11 / 12
第1章
第10話
しおりを挟む「えっと、付き合うってどこに?」
「んー、どこでもいいんだけど、飯とか食べいくか。」
「えっと、でも、ぼくお金あんまりないから、、、」
「いや、俺がだす。誘ったの俺からだし。なんかまだ雪と居たいから。だめか。」
僕だって友達なんていたこと無かったし、遊びに行ったこととかもなかったからすごくうれしかった。
それに九条くんにまだ一緒にいたいなんて言われて嬉しすぎて。
「でもお金申し訳ないよ、、、」
「だから、雪は俺に付き合ってくれるんだからそのお礼ってことでいいだろ。俺は雪と一緒にいたいよ。だめか?」
「っ、ダメじゃない。」
お出かけなんて誰ともしたことない上に、好きな九条くんに誘われたことが嬉しくて僕は涙が溢れた。
「雪、どうした。やっぱ行きたくないか?」
「っ、ちがくて、ひっく、、、嬉しくて。」
「雪。」
九条くんは僕の腕を引っ張って僕を抱きしめた。
九条くんの腕の中は暖かくて涙が止まらなかったし、胸の奥がきゅうってなって顔がすごくあつかった。
「ふっ、そんなことで泣くなよ。でもそんな純粋そうなとこが雪のいいとこだよな。ほら、そろそろ泣きやみな。飯食べて気分転換するぞ。」
九条くんが制服の袖で僕の涙を拭いてくれる。
九条くんの匂いがして僕はドキドキが止まらなくてずっと落ち着かない感じがしてムズムズした。
「九条くん。ありがとう。」
「いいえ。泣き止んだな。どこ行きたい?」
僕は家は厳しかったし、外食なんてほとんどしたことがなかったからどこに行けばいいのか分からなかった。
「えっと、、、」
僕が真剣に考えていると、
「ふっ。そんな。悩むことか。」
九条くんはくすくす笑っていて僕は少し恥ずかしい気持ちだった。
「だって、ご飯なんて友達いないし行ったことないんだもん。」
「え。まじか。なら尚更たべてみたいものあるんじゃないのか。」
食べたいもの。
そういえば僕は1回だけ実親とご飯を外に食べに行ったことがある。
小学校の時、僕は書道を習っていて、作品をコンクールに出して入賞したことがあった。
その時親に両親に近くのファミレスに連れてってもらってハンバーグを食べた。
あの時はすごく嬉しくて友達に話して回った。
『ファミレス行ったことないの?嘘でしょ。』
信じられないって顔をみんなしていたけれど僕にとってはすごく幸せなことだった。
「ハンバーグ、、、」
「ん?ハンバーグ食べたいのか?」
「えっと、、、」
「ハンバーグ食べいくか。美味しいとこ知ってる。」
僕と九条くんはハンバーグを食べに行くことになった。
昔のこと思い出してしまったけど九条くんとご飯食べるの楽しみだな。
19
お気に入りに追加
83
あなたにおすすめの小説

記憶の代償
槇村焔
BL
「あんたの乱れた姿がみたい」
ーダウト。
彼はとても、俺に似ている。だから、真実の言葉なんて口にできない。
そうわかっていたのに、俺は彼に抱かれてしまった。
だから、記憶がなくなったのは、その代償かもしれない。
昔書いていた記憶の代償の完結・リメイクバージョンです。
いつか完結させねばと思い、今回執筆しました。
こちらの作品は2020年BLOVEコンテストに応募した作品です

あの日の記憶の隅で、君は笑う。
15
BL
アキラは恋人である公彦の部屋でとある写真を見つけた。
その写真に写っていたのはーーー……俺とそっくりな人。
唐突に始まります。
身代わりの恋大好きか〜と思われるかもしれませんが、大好物です!すみません!
幸せになってくれな!



【BL】記憶のカケラ
樺純
BL
あらすじ
とある事故により記憶の一部を失ってしまったキイチ。キイチはその事故以来、海辺である男性の後ろ姿を追いかける夢を毎日見るようになり、その男性の顔が見えそうになるといつもその夢から覚めるため、その相手が誰なのか気になりはじめる。
そんなキイチはいつからか惹かれている幼なじみのタカラの家に転がり込み、居候生活を送っているがタカラと幼なじみという関係を壊すのが怖くて告白出来ずにいた。そんな時、毎日見る夢に出てくるあの後ろ姿を街中で見つける。キイチはその人と会えば何故、あの夢を毎日見るのかその理由が分かるかもしれないとその後ろ姿に夢中になるが、結果としてそのキイチのその行動がタカラの心を締め付け過去の傷痕を抉る事となる。
キイチが忘れてしまった記憶とは?
タカラの抱える過去の傷痕とは?
散らばった記憶のカケラが1つになった時…真実が明かされる。
キイチ(男)
中二の時に事故に遭い記憶の一部を失う。幼なじみであり片想いの相手であるタカラの家に居候している。同じ男であることや幼なじみという関係を壊すのが怖く、タカラに告白出来ずにいるがタカラには過保護で尽くしている。
タカラ(男)
過去の出来事が忘れられないままキイチを自分の家に居候させている。タカラの心には過去の出来事により出来てしまった傷痕があり、その傷痕を癒すことができないまま自分の想いに蓋をしキイチと暮らしている。
ノイル(男)
キイチとタカラの幼なじみ。幼なじみ、男女7人組の年長者として2人を落ち着いた目で見守っている。キイチの働くカフェのオーナーでもあり、良き助言者でもあり、ノイルの行動により2人に大きな変化が訪れるキッカケとなる。
ミズキ(男)
幼なじみ7人組の1人でもありタカラの親友でもある。タカラと同じ職場に勤めていて会社ではタカラの執事くんと呼ばれるほどタカラに甘いが、恋人であるヒノハが1番大切なのでここぞと言う時は恋人を優先する。
ユウリ(女)
幼なじみ7人組の1人。ノイルの経営するカフェで一緒に働いていてノイルの彼女。
ヒノハ(女)
幼なじみ7人組の1人。ミズキの彼女。ミズキのことが大好きで冗談半分でタカラにライバル心を抱いてるというネタで場を和ませる。
リヒト(男)
幼なじみ7人組の1人。冷静な目で幼なじみ達が恋人になっていく様子を見守ってきた。
謎の男性
街でキイチが見かけた毎日夢に出てくる後ろ姿にそっくりな男。


使命を全うするために俺は死にます。
あぎ
BL
とあることで目覚めた主人公、「マリア」は悪役というスペックの人間だったことを思い出せ。そして悲しい過去を持っていた。
とあることで家族が殺され、とあることで婚約破棄をされ、その婚約破棄を言い出した男に殺された。
だが、この男が大好きだったこともしかり、その横にいた女も好きだった
なら、昔からの使命である、彼らを幸せにするという使命を全うする。
それが、みなに忘れられても_

フローブルー
とぎクロム
BL
——好きだなんて、一生、言えないままだと思ってたから…。
高二の夏。ある出来事をきっかけに、フェロモン発達障害と診断された雨笠 紺(あまがさ こん)は、自分には一生、パートナーも、子供も望めないのだと絶望するも、その後も前向きであろうと、日々を重ね、無事大学を出て、就職を果たす。ところが、そんな新社会人になった紺の前に、高校の同級生、日浦 竜慈(ひうら りゅうじ)が現れ、紺に自分の息子、青磁(せいじ)を預け(押し付け)ていく。——これは、始まり。ひとりと、ひとりの人間が、ゆっくりと、激しく、家族になっていくための…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる