強欲公爵様の執着愛

世羅

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第1章 公爵と戯れを

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 私の告白に、公爵様は目を大きく見開いて動きを止めた。そして、優しく何度も唇を啄むような接吻をしてくれた。先程のような荒々しさは公爵様からは消えていた。
「あなたは私を煽るのが上手いな。初夜まで君を私の物にするのはやめておこう。ただし、私も我慢は出来ない。だから、それなりのことはさせてもらう」
 ぐっと公爵様は私の足を左右に開こうとしたが、私ははっとして足を閉じようとした。そうすると、公爵様は「焦らしているのかい? 焦らされるのも悪くはない」と言って私の頬を優しく撫でて、また理性を壊すような口づけをしてきた。
 だめ、脚はだめ。と頭の中の私が訴えかけてきていた。
 けれども、もう遅い……―――。
 公爵様の手はするすると私の太腿を撫でていた。そして、彼の顔は私の両足の間に入ってきた。私はぎゅっと目を閉じた。そうすると、ぞくりとした感触が太腿に走った。
「んっ……こ……公爵様っ……汚いからだめっ……」
「あの家でどういう仕打ちをされていたかも俺は知っているんだよ、セシリア? ああ、可愛そうに……君の白い肌にこんな仕打ちをしたやつを俺は許せない」
 公爵様は優しく私の傷跡を撫でた。
 そうだ、伯爵家に異母兄の奥方がやってきてからこういうことをされるようになったのだ。本当であれば、母上は異母兄の妻となるはずだった。しかし、父上が娶ってしまったためにおかしなことになってしまったのだ。母上に恋い焦がれる異母兄を夫人は許せずに、母上がいなくなってからはその憎しみや怒りの矛先が私に向かうようになっていた。夫人は私が何か気に食わないことをすれば、叩き、見えない部分に熱い鉄を押し付け、時には冬なのに冷たい水を頭からかけられたこともあった。そんなことをしていても、夫人の実家から多額の支援をもらっていたため異母兄は何も言えなかったのだ。
「これからは俺があなたを必ず守ると約束するよ。それに、俺はあなたの願いならばなんだって叶えてやりたい」
 唇同士を合わせるだけの口づけだった。私は公爵様の首に腕を回して、自分から公爵様を求めた。自ら公爵様の口に舌をいれれば、公爵様はそれに応じてくれた。どうしてだろうか、先程よりも口づけが気持ちよくて、だんだん色を帯びた息が、はしたない声が漏れてしまった。
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