聞いたし、むしろ聞き飽きた」

「おっせぇな…… なにしてんだよアイツ……」

マリアが今日10歳になったらしく、冒険者登録をしてきたからゴブリンを討伐してくる、と言って街を出たのが午前10時すぎ。

ゴブリンごときにマリアがやられるとはこれっぽっちも心配してないが、なぜかマリアは帰ってこない。帰ってきそうな気配さえない。
あと2時間で門も閉まるってのに……。


気になりすぎて午前で仕事は終わったってのに宿舎に帰らず詰所にいた。

「フッ……」

「あ? 何笑ってんだ、ルイス!」

同期で幼馴染で悪友のルイスが、そんな俺を見て鼻で笑う。

「いや……お前にも、筋トレ以外に興味持つものがあったんだなと思って」

「は? なんだよそれ」

「聞けば非番の日には外に連れてってやってたんだってな?」

「そりゃあ、身分証持ってねぇからな」

「本当にそれだけが理由かよ」

「……うるせぇ。知るか、んなこと」

そこは考えないようにしてんのになんでテメェに言われなきゃなんねぇんだよ。

「少なくともあと5年は待たなきゃなんねぇぞ」

「わかってるっつか、別にそういうんじゃねぇよ」

「まぁどっちでもいいけどよ。認めようが認めなかろうが、5年必要なことに変わりはない」

「つかまじで帰ってきてねぇの?見落としとかじゃなくて?」

“これ以上この話はしない” そういう意思表示で話題を無理矢理戻す。

「だから、帰ってきてねぇっつってんだろ。つか見落とさねぇだろあんなの」

ボロボロで汚れた服。冒険者のギルドカードを持ってるのに武器や防具の類いもなければ 採取した物を入れる麻袋も持っていない、痩せ細った見るからにストリートチルドレンな獣人の子供ガキ
これで見落としてたら門番としての資質が問われる。


「あと1時間待って帰ってこなければ探しに行く」

「……それ本気マジで言ってんの」

「もちろん」

「フッ……  過保護な父親かよ。
ホントお前、あの子供ガキのことになるとらしくねぇな。気持ち悪い」

「……うるせぇな。ほっとけ」

「はいはい。帰ってくるといいな」

俺だってわかってる。らしくねぇって。
子供だからとかチビだからだの、獣人だから、武器も防具も持ってないから……とかルイスは色々言うが、心配してる理由はそこじゃねぇ。むしろ逆だ。
見た目と中身があってねぇんだよ。恐ろしいほどにな。




ーー結局その後1時間待っても、マリアは帰って来なかった。
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