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同棲生活のはじまりはキスとともに
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翌日の夜、絢音は黒崎のマンションへと行った。
黒崎の住んでるタワーマンションは家賃が二桁超えるてしまうぐらい豪華な住まいだった。しかし、その豪華な住まいに相応しくないほど質素な家具しか置かれていない。
広々としたリビングの真ん中でボストンバッグを持って、立ち尽くしていると、絢音は黒崎に荷物をおいてソファーに座るように促された。
「今日からここが絢音さんが住むところだ。ここにあるものは好きに使っていいし、足りないものがあれば買えばいい。あ、そうそう……寝室は私と一緒だが……」
「えっ……」
絢音は目を丸くして、ぱちぱちと瞬きをしながら、黒崎を見つめた。男性経験皆無、彼氏いない歴と年齢が同じ絢音にはすべてが初めての経験なのだ。一緒に寝るなど、これまで経験したことがないので驚くのも当然だ。しかし、黒崎はちらりと絢音の反応を見ただけで、それ以上は何も言ってこなかった。
「あの……黒崎さん……」
「ああ、そうだ。お風呂を沸かしたから先に入るといいよ」
絢音は黒崎に促されて、風呂に入った。
豪華な住まいだけあって、浴室も広々としていた。湯船につかりながら、絢音は色々と考えた。なぜなら、絢音は黒崎景吾のことをよく知らないのだ。それなのに、顔合わせの翌日から同棲というのは急すぎる。絢音の頭も気持ちもうまくはついてきていない。
着替えを済ませて、髪の毛をドライヤーで乾かして、リビングに顔を出せば、黒崎が「俺も風呂に入ってくる。君は寝室で待っててくれ」と言って、浴室に消えてしまった。
絢音は寝室がどこなのかすらわからずに、ひとつひとつドアを開けて確かめて、ベッドの置いてある部屋を見つけた。
部屋にはキングサイズのベッドが置かれていて、絢音はベッドの淵に腰をかけた。だんだんと脈が速くなって、胸が痛くなってしまう。せわしなく、部屋をきょろきょろ見渡せばベッド以外は何もない。豪華な住まいには相応しくない感じでなんだか絢音は不思議な感じがした。
「っ………」
ちらりと黒崎を見て、絢音は顔を真っ赤にした。風呂から戻ってきた黒崎は上半身裸で、年齢には相応しくないほどその上半身は引き締まっていた。絢音はどこを見ていいかわからずに、なるべく黒崎を見ないように視線を泳がせていた。
黒崎はバスタオルで髪の毛をわしゃわしゃと拭きながら、絢音の隣に腰かけた。
「んっ……」
黒崎の唇が絢音のそれに重なって、ぬるりとした舌が絢音の唇の隙間を割って入ろうとする。絢音がそれに応じないでいると、黒崎の唇がゆっくりと離れた。絢音はあまりの衝撃に固まってしまって、絢音の様子を察した黒崎が手で絢音の頬を撫でた。
「ごめん。確認だけど、キスするの初めて?」
こくりと絢音が頷けば、今度は黒崎が固まってしまった。そして、彼は頭痛がするときのように指でこめかみを抑えた。
「その……黒崎さん……ごめんなさい」
「いや、謝ることじゃないよ。むしろ、俺は君がそういうこと経験したことなくて嬉しい」
絢音は不思議そうな表情を浮かべた。契約結婚だと言ったのは黒崎なはずなのに、どうして嬉しいのだろうか、と絢音は思っていた。黒崎はふっと鼻で笑うと、絢音をベッドに押し倒した。そして、「舌が入ってきたら、口をあければいい」と囁いて、再び黒崎は絢音の唇を奪った。
今まで感じたことがなかった甘美な口づけ、そして体温が上昇するような感覚に絢音は戸惑いを覚えた。うっすら目を開けば、昨日あったばかりの男の顔があり、我に返り、気づいたら唇を話していた。
「……っ……悪い……。すっかり、君が初めてだなんてことを忘れてしまっていたよ。今日はこれ以上、何もしない。それに、君が嫌がることはしないから」
黒崎の声がやけに情けなく聞こえて、絢音は「ごめんなさい……」と無意識に口にしていた。そんな絢音の言葉に、黒崎は目を丸めた。そして、ゆっくりと彼女の隣に寝転ぶとゆっくりと深呼吸をし始めた。絢音はきょとんとしながら、黒崎を見つめれば、彼はそっと口を開いた。
「あんまりにも君とのキスが良すぎて……感じてしまったよ。大丈夫、しばらくすればおさまるから」
まったくもって絢音は何を言われているかわからずに困った顔をしていると、黒崎がぐいっと彼女の手を引っ張って、自身の主張する部分に触れさせた。そして、「わかるだろ? 感じるとこうなるんだ……」と掠れた声で絢音に教えた。
「っ……あっ……あのっ……」
「とりあえず、手を離して。あんまり刺激されると我慢が効かなくなる」
そう言われて、絢音は顔を赤くしながら、その手を離した。
(契約結婚だけれども、そういうことはしなくちゃいけないってことよね?)
