強欲公爵様の執着愛

世羅

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番外編

番外編: 薔薇をめぐる話

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   ルーナ改めて、ローズは気づかぬ間にジークフリクトの妻となった。(初夜まで済ませてしまった。) たしかに、ローズはジークフリクトには淡い恋心を抱いていたのは事実であるがこんなことになるとは思っても見なかったし。
   何より、彼が絶倫のせいであれ以来悩まされている。







   ジークフリクトの所属する第二師団ではその話題で持ちきりだった。




「団長、嫁さんもらったんだってな!」

「それもすっごく美人らしい!」

「団長が何年もアプローチしてたらしいぜ! でも、強欲で冷徹な主に囲われてたのを団長が救いだしたとか」

「そんなラブロマンス憧れるな」


  ちらりとそんな言葉がヴァロアの耳に入り、ありもしない噂を流すな!とジークフリクトを怒鳴りつけていた。






「でも、薔薇姫を隠すためには好都合だろ? 



それにもう彼女は俺の奥さんだから毎日毎日俺の帰りを待ってるんだ。



まあ、あまりセシリアに執着しすぎないことだな、ヴァロア」





「うるさい」




  捨て吐くようにヴァロアがそう言ってその場を去れば、代わりに彼の部下のランスロットがやってきた。






「異母兄上、あの方を奥方としてお迎えになられたのですか?」



「ああ、そうだ。いまさら確認なんてする必要があるのか?」




「いえ……彼女の行く末を案じていたものですから」



「俺はお前のように爵位がない、ただの妾の子だからな。彼女を妻にすることは簡単だ」





   なぜかその言葉にランスロットは狼狽えたが、さすがに異母兄だ。薔薇姫への好意を見抜いていたのだろう。




「薔薇姫がもう二度と鳥籠の中に入れられずに、幸せになれればそれでよいのです……ーーー」





  ランスロットの祈りは悲しげだった。
  誰よりも美しく純粋な人が異母兄の妻となった。身分違いの恋などはなから結末は見えている。






   そしたら、ジークフリクトと共にいたほうが幸せだろう。






  





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