幼女に転生したらイケメン冒険者パーティーに保護&溺愛されています

ご飯とこれから

「お腹、空いたよな。飯にしよう」

意外にも誰も、お腹を鳴らしたことを笑いもしなかった。

──性格的に、ジュードあたりなら笑いそうだとアリスは直感的に思ったのだ。



「つっても、もう食料が干し肉くらいしかねぇんだよな……」
「干し肉じゃ胃に悪いんじゃね？」
「まぁ久々の飯が干し肉なのはキツいのは間違いねぇな」
「だよなぁ。どうしようか？」
「んー上手くはねぇけど さっき倒したレッドウルフも食えなくはないぞ」
「だから、料理しようにも、食材も何もねぇんだって。焼いただけの肉も干し肉も、胃に悪いことに変わりはないだろ」
「だよなぁ。まじでどうしようか？」

一応アリスに気を使ってるつもりなのだろう。
レオンハルトとジュード、それからライムはコソコソと相談を始めた。

──なお、本人達はコソコソしてるつもりなのだろうが、声が通常の大きさなので丸聞こえだ。


「食料なら、ちょっと、ある……」

3人を信用できるのかどうか、アリスは自身の中でまだ判断しきれていなかった。
それはしゃべりかたとして如実にでてしまっていた。
だが3人は、それを咎めはしなかった。

相手を信用しきれていないのは、お互い様だということなのだろうか。


「え、まじで？ どこに？？」

ボソッと呟いたのだが、ジュードの耳には届いたようだ。


「私、アイテムボックス、持ってるから……」

──アイテムボックス持ちは、50人に1人程度いるようなので、無理に隠す必要はないと思い、教えた。
ただし、アリスのように収納量無制限で時間経過も無しというのはほとんどいないのでそこは隠すつもりだ。

「へぇ、アイテムボックス持ちか。俺も持ってるけどそれももう食料はすっからかんなんだよ」

──なんと、ジュードもアイテムボックスの持ち主だった。
話ぶりからして、容量はあまり大きくなさそうだが。



「お水と、お芋と、キャロルにんじんにベーツーキャベツ、他にもお野菜何個かあるけど、多くない。あとお豆とお肉がちょっとあるし、パンと、お米もあるよ」

「お、結構持ってんな～」

「最後の、お米って何？食べ物？」

「……食べ物だよ。調理の仕方があって、正しく調理しないと固くて食べれないけど」

──どうやら、ここら辺にはお米を食べる文化がない、もしくはお米自体が存在しないようだ。

アイテムボックスに入っていた分を大切にしなくては、とアリスは密かに決意したのだった。



「とりあえず、街まで今日をいれなくてもあと2日はかかるんだ。アリスの持ってる食料ありったけ、使わせてもらってもいいか？もちろん街に着いたら買って返す」

「……ん、大丈夫。街まで、一緒？」

「あぁ。こんなところに置いてなんて行けないからな」

「……ありがとう」

アリスは無意識だったが、少しだけ口角があがったのをレオンハルトたちはしっかりと見ていた。


「よし、とりあえずどんだけ食料あるか確認してから飯を作りたいから、１回全部出してみてくれるか？」

──こうしてアリスは、絶体絶命のピンチから一転、
少なくとも街に着くまでの（魔物の脅威からの）身の安全は手に入れたのだったー……。