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第1章
第3話
しおりを挟む僕は九条くんに抱えられ、保健室に運ばれた。
九条くんは保健室に先生はいなかったので、そのまま保健室のベットまで行き、ベットの上に僕を下ろしてくれた。
「顔色が相当悪いから、横になってた方がいい。この後誰か家の人に迎えに来てもらえたりとかは?」
と聞かれたけど、僕にはそんな人なんかいなくて答えられなくて黙り込んでいると、九条くんは何も言わずに僕の頭を撫でてきた。
「え、、、あ、」
僕はびっくりして動揺した目で九条くんを見ると、
「まだ体調が悪いんだろう。目の下もくまがすごいし寝ときなさい。」
そう言いながら頭を撫でられ続け僕はすごくドキドキして緊張していたけれど、最近、睡眠不足だったのと、九条くんの手になんだか安心してしまっていつの間にか眠りについていた。
目が覚めると、保健室で寝ていたことに一瞬びっくりしたがそういえば九条くんが運んでくれたのを思い出した。
九条くんは僕なんかに親切にしてくれて、九条くんがみんなに人気な理由が痛いほどわかった。
僕はさっきの出来事を思い出すとドキドキが止まらなかった。
だって、あんなにかっこよくて、なんでも出来て、なんでも持っているような九条くんに優しくされたら誰だって好きになるだろう。
起き上がろうとした時ちょうど保健室の先生がベットの前のカーテンを開けて入ってきた。
「事情は九条くんにきいたわ。もう学校は終わって、今放課後なんだけど帰れそう?」
「はい。帰れます。」
「クマが酷いし、きっと貧血気味だからしっかり休んでご飯も食べてね。無理しないで。」
「はい。ありがとうございます。」
そう言ってベットから降りたが、まだ足元は少しふらついていた。
「やっぱりまだ心配。誰かにむかえにきてもらった方がいいと思う。」
と先生に言われたが、自分で帰れますと言おうとした時、九条くんが保健室に入ってきた。
「体調が気になって見に来ました。もう大丈夫なんですか?」
「まだ体調悪そうで心配だから、親御さんにむかえにきてもらうように言ったんだけど、」
「じゃあ、学校終わったし俺が送っていきます。」
「えっ。」
「あらそう。じゃあお願いしようかしら。」
「帰るぞ。」
そう言って九条くんは僕を連れて保健室を出た。
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