黒崎の住んでるタワーマンションは家賃が二桁超えるてしまうぐらい豪華な住まいだった。しかし、その豪華な住まいに相応しくないほど質素な家具しか置かれていない。
広々としたリビングの真ん中でボストンバッグを持って、立ち尽くしていると、絢音は黒崎に荷物をおいてソファーに座るように促された。
「今日からここが絢音さんが住むところだ。ここにあるものは好きに使っていいし、足りないものがあれば買えばいい。あ、そうそう……寝室は私と一緒だが……」
「えっ……」
絢音は目を丸くして、ぱちぱちと瞬きをしながら、黒崎を見つめた。男性経験皆無、彼氏いない歴と年齢が同じ絢音にはすべてが初めての経験なのだ。一緒に寝るなど、これまで経験したことがないので驚くのも当然だ。しかし、黒崎はちらりと絢音の反応を見ただけで、それ以上は何も言ってこなかった。
「あの……黒崎さん……」
「ああ、そうだ。お風呂を沸かしたから先に入るといいよ」
絢音は黒崎に促されて、風呂に入った。
豪華な住まいだけあって、浴室も広々としていた。湯船につかりながら、絢音は色々と考えた。なぜなら、絢音は黒崎景吾のことをよく知らないのだ。それなのに、顔合わせの翌日から同棲というのは急すぎる。絢音の頭も気持ちもうまくはついてきていない。
着替えを済ませて、髪の毛をドライヤーで乾かして、リビングに顔を出せば、黒崎が「俺も風呂に入ってくる。君は寝室で待っててくれ」と言って、浴室に消えてしまった。
絢音は寝室がどこなのかすらわからずに、ひとつひとつドアを開けて確かめて、ベッドの置いてある部屋を見つけた。
部屋にはキングサイズのベッドが置かれていて、絢音はベッドの淵に腰をかけた。だんだんと脈が速くなって、胸が痛くなってしまう。せわしなく、部屋をきょろきょろ見渡せばベッド以外は何もない。豪華な住まいには相応しくない感じでなんだか絢音は不思議な感じがした。
「っ………」
ちらりと黒崎を見て、絢音は顔を真っ赤にした。風呂から戻ってきた黒崎は上半身裸で、年齢には相応しくないほどその上半身は引き締まっていた。絢音はどこを見ていいかわからずに、なるべく黒崎を見ないように視線を泳がせていた。
黒崎はバスタオルで髪の毛をわしゃわしゃと拭きながら、絢音の隣に腰かけた。
「んっ……」
黒崎の唇が絢音のそれに重なって、ぬるりとした舌が絢音の唇の隙間を割って入ろうとする。絢音がそれに応じないでいると、黒崎の唇がゆっくりと離れた。絢音はあまりの衝撃に固まってしまって、絢音の様子を察した黒崎が手で絢音の頬を撫でた。
「ごめん。確認だけど、キスするの初めて?」
こくりと絢音が頷けば、今度は黒崎が固まってしまった。そして、彼は頭痛がするときのように指でこめかみを抑えた。
「その……黒崎さん……ごめんなさい」
「いや、謝ることじゃないよ。むしろ、俺は君がそういうこと経験したことなくて嬉しい」
絢音は不思議そうな表情を浮かべた。契約結婚だと言ったのは黒崎なはずなのに、どうして嬉しいのだろうか、と絢音は思っていた。黒崎はふっと鼻で笑うと、絢音をベッドに押し倒した。そして、「舌が入ってきたら、口をあければいい」と囁いて、再び黒崎は絢音の唇を奪った。
今まで感じたことがなかった甘美な口づけ、そして体温が上昇するような感覚に絢音は戸惑いを覚えた。うっすら目を開けば、昨日あったばかりの男の顔があり、我に返り、気づいたら唇を話していた。
「……っ……悪い……。すっかり、君が初めてだなんてことを忘れてしまっていたよ。今日はこれ以上、何もしない。それに、君が嫌がることはしないから」
黒崎の声がやけに情けなく聞こえて、絢音は「ごめんなさい……」と無意識に口にしていた。そんな絢音の言葉に、黒崎は目を丸めた。そして、ゆっくりと彼女の隣に寝転ぶとゆっくりと深呼吸をし始めた。絢音はきょとんとしながら、黒崎を見つめれば、彼はそっと口を開いた。
「あんまりにも君とのキスが良すぎて……感じてしまったよ。大丈夫、しばらくすればおさまるから」
まったくもって絢音は何を言われているかわからずに困った顔をしていると、黒崎がぐいっと彼女の手を引っ張って、自身の主張する部分に触れさせた。そして、「わかるだろ? 感じるとこうなるんだ……」と掠れた声で絢音に教えた。
「っ……あっ……あのっ……」
「とりあえず、手を離して。あんまり刺激されると我慢が効かなくなる」
そう言われて、絢音は顔を赤くしながら、その手を離した。
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