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澄んだ空と何も無い平原
しおりを挟む「ん……」
チクチクとしたほんの少しの痛みと、寝返りを打ったときの寝心地の悪さに少女は目を覚ました。
「………草? と、空……」
一番最初に視界に入ったのは、草。
そしてどこまでものびる地平線と、空。
「え、まさかの外!?」
想定外の景色に少女は慌てて体を起こした。
やけに体が軽い気がしたが、今少女の関心はそこにはなかった。
「大草原……?」
──目の前に広がるまさかの光景に、少女はきょとんとする他なかったー……。
しばらく放心したのち、少女はようやく意識を自分の体の違和感へと移した。
「手が……小さい? 手だけじゃなくて足も?」
見慣れた自分の手でも足でもなかった。
細いし、小さい。
まるで子供のような細さをしている。
そして足の長さからも考えて、身長も前の自分と比べてだいぶ低いのだろう、とあたりをつけた。
ただ、だろう で済んだのは周りに何も無く、比較対象がなかったために、憶測に過ぎなかったからだ。
──その憶測は、間違っていないのだが。
そんなこと、少女はまだ知らない。
「とりあえず自分を、鑑…定……?」
ブォン……というオンラインゲームっぽい音と共に、
これまたオンラインゲームでよく見る青い半透明な接触不可能な物体が目の前に現れた。
────────────────
【名前】アリス
【年齢】10
【種族】人間
【職業】孤児
【レベル】1
【魔力】500
【体力】100
【スキル】火魔法 水魔法 土魔法 風魔法 光魔法 闇魔法 召喚魔法 雷魔法 氷魔法 回復魔法 聖魔法 空間魔法 生活魔法 料理 鑑定 剣術 体術 魔力制御 詠唱省略 気配察知
【ユニークスキル】結界魔法 付与魔法 創造魔法 異世界レシピ
【称号】異世界転生者
────────────────
「じゅ、10歳!?」
前世の自分よりずいぶん小さくなっているなとは思ったが、まさかそこまで幼くなっていたとは。少女……改め、アリスは驚いた。
そして、次に着目したのはスキルだった。
「こんなに魔法スキル持ってるのって普通なのかな……?」
そんなわけはないだろう、と貰った知識を総動員させたアリスは、愕然とした。
この世界に現存する種族特性を除いたほぼ全ての魔法のスキルと、すでに消滅したと言われる魔法のスキルが自分についていることを把握したのだ。
所有スキル(特に魔法スキル)が多すぎることも、もらった知識から確認がとれた。
「付与魔法はたぶんエンチャントとかで……結界魔法も名前のままだよね。
創造魔法って……魔法を作れるってこと?」
思わず創造魔法のところをジッと見た。
するとまたブォンという音と共にステータス画面が切り替わった。
────────────────
創造魔法
自分だけの魔法が作れる。
魔力を流せば魔法が発動する物も作成可。
全ての魔法と併用、合併可。
────────────────
「……なるほどね。付与魔法は?」
────────────────
付与魔法
既存の物に他の魔法を付与できる。
創造魔法との併用可。
創造魔法との違いは1から作るか0から作るか。
────────────────
「……なるほど」
──アリスは、順応力が高かった。
大草原に小さくなった体で一人ぼっちだというのに、あまりにも冷静だった。冷静すぎた。
ここは異世界で。
魔物という生き物が当然のようにいることをアリスは知識の面ではわかっていても、精神面ではまだわかっていなかったー……。
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