白騎士と薔薇の婚姻

世羅

文字の大きさ
上 下
5 / 7

閑話: 将軍の嫁取り

しおりを挟む
 ファーバ将軍が嫁を迎えた話は瞬く間に騎士団の間に広まった。それも異民族の娘で、将軍が嫁にすると言い出して連れ帰ったとか。当然ながら、容姿はこの国の女たちと違うし、見た感じ控えめそうな女性だったと噂されている。






「レインはどう思う? あの強面将軍が嫁もらったとか信じられるか?」

「まあ、あの人も一生懸命奥方に好かれようと必死みたいだからいいんじゃないの」





 そう将軍の副官であるレインはよく上司から質問をされるのだ。



 
  ーーーー……女はどんなものが好きだと思う。





 けれども、レインが知る限り、異民族の娘はこの国の女と違って装飾品やらそういった贈り物を好まない。それならば、むしろ異民族には珍しい菓子などを贈ったほうが喜ばれると上司にアドバイスをした。レインが思うに、将軍はこの国の女性から不人気だ。なぜならば、女の扱いをまったく知らないからだ。
 

 しかし、将軍の奥方はどうやら真逆らしいと推測をしている。


「でも、相当な美人だったぜ?」

「ああ、そうだね。異民族の娘は美しいから」


 普通の異民族の娘の容姿でもこの国で美しいと言われる女よりも美しい。それを越えるような容姿の持ち主ともなれば、将軍が咄嗟に欲しがったのも無理はないだろう。けれども、職権乱用だとも言えるが。嫁をもらうのには少し遅いが、美しい花嫁をもらえたならばそれはそれでいいことだ。


「来週、将軍のお宅にお祝いをね、しにいく予定だから楽しみだよ」



 レインはそう言ってにっこりと笑った。



 一体、どんな花嫁なのか会うのが楽しみだ……ーーー。








しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

地獄の業火に焚べるのは……

緑谷めい
恋愛
 伯爵家令嬢アネットは、17歳の時に2つ年上のボルテール侯爵家の長男ジェルマンに嫁いだ。親の決めた政略結婚ではあったが、小さい頃から婚約者だった二人は仲の良い幼馴染だった。表面上は何の問題もなく穏やかな結婚生活が始まる――けれど、ジェルマンには秘密の愛人がいた。学生時代からの平民の恋人サラとの関係が続いていたのである。  やがてアネットは男女の双子を出産した。「ディオン」と名付けられた男児はジェルマンそっくりで、「マドレーヌ」と名付けられた女児はアネットによく似ていた。  ※ 全5話完結予定  

蔑ろにされた王妃と見限られた国王

奏千歌
恋愛
※最初に公開したプロット版はカクヨムで公開しています 国王陛下には愛する女性がいた。 彼女は陛下の初恋の相手で、陛下はずっと彼女を想い続けて、そして大切にしていた。 私は、そんな陛下と結婚した。 国と王家のために、私達は結婚しなければならなかったから、結婚すれば陛下も少しは変わるのではと期待していた。 でも結果は……私の理想を打ち砕くものだった。 そしてもう一つ。 私も陛下も知らないことがあった。 彼女のことを。彼女の正体を。

【コミカライズ&書籍化・取り下げ予定】お幸せに、婚約者様。私も私で、幸せになりますので。

ごろごろみかん。
恋愛
仕事と私、どっちが大切なの? ……なんて、本気で思う日が来るとは思わなかった。 彼は、王族に仕える近衛騎士だ。そして、婚約者の私より護衛対象である王女を優先する。彼は、「王女殿下とは何も無い」と言うけれど、彼女の方はそうでもないみたいですよ? 婚約を解消しろ、と王女殿下にあまりに迫られるので──全て、手放すことにしました。 お幸せに、婚約者様。 私も私で、幸せになりますので。

勘違い令嬢の心の声

にのまえ
恋愛
僕の婚約者 シンシアの心の声が聞こえた。 シア、それは君の勘違いだ。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

命を狙われたお飾り妃の最後の願い

幌あきら
恋愛
【異世界恋愛・ざまぁ系・ハピエン】 重要な式典の真っ最中、いきなりシャンデリアが落ちた――。狙われたのは王妃イベリナ。 イベリナ妃の命を狙ったのは、国王の愛人ジャスミンだった。 短め連載・完結まで予約済みです。設定ゆるいです。 『ベビ待ち』の女性の心情がでてきます。『逆マタハラ』などの表現もあります。苦手な方はお控えください、すみません。

私は心を捨てました 〜「お前なんかどうでもいい」と言ったあなた、どうして今更なのですか?〜

月橋りら
恋愛
私に婚約の打診をしてきたのは、ルイス・フォン・ラグリー侯爵子息。 だが、彼には幼い頃から大切に想う少女がいたーー。 「お前なんかどうでもいい」 そうあなたが言ったから。 私は心を捨てたのに。 あなたはいきなり許しを乞うてきた。 そして優しくしてくるようになった。 ーー私が想いを捨てた後で。 どうして今更なのですかーー。 *この小説はカクヨム様、エブリスタ様でも連載しております。

処理中です...