冷徹軍師の後妻

世羅

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薔薇の遺したモノ

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 イヴァンのほうに体を反転させ、伏せていた顔をあげ、彼を見上げた。イヴァンの鋭くも美しい双眸は、リリアーナの瞳を捉えていた。そうして、軽く唇が触れるだけのキスをされた。リリアーナは一瞬、何が起こったのかわからずに口に手を当てると、その細い手首はイヴァンにより握られた。露わになった唇を、イヴァンのそれが塞いだ。
 最初は掠れるぐらいの軽いキスだった。次第にそれは深いものへと変わっていった。リリアーナの唇をなぞったのはぬるりと湿ったもので、それがイヴァンの舌だと気づくと体をびくりと震わせた。イヴァンはそんな彼女の腰を思いっきり引き寄せて、逃げれないようにしてしまった。
 イヴァンの舌は、リリアーナの閉ざされた唇の隙間へとするりと侵入し、ぎゅっと結ばれていたはずの歯列さえもいとも簡単に開かせてしまった。

「ん………ふっん……っ」

 固まって怯えるリリアーナは舌を引っ込めていたが、それもイヴァンの舌によって引きずり出されてしまった。イヴァンの舌は柔らかな口内を丹念に味わっていく。時にはその柔らかい唇を吸い、まるで果実を味わうように堪能していた。十分にリリアーナの唇を味見したのち、イヴァンの唇はゆっくりと離れていった。

「嫌だったか……? 今から本当の夫婦になりたいのだが……」

 吐息交じりの切なげな声、そして自分を見つめるサファイアブルーの瞳。彼が生み出す耽美な雰囲気にリリアーナは呑み込まれて、ただ黙ることしかできない。黙っていると、イヴァンがリリアーナの腰の辺りを撫で回し始めた。

「黙るというのは、了承したということでいいんだな?」

 今度は、手を顎を持ち上げられて、唇を奪われた。先ほどのように啄ばむような優しいキスではなかった。いきなり、イヴァンの舌が唇を割り侵入してきて、リリアーナの口腔内を愛撫し始めた。

「んっ………ふぅ……んっっ」

 部屋には、唾液を貪るような粘着質な音が響き渡り、それだけでリリアーナの身体は熱くなってしまう。そして、イヴァンにキスをされて、意識はとろんとしてしまう。
 ゆっくりとイヴァンの手は頰から首、そして胸のあたりまでするするとおりてきた。ちょうど、胸の頂きあたりで、その手は止まった。大きな掌が、その柔らかさを確かめるように胸を揉みしだいていく。普通よりはやや大きいその胸は手のひらから少しだけ溢れるぐらいだ。
 イヴァンはゆっくりと唇を離すと、2人は銀の糸により繋がっていた。


「優しくはするが、加減ができないかもしれない……」

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