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第七部 俺達の家族 -団結編-
エピローグ 1/26
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第七部 俺達の家族 ー団結編ー 新章『『兄さんなんて大嫌いです!』
このお話は藤堂正道の視点と朝乃宮千春の視点で物語が進行します。
タイトルは日付で表記されます。
アルファポリスでは朝乃宮千春の視点で物語が進行致します。
藤堂正道の視点は小説家になろうで投稿致します。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「ぐあぁ!」
青島のとある路地裏、逢魔が時にて。
一人の通り魔が複数人のユニホームを着た中学生を襲った。
その通り魔は女性だ。手には木刀を握り、中学生を叩きのめしていく。
中学生達は野球部で鍛えていて、喧嘩も手慣れていた。凶器のバットも持っていた。十人以上はいた。
だが、相手が強すぎた。
その女は躊躇なく人間のウィークポイントをとらえ、間合いを支配し、流れるような動きで無表情に無慈悲に中学生達を地面に叩きのめした。
十五人にいた中学生達は一人、また一人、うめき声をあげ、倒れていく。
鼻血を出している者、あばらにヒビが入っている者、向こう脛を抑えている者、口から血を流している者……。
「くっ……チャフ……無事か……」
「……」
「淋代……がはぁ!」
女は叩きのめした中学生の一人、国八馬の鳩尾を踏みつける。国八馬が最も傷つけられていた。
体中アザだらけで、肋骨も折れている。逃げられないよう足も念入りに痛めつけられていた。
女は国八馬を徹底的にいたぶる。国八馬の意識がなくなっても、女はいたぶるのをやめない。
「……それくらいに……してください……死にますよ……」
「……」
女は手を止め、淋代を感情のこもっていない目で観察する。
「まさか……ここまでとは……青島の女夜叉」
「……」
青島の女夜叉と呼ばれた女性、朝乃宮千春は夕日を背に、木刀を振り上げる。
淋代に木刀を止める術はなく、痛みで指一本動かせない。
淋代はただ木刀が振り下ろされるのを見ていることしか出来なかった。
「お疲れ……って言えばいいのかな? 分かっているとは思うけど、これ、犯罪だよ?」
「……後処理をお願いします」
目的を果たした後、千春は路地裏から出たとこで同じ風紀委員の橘左近と出会う。
勿論、千春は今回の闇討ちを左近に話していない。
それでも、左近がこの場に現れたのは仕事だからだ。
「了解。けど、ここまでする? 確かにキミの大事な上春さんを傷つけたけど、やりすぎじゃない? 隠蔽するの、大変なんだけど」
「これで少しは周りが静かになるでしょう」
千春は溺愛している上春咲の為に行動した。彼女に危険が及ばないよう、千春は行動に出た。
「それとも、正道の為かな? 彼らのせいで正道、野球を辞めちゃったよね。かなり落ち込んでいたけど、それが許せなかった?」
「……ありえませんから」
朝乃宮はほんの少しだけ動きが止まったが、すぐに立ち去ろうとする。
「だよね。よかったよ。僕は今でも伊藤さんと正道を応援しているからさ。御堂には悪いけど。あっ、『朝乃宮姫』にも気遣った方がいい?」
「……」
ブン!
