異世界転生したのだけれど。〜チート隠して、目指せ！ のんびり冒険者 (仮)

本編

意外と世話好きロイさん

｢マリア！｣

急いで街に向かって戻っていたら、あちらから走ってくる人がいて、こんな時間に街から出るなんて変わった人だな～とか思っていたら顔見知りの人だったらしく、顔が確認できる距離まで近づいた時、焦ったような声で呼ばれた。

｢……ロイさん？｣

え、なんでこんなところに？

｢よかった、無事だったか。もうすぐ日が暮れるってのにお前がなかなか帰ってこないから心配でな｣

変わった人……もとい、ロイさんは私が無事だということを確かめると、頭に手を置き、撫でられた。

｢……それでわざわざ、探しに来てくれたの？｣

ロイさんそういうとこあるよね。見た目のわりに情に厚いってかさ。でもこれはどちらかというと優しさのほうかもしれないけど。

｢たかだかゴブリンの討伐に行ったのに全然帰ってこねぇんだもん。お前の能力知ってるだけに、逆になにかあったんじゃねぇかって焦ったわ｣

｢……ありがとう｣

心配なんてされたの、久しぶりだわ。
というか私にはもう、そういう人はいないんだって諦めてたし。


｢何があったかはあとで聞くからとりあえず街に戻るぞ！もうすぐ門が閉まるからな｣

くしゃっと頭をもうひと撫でしたあとロイさんは私を抱き上げ、走り出した。


ロイさんに抱っこされるのは今回が初めてじゃないし、初めてされたときも うわこれ恥ずかしい！とか一瞬思ったけどそんな気持ち秒で消えたよね。普通に前抱っことかおんぶだったらそんなこともなく、照れ続けたかもしれないけどさ、あろうことかされたのが肩車だったんだもん。子供扱い以外の何者でもないよね。そう思ったら恥ずかしさなんて消えたわ。


まぁさすがに今は走るから肩車じゃなくて横抱きされてるけどね。普通なら 横抱きされて走られると視界が揺れて気持ち悪くなるんだろうけど、身体異常耐性のおかげか全然平気だった。(揺れによる酔いって身体異常なのかはさておき)


ロイさんのおかげでギリギリセーフで門が閉まる前に街に戻れた。