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雛菊姫、説得に向かう

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「配管工勇者を何とかしたら私を解放してくれる?」
 そう雛菊が言う。
「え、雛菊あれをなんとかできるの?」
「当たり前よ。私は聖ランド4カ国連合のお姫様なんだから。外交はお手の物よ!」

 雛菊をオモチャにできなくなるのは悲しいが、配管工勇者に襲われるのは怖い。

「どっちも、ダメかな?」
 上目遣いで雛菊に甘えるように言ってみる。
「……どっちも?」
「うん、どっちも」
「具体的に言ってみなさい」
 先を促すように雛菊が手を振る。
「雛菊が配管工勇者をなんとかしつつ私のオモチャを続けるというのはダメかな?」
「ダメに決まってるでしょう!!と言うかペットじゃなかったの!?もう生き物ですらないじゃない!」

 そっか。ダメなのか。

「配管工勇者をどうやって抑える気?」
「そんなの簡単よ。私が命令すればいいの。聖ランドのお姫様なんだからねっ」

 えぇ……。
 さっき軽く見られてたのにどこからこの自信が出てくるんだろう。
 私が可哀想な物を見るような目をしているのが気に食わなかったのか。
「待ってなさい!」
 雛菊は服を羽織ると、部屋から出て行った。
「キャアアアア!!!キャアアアア!!!」
「配管工勇者様!それ以上は全年齢対象にならなくなりますです!!!」
「イ、イヤァァァ!!!ち、近寄らないでぇぇぇぇ!!!」

 ……ほらね。

「グスグス、よ、汚されちゃう所だったわ」
 服をボロボロに引き裂かれ、タオルを羽織った雛菊が戻ってくる。

「大丈夫なの?」
「R15くらいの内容にとどまっていたかと思うです」

「アウトじゃないの!!!」
 全年齢対象だと言ってるだろ!

「大丈夫ですです。キノコランドはピュアな人が多いので、涙ぺろや壁ドンでもR15 になるくらいなのですです」
「……いや、そんな甘いものじゃなかっただろ」
 悲鳴だぞ?悲鳴……。

 雛菊が身体をブルブル震わせて、男は怖い。お願い、許して、とブツブツ呟いてる。
「これどう見ても……レ」
「!?はいです、レス炎上後に見えるです!!」
「レス炎上後!?なんなのよそれ!」
 キノコボーイは、悲しそうに俯く。
「姫様、魔法学院の急げポッターシリーズで、言ってはいけない名前ってあるですよ?あれと同じですです」
「いや、あれ何度も名前呼ばれてるだろ……1作平均10回は呼ばれてないか?」

 実際何があったのか。

「配管工勇者様が筋肉踊りをして雛菊姫に迫り、怖くなって逃げたところをつまづき転倒し服が破れてケガとなったですです」
「なによ、その労災っぽい言い方」

「男怖い、男怖い……」

 でも……。
 こういうのも、アリかな?

 虚ろな目で怯える雛菊は、その晩私が美味しく頂きました。
 愛情を持って可愛がると翌日は元に戻っていたけどね。
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