「危なぁ! 僕に危害を加える気? たとえ『朝乃宮』でも、『橘』に危害を加えるのなら無視出来ないんだけど」
左近と千春はお互いにらみ合う。
一触即発の空気が流れる。太陽が地平線に沈もうとしている。闇が犯罪を覆い隠そうとしている。
先に動いたのは……。
「……冗談です。堪忍や」
千春が謝罪し、折れた。
ここで橘と事を起こしても何の得にもならない。橘は容赦なく人の弱点を突いてくる。
咲を危険な目にあわせてしまうのは本末転倒。
それ故の判断だった。
「……信じるよ。分家の上春を護りたい気持ちはね」
左近は警戒を解き、スマホを取り出す。
千春の起こした暴行事件を処理するために指示を出す。
千春はそのまま去って行った。
第七部 俺達の家族 ー団結編ー 新章『『兄さんなんて大嫌いです!』
このお話は藤堂正道の視点と朝乃宮千春の視点で物語が進行します。
タイトルは日付で表記されます。
アルファポリスでは朝乃宮千春の視点で物語が進行致します。
藤堂正道の視点は小説家になろうで投稿致します。
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「ぐあぁ!」
青島のとある路地裏、逢魔が時にて。
一人の通り魔が複数人のユニホームを着た中学生を襲った。
その通り魔は女性だ。手には木刀を握り、中学生を叩きのめしていく。
中学生達は野球部で鍛えていて、喧嘩も手慣れていた。凶器のバットも持っていた。十人以上はいた。
だが、相手が強すぎた。
その女は躊躇なく人間のウィークポイントをとらえ、間合いを支配し、流れるような動きで無表情に無慈悲に中学生達を地面に叩きのめした。
十五人にいた中学生達は一人、また一人、うめき声をあげ、倒れていく。
鼻血を出している者、あばらにヒビが入っている者、向こう脛を抑えている者、口から血を流している者……。
「くっ……チャフ……無事か……」
「……」
「淋代……がはぁ!」
女は叩きのめした中学生の一人、国八馬の鳩尾を踏みつける。国八馬が最も傷つけられていた。
体中アザだらけで、肋骨も折れている。逃げられないよう足も念入りに痛めつけられていた。
女は国八馬を徹底的にいたぶる。国八馬の意識がなくなっても、女はいたぶるのをやめない。
「……それくらいに……してください……死にますよ……」
「……」
女は手を止め、淋代を感情のこもっていない目で観察する。
「まさか……ここまでとは……青島の女夜叉」
「……」
青島の女夜叉と呼ばれた女性、朝乃宮千春は夕日を背に、木刀を振り上げる。
淋代に木刀を止める術はなく、痛みで指一本動かせない。
淋代はただ木刀が振り下ろされるのを見ていることしか出来なかった。
「お疲れ……って言えばいいのかな? 分かっているとは思うけど、これ、犯罪だよ?」
「……後処理をお願いします」
目的を果たした後、千春は路地裏から出たとこで同じ風紀委員の橘左近と出会う。
勿論、千春は今回の闇討ちを左近に話していない。
それでも、左近がこの場に現れたのは仕事だからだ。
「了解。けど、ここまでする? 確かにキミの大事な上春さんを傷つけたけど、やりすぎじゃない? 隠蔽するの、大変なんだけど」
「これで少しは周りが静かになるでしょう」
千春は溺愛している上春咲の為に行動した。彼女に危険が及ばないよう、千春は行動に出た。
「それとも、正道の為かな? 彼らのせいで正道、野球を辞めちゃったよね。かなり落ち込んでいたけど、それが許せなかった?」
「……ありえませんから」
朝乃宮はほんの少しだけ動きが止まったが、すぐに立ち去ろうとする。
「だよね。よかったよ。僕は今でも伊藤さんと正道を応援しているからさ。御堂には悪いけど。あっ、『朝乃宮姫』にも気遣った方がいい?」
「……」
ブン!
「危なぁ! 僕に危害を加える気? たとえ『朝乃宮』でも、『橘』に危害を加えるのなら無視出来ないんだけど」
左近と千春はお互いにらみ合う。
一触即発の空気が流れる。太陽が地平線に沈もうとしている。闇が犯罪を覆い隠そうとしている。
先に動いたのは……。
「……冗談です。堪忍や」
千春が謝罪し、折れた。
ここで橘と事を起こしても何の得にもならない。橘は容赦なく人の弱点を突いてくる。
咲を危険な目にあわせてしまうのは本末転倒。
それ故の判断だった。
「……信じるよ。分家の上春を護りたい気持ちはね」
左近は警戒を解き、スマホを取り出す。
千春の起こした暴行事件を処理するために指示を出す。
千春はそのまま去って行った。
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