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副団長の初恋
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18歳の夏。たまたまヴァロアに用事があったため、公爵邸を訪れたが、ヴァロアが不在なために彼の帰宅まで待つことにした。
しかし、いつにもなく庭園などに足を運びたいとジーククリフトは思った。
やって来たのは公爵家に最近出来たという薔薇園。庭園を埋め尽くすほどの多種多様な薔薇の数々にジーククリフトは驚いた。
遠くの方には薔薇を愛でる黒髪の乙女が佇んでいた。
ヴァロアはリリア嬢に夢中なはずだ、とジーククリフトは思い、一体誰なのだろうかとそっと近づいた。
ようやく手の届くところまで行くと、気配に気づいたのか乙女は振り返った。
ジーククリフトはその瞬間、心臓が跳び跳ねるのを感じた。一体何事だろうか。まるで天女のように美しい乙女が目の前にいる。
「私はジーククリフト。貴女の名前は?」
そうジーククリフトが問えば、彼女は喉元に手を当てて、首を横に振った。その様子はなんとも儚げで悲しげだった。
「そうだな、貴女のことは薔薇姫とでも呼ぼうか」
からかい気味に笑えば、彼女はお茶をしないかと身ぶり手振りで伝えてきた。
それから、ジーククリフトは彼女が置かれた状況を知ることになった。興味本意でヴァロアが手にいれたこと、そしてあの薔薇園を彼女に与えたこと。さらに、彼女が不老の一族であることだ。
いますぐにでも、彼女を手にいれたかったが、ヴァロアが手放さないかぎりは無理な話だ。けれども、ヴァロアは手放すことすら忘れ、リリアを失った悲しみで彼女の存在すら忘れていた。
その間、ジーククリフトは足しげく、彼女の元に通った。
そして、ようやくヴァロアが欲しいものを見つけたために、ジーククリフトは彼女を自分のものにすることを決めた。
『いつかこの鳥籠から出してやる』
そう言ったジーククリフトはもう三十路を越えたいい大人だ。そして、彼女は彼の何倍も生きている。だから、せめて彼女を自由にして、命が続く限り愛してやりたいというのがジーククリフトの思いだった。
「貴女を拐うのが約束だったな……」
そっとベッドで眠る彼女に呟いた。それから、彼女を抱き上げて、自分の邸まで連れ去った。そして、ベッドにゆっくりと降ろすと、ジーククリフトは己の着ていたものをすべて脱ぎ捨てた。
丁重に彼女の唇に口づけた。
執事にお願いして、就寝前に飲む紅茶に睡眠薬を混ぜてもらった。卑怯な真似をしたとは思ったが、そうでもしないと痛い思いをさせてしまう。
生娘でなくなれば、彼女は声を出すことができる。そして、ある種の大人の女性になる。
ジーククリフトの手は震えて、額からは汗が流れた。初恋の人を同意もなく犯すのはなんとも罪深い。
……どうかあなたと両思いでありますようにーーーー。
ジーククリフトはそっとそう願って、彼女を貫いた。
しかし、いつにもなく庭園などに足を運びたいとジーククリフトは思った。
やって来たのは公爵家に最近出来たという薔薇園。庭園を埋め尽くすほどの多種多様な薔薇の数々にジーククリフトは驚いた。
遠くの方には薔薇を愛でる黒髪の乙女が佇んでいた。
ヴァロアはリリア嬢に夢中なはずだ、とジーククリフトは思い、一体誰なのだろうかとそっと近づいた。
ようやく手の届くところまで行くと、気配に気づいたのか乙女は振り返った。
ジーククリフトはその瞬間、心臓が跳び跳ねるのを感じた。一体何事だろうか。まるで天女のように美しい乙女が目の前にいる。
「私はジーククリフト。貴女の名前は?」
そうジーククリフトが問えば、彼女は喉元に手を当てて、首を横に振った。その様子はなんとも儚げで悲しげだった。
「そうだな、貴女のことは薔薇姫とでも呼ぼうか」
からかい気味に笑えば、彼女はお茶をしないかと身ぶり手振りで伝えてきた。
それから、ジーククリフトは彼女が置かれた状況を知ることになった。興味本意でヴァロアが手にいれたこと、そしてあの薔薇園を彼女に与えたこと。さらに、彼女が不老の一族であることだ。
いますぐにでも、彼女を手にいれたかったが、ヴァロアが手放さないかぎりは無理な話だ。けれども、ヴァロアは手放すことすら忘れ、リリアを失った悲しみで彼女の存在すら忘れていた。
その間、ジーククリフトは足しげく、彼女の元に通った。
そして、ようやくヴァロアが欲しいものを見つけたために、ジーククリフトは彼女を自分のものにすることを決めた。
『いつかこの鳥籠から出してやる』
そう言ったジーククリフトはもう三十路を越えたいい大人だ。そして、彼女は彼の何倍も生きている。だから、せめて彼女を自由にして、命が続く限り愛してやりたいというのがジーククリフトの思いだった。
「貴女を拐うのが約束だったな……」
そっとベッドで眠る彼女に呟いた。それから、彼女を抱き上げて、自分の邸まで連れ去った。そして、ベッドにゆっくりと降ろすと、ジーククリフトは己の着ていたものをすべて脱ぎ捨てた。
丁重に彼女の唇に口づけた。
執事にお願いして、就寝前に飲む紅茶に睡眠薬を混ぜてもらった。卑怯な真似をしたとは思ったが、そうでもしないと痛い思いをさせてしまう。
生娘でなくなれば、彼女は声を出すことができる。そして、ある種の大人の女性になる。
ジーククリフトの手は震えて、額からは汗が流れた。初恋の人を同意もなく犯すのはなんとも罪深い。
……どうかあなたと両思いでありますようにーーーー。
ジーククリフトはそっとそう願って、彼女を貫いた。
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