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第1章
第8話
しおりを挟む九条くんは僕の手を掴んだまま僕の顔をじっと見ている。
その顔はなんだか少し怒っているように見えて僕は気まずくて顔を逸らした。
「雪。こっち見ろよ。」
九条くんが僕のほっぺたを掴んで無理やり九条くんの方に顔を向かせる。
「んむ。なん、」
「手紙読んだ。雪が俺から離れていこうとするのがムカついて態度が悪くなってた。悪い。」
「あ、えっと僕もごめんなさい。言い方とか良くなかったかもしれない」
手紙には、
『色々迷惑かけてごめんなさい。気にかけてくれてありがとうございました。僕は九条くんと関わる機会なんてないような人だったけど優しくしてくれて嬉しかったです。』
と書いていた。
「俺は雪といて心地よかったから仲良くしたいって思ってたのに雪が離れてこうとするから嫌だった。」
「僕も九条くんといて楽しかったよ。」
「じゃあなんで避けようとしたの。」
「だって僕が人気者の九条くんといたらみんな嫌がると思うから。」
きっと九条くんのことを待ってる人達は沢山いるから、なんであいつがって思われる。
僕は人の視線とか注目されるのとかとても苦手でそういうのに人一倍敏感になっていた。
「そんなの関係ないよ。俺がゆきといたいからいるんだ。雪は違うのか?」
「あ、えっと、九条くんといれるなんておこがまし」
「おこがましいって何。いたいかいたくないか聞いてるんだけど。」
「っ、いたいです、、、。」
なんだか今日の九条くんはすこしこわい。
「雪が人目をすごく気にするとか大人しいとかわかったけど、俺といちゃいけないって思考になるのはわかんないな。雪のこと気に入ってるから仲良くしたいってのは変なことなのか。」
「変じゃない、でもなんで僕なんか、」
「雪は俺の事外面だけで判断しないとことか、何でかわかんないけど一緒にいて楽って思うし。雪のこと好きだよ。」
「え。」
好き?僕のこと好きって言った?
言われたことが上手く処理できなくで混乱していると、
「だから雪と仲良くしたいんだけど。」
あ、友達としてって意味なのか。違う方のすきかと勝手に思っちゃって恥ずかしい。
「僕も九条くんと仲良くしたい、よ?」
「そっか。良かった。でも雪はもっと自己肯定感高くしないとな。」
九条くんは機嫌が良くなったように見えて、僕は勘違いしてしまったのが死ぬほど恥ずかしくて消えたくなった。
そうだよね、僕は男の子が好きだけど九条くんは違うし僕が九条くんが好きかもなんてバレたらホントのホントに嫌われるかも。
絶対に隠し通そうと決めた。
「雪?さっきからなんか変な顔してるけど大丈夫か?」
色々考えてたから九条くんに不思議におもわれた。
「わ。大丈夫。」
「そうか。じゃあ帰ろう。送る。」
「送ってくれなくても大丈夫だよ?僕女の子じゃないし」
「男とか女とか関係あんの。いいから帰るぞ。ゆきと帰りたいんだから。」
そう言って僕の手を掴んで引っ張りながら歩き出した。
どうしよう。
そんなこと言われたらどんどん好きになっちゃうよ。
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