男性向けBLゲーの世界に転生して女子校に通う私の物語

第二章 生徒会書記のミーシャ

第16話 トゥルーエンドの沼、ハルミチ=ホウジョウイン

「ミーシャちゃんとナギちゃんだったわね。ふたりともかわいいわ」
「……はい、今日から宜しくお願いします」
「……よろしく」

　生徒会長、ハルミチ=ホウジョウイン。
　ナギよりも背が高く、凛々しい顔をしている三年生。凛々しいというか、男らしいというか。イケメンでガチムチ筋肉質の短髪だ。
　知らなければ、『ええっここ女子校だよね！？』と二度見するような容貌だ。

　明らかに女子校に潜入した男のようなハルミ先輩へ挨拶する。

　思わずアニキと呼びたくなるような容姿だが、実は彼女は攻略対象ではない、『沼』である。

　トゥルーエンドルートでは、彼女への選択肢も多く攻略できそうな感じがあるが、攻略不可である。なぜなら彼女は本物の女性だから。

　男性向けBLゲー。
　攻略対象のパッケージには可愛らしい少女……に見える男で埋め尽くされている。

　ナギもクロエも凛々しいと言う感じだが、カッコいい女の子、という印象がある。

　その中心、いかにもメイン攻略対象っぽく陣取っているのが彼女だ。

　攻略対象のほとんど女性っぽい顔の中で高身長、明らかに男だろうというイケメン風の浮いている存在があった。
　それが生徒会長、ハルミチ=ホウジョウインである。

『パッケージにあきらかに男が混じってて笑える、アニキｗｗｗ』
『ハルミチｗｗｗあからさますぎるｗｗｗ』

　掲示板ではパッケージのスクショがネタとして貼られた。

　生徒会長をクリアしようとしてもできない。
『生徒会長が難しすぎる』
『またバッドエンドになった。個別バッド多すぎ』
　そう、彼女は唯一攻略対象では無いのにやたらと選択肢が多く、攻略対象に見える。
　そして攻略してやろうと突っ込むといくつもの個別バッドエンドがある。
　いや、個別バッドエンドしかないのだ。
　個別エンドが存在しないのだから。

　そして個別バッドが全てエグい。
『BLゲーで少女を攻略しようとするのはけしからん』とばかりに死亡が多い。
　それも苦しみながら死んでいく物が多い。

「どうしたの？あ、私の事を男だとか先生だとか思ってる？怖がらなくていいよ、私は女だから」
　知ってます。そして私達は男なんです。

「ふたりとも可愛いね、今度デートしない？」
「いえ、お断りします」
　私はすぐに断った。
　はい、と答えるとバッドエンドだ。

　だてに会長を攻略しようと全選択肢を試してないぞ。
「つれないね。とりあえずミーシャちゃんはこっちが聞いてた話通り書記。ナギちゃんは書記補佐でいい？」
「はい……」
　入ってしまったものは仕方がない。
　目指せ男だらけの逆ハー？いや、男だからハーレム？どっちがよくわからないけど全員とのエンディングを目指すしかない。
　失敗したら死んじゃうし……。