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偽りの結婚
Round9 決してネットの情報などは頼ってはいけません!!
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いつもより低い声でここを開けろという声がして、私は仕方なく部屋のドアを開けた。目の前には冷たい表情をした進さんが私を見下ろすように立っていた。無言のまま、私を避けて部屋の中へと入るとベッドに腰を下ろした。そうして、頭に手を当てて、私を睨みつけてきた。その瞳には見るからに怒りが宿っている。
確か、ネット情報だと私が折れたらいいんだよね。
「やっぱり、ずっと一緒だと息が詰まるんです……」
「それは俺のことが嫌いだっていうことか?」
「え……そ、その綺麗な顔をずっと見続けると……」
これは決して悪口ではない、褒めているのだ。実際、イケメン過ぎる進さんといる時間が長いと息が詰まってしまうのは事実だ。私の言葉に彼は呆れていた。そうして、私は腕をぐっと引っ張り、自分の胸元に抱き寄せた。
「じゃあさ、慣れれば問題ないよな。もう少しで合宿終わるし、先に新菜ちゃんは東京に戻って少し羽を休めたほうがいいよ……」
珍しくも彼は折れたし、普通だったらここで一発ヤラれてしまうのが落ちなんじゃないかとか思ったんですがどうやら野獣はおとなしいようです。彼は私の頭に口付けを落とすと、俺のカードで帰りの飛行機とか色々手配していいよと言い、私を解放して部屋から出て行ってしまった。こんなにあっさり解放されるなんて、なんだか気味が悪くて仕方がない。それに、もしかしたら私への関心が薄れてしまったのかもしれない。
そんな事を考えながら、私は残された部屋で帰りの飛行機を手配した。
※
東京に戻り、色々とやることにした。ショッピングにスイーツ巡り。今まで出来なかったことを実行して、満足げにマンションへと帰宅した。明日には戻ってくるというのはわかっているけれども、なんだか勝手に関係がギクシャクしていると私は思い込んでいる。だって、あんなに冷たくされたのは初めてだったから。
それに、連絡すらも来ていない。
これは偽りの結婚だし、別れようと思ったらいつでも離婚をすることはできる。だから、あまり求めてはいけない。愛しているよと彼はいうけれども、それは偽りの言葉かもしれない。だって、彼にはもっとお似合いな女性だっているはずだ。過去には美人女優とも熱愛報道が出ていたぐらいだし。そう思うと、どんどん自分なんか進さんにはふさわしくないように思えて、悲しくなってしまった。偽りならば、いっそここで終わらせてしまったほうが楽かもしれない。
私は左の薬指につけていた指輪を外して、こっそりいつでも別れたいときにと準備していた離婚届を引き出しから取り出して、そこにサインをした。そして、メモには一言だけさようならと記した。
きっとこれでいいんだ。
そのほうがお互い幸せなんだ。
そう私は自分に言い聞かせた。
確か、ネット情報だと私が折れたらいいんだよね。
「やっぱり、ずっと一緒だと息が詰まるんです……」
「それは俺のことが嫌いだっていうことか?」
「え……そ、その綺麗な顔をずっと見続けると……」
これは決して悪口ではない、褒めているのだ。実際、イケメン過ぎる進さんといる時間が長いと息が詰まってしまうのは事実だ。私の言葉に彼は呆れていた。そうして、私は腕をぐっと引っ張り、自分の胸元に抱き寄せた。
「じゃあさ、慣れれば問題ないよな。もう少しで合宿終わるし、先に新菜ちゃんは東京に戻って少し羽を休めたほうがいいよ……」
珍しくも彼は折れたし、普通だったらここで一発ヤラれてしまうのが落ちなんじゃないかとか思ったんですがどうやら野獣はおとなしいようです。彼は私の頭に口付けを落とすと、俺のカードで帰りの飛行機とか色々手配していいよと言い、私を解放して部屋から出て行ってしまった。こんなにあっさり解放されるなんて、なんだか気味が悪くて仕方がない。それに、もしかしたら私への関心が薄れてしまったのかもしれない。
そんな事を考えながら、私は残された部屋で帰りの飛行機を手配した。
※
東京に戻り、色々とやることにした。ショッピングにスイーツ巡り。今まで出来なかったことを実行して、満足げにマンションへと帰宅した。明日には戻ってくるというのはわかっているけれども、なんだか勝手に関係がギクシャクしていると私は思い込んでいる。だって、あんなに冷たくされたのは初めてだったから。
それに、連絡すらも来ていない。
これは偽りの結婚だし、別れようと思ったらいつでも離婚をすることはできる。だから、あまり求めてはいけない。愛しているよと彼はいうけれども、それは偽りの言葉かもしれない。だって、彼にはもっとお似合いな女性だっているはずだ。過去には美人女優とも熱愛報道が出ていたぐらいだし。そう思うと、どんどん自分なんか進さんにはふさわしくないように思えて、悲しくなってしまった。偽りならば、いっそここで終わらせてしまったほうが楽かもしれない。
私は左の薬指につけていた指輪を外して、こっそりいつでも別れたいときにと準備していた離婚届を引き出しから取り出して、そこにサインをした。そして、メモには一言だけさようならと記した。
きっとこれでいいんだ。
そのほうがお互い幸せなんだ。
そう私は自分に言い聞かせた。
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