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配管工勇者の弟

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「ちょっと待った、兄さん」
「ん?」
 配管工勇者とそっくりな配管工勇者の弟が現れる。
 勇者の方は赤い服で弟の方が緑色の服だ。若干弟の方が細身だが、服を取り替えたらわからないなというような個性だった。
「なんだルイジィ。今桃姫様と交渉中なんだぞ?」

「兄さんが失った5機のうち、2機は僕の残機だ。つまり僕にも権利がある」
「一理あるな。よし、ルイジィとあわせて子供二人にしよう」
「無いわ!何言ってるんだお前ら!」
 1人月の仕事を5人でやったから5人月。
 そんなの通るわけねえだろ!舐めんな!

「仕方ない、なら俺が前でお前が後ろ。どうだ?」
「ふむ、仕方ないか」
 よし、それで。と二人が頷きあう。

「どうだじゃねえよ!妥協してるような言い方すんな!」

 配管工勇者兄弟ウザい。
「いいんですかな?私が本気で怒ればきのこランドごとき……」
 手の平を上に向け前に出す。ググッと握りしめ、勢いよく手を開く。
「ボン、だ」

 なんで昔のバトル漫画の悪役みたいなジェスチャーなんだよ。

「……ちょっと考えさせてくれる?」

 配管工勇者達が出て行ったあと、俺は桃姫脳をフル回転させて考える。

 さて、どうするか。
 逃げるか?
 いや、愛する母国を捨てるわけにはいかないよね。
 
 キノコボーイしか居ないし

 娯楽ないし

 楽しくないし

 美味いものもないし

 でも母国だから捨てるわけには……。
 あれ?微妙だな……。
 そもそも姫様と言われてるけど俺とコイツら種族違うしな。


 ドレスだが、こんなのたかがしれてる。だが、一応整ってると言えるだろう。


 正直まずい。食えないこともないがまずい。なんかエグい味の料理が多い。それと野菜ばっかり出てくる。


 一応お城だが、住みやすいかというとそうでもない。文化度が低くトイレはポットン。
 雨風をしのげて生きるには困らないという程度。

 微妙だな、逃げるか。

 街にでて冒険者桃姫となり気ままなスローライフってのもいいかもしれない。

「グムムムー!!」

 あっ、雛菊姫を忘れてた。
 そっとボールギャグを外してやる。

「も、桃姫!あんたなんで私を生贄にしようとしてるのよ!」
 涙目で拘束されたままビチビチはねる。
「してないわよ?そう言うと雛菊どんな反応するかなって」
「そういうのをサイコパスって言うんだからね!病気なんだから!」
 ええ……。
「サイコパスってもっと危ない人の事じゃないの?」

「感情の一部が欠如している精神病質者のことよ! 愛情や思いやり、道徳や倫理、恐怖なんかが欠けてて人に共感できないんだからね」
 ふむ……。
 雛菊姫を愛しいと思ってるし、壁に埋め込んでないし、道徳や倫理もきちんと持ってる。配管工勇者からは恐ろしさを感じてるし……。
「ごめん、雛菊。何を言ってるのか理解できないわ」
「そういう所がサイコパスだって言ってんのよ!!」


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