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二十八章
二十八話 アンズ -疑惑- その四
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「おい、園田! お客さん!」
「……悪いんだけど、後にして。集中したいの」
「俺もそう言ったんだが、どうしてもっていうからよ。伝言あるぞ。『伊藤が報酬の件について話したいことがある』 ちゃんと伝えたからな!」
「……」
私は演劇部の人の邪魔にならないよう、廊下の端っこで待ち人を待っていた。演劇部のみなさんは劇の最終チェックで忙しそうにしている。
そこを邪魔しちゃって申し訳ないんだけど、緊急事態だから、許してほしい。
先輩……。
先輩は今、保健室で手当てを受けている。幸い大怪我ではなかった。
それでも、私がもっとしっかりしていれば先輩を巻き込まずに済んだのかもしれない。今更だけど、それでも、考えてしまう。
「何か用? 忙しいんだけど」
私は目の前にいる人物を見て、唖然としてしまった。
園田先輩。
人懐っこくて、少しだらけた雰囲気は見る影もなかった。髪はぼさぼさ、目の下にクマができている。
でも、目はぎらぎらしていて、目つきが鋭い。劇の事となると、園田先輩は人が変わったように真剣になることを知っていたけど、その認識があまかった。
今の園田先輩は近寄りがたい雰囲気に包まれている。
劇以外はどうでもいい、私の邪魔をするなって無言でプレッシャーが、一秒でも早く演劇をさせろって意志がびしびしと伝わってくる。
裸足で逃げ出したいけど、そうはいかない。私にも譲れないものがあるから。
「ごめんなさい、いそ……」
「用がないなら呼ぶな」
園田先輩は演劇部の部室へ戻ろうとする。ちょ、ちょっと、せっかちすぎでしょ! 泣きますよ、本当に!
「園田先輩! どうしても確認したいことがあるんです!」
「確認って、何? 報酬の事? 悪いけど、橘から聞いて。私、暇じゃないの。劇が終わったら教えてあげるから」
「殺されかけたんです! お願いします! 話を聞いてください!」
園田先輩の足が止まる。予想すら出来なかった意外な言葉に、興味なさそうだった園田先輩の目が丸くなっている。今なら聞いてもらえるはず。
園田先輩の返事を待たずに、一気に話しかけた。
「今さっきのことです。校門にあったゲートが倒れてきて、下敷きになるところでした。ゲートを調べてみると、ゲートを支えていたロープが切れていました。ただ、切れ口が綺麗だったんです」
「……ナイフで切られたってわけね。自然にロープが切れたら、切れ口は縮れたような跡になる」
園田先輩のご指摘通り。ロープが重みに耐えられなくて切れた場合、ロープが伸びきって、外側から内側にほつれ、ぶちっと切れる。
でも、ゲートを支えていたロープは、切り口が綺麗だった。ほつれた様子はなく、スパッとまるで刃物に切られたかのような切り口だった。
だから、誰かが意図的にロープを切ったと推測できた。
「そうです。私がゲートに近寄って写メを撮ろうとして足を止めたら、音がしたんです。そしたらゲートが倒れてきました。意図的に私が狙われた可能性があります。そのせいで先輩が被害にあってしまいました。許せないんです。だから、園田先輩に確認に来たんです」
「まるで私が犯人みたいな口ぶりね」
犯人扱いされて眉をひそめる園田先輩に、私はきっぱりと否定する。
「園田先輩は犯人じゃありません。演劇部で稽古をしていたことは確認済みです」
「確認したってことは疑っていたってことでしょ? どうして、私が疑われるの?」
「疑ってはいません。知っているだけです。園田先輩が私をずっと観察していたことを」
「……」
園田先輩は黙り込んでしまう。それは私の考えがあっていることを物語っていた。
園田先輩が獅子王さんの演劇を手伝ってくれる報酬が、私の事を観察することだった。私がこの考えに至ったのは、一つの疑問から始まった。
なぜ、私が失恋の事で落ち込んでいた時、タイミングを見計らったように浪花先輩や古見君達が現れたのか?
正直すごく助かったんだけど、ちょっと都合がいいと思っていたんだよね。
そんなことが可能なのかなって考えてみると、一つの推測が思い浮かんだ。
誰かが私を監視していたのではないかと。その監視者が浪花先輩や古見君に私の事を伝えていたのでは?
厨二みたいな考えで、馬鹿げていると最初は思った。ただの妄想だと。
だけど、都合よくみんなが現れることとと監視者がいること、どちらがありえないかと考えると、やっぱり都合よくみんなが現れることだった。
もし、監視者がいると想定して、それは誰なのか? 何の為に監視をしていたのか?
思いついた人物は一人だけだった。その人物とは馬淵先輩。理由は私に復讐する機会をうかがっていたから。
でも、すぐにその考えは間違いだと気づかされた。復讐する相手に助け舟なんてだすわけがない。
だったら誰が監視者なの? 大体、本当にいるの? 私みたいなモブを監視して何の得があるの?
結局ここで思考が停止してしまう。この考えをずっと私一人で抱えていたんだけど、思わぬところで知ってしまう。
私の疑問に答えてくれたのは馬淵先輩だった。
私がゲートの下敷きになりそうになったとき、馬淵先輩が心配して電話してきてくれた。そのとき、私はつい誰かに狙われたことを話した。
ロープが意図的に切られたことは分かったけど、気づくのが遅すぎた。
多くのギャラリーが集まってしまい、人の出入りが激しくなって、犯人が誰かさっぱり分からなくなってしまった。
先輩が怪我したせいで、私が混乱して声をあげてしまったことが原因の一つなんだけど。
犯人が捕まらず悔しがる私に、馬淵先輩は意外な提案をしてくれた。
「……もしかしたら、犯人が分かるかも。園田さんに確認してみて」
「園田先輩? どういうことですか?」
なんで、ここで園田先輩の名前が出てくるの? 軽くパニックになっていると、馬淵先輩が驚きの事実を教えてくれた。
「園田さんから教えてもらったんだ。伊藤さんが吉永と偽名を使って、押水を追い詰めたって事を。それだけじゃない。屋上でヒューズと伊藤さんを合わせる方法を考えてくれたのも園田さんなんだ。園田さんはどうやら伊藤さんの事を調べているらしい。理由は分からないけど」
最初は信じられなかった。なぜ、園田先輩がそんな事を……。
それよりも、どうして園田先輩は私が吉永の偽名を使っていることを知っていたのか?
手がかりは橘先輩にあると思った。なぜなら、園田先輩に劇に指導をしてくれるよう交渉した時、報酬の事を話していた。
それが気になっていた。根拠はないけど、直感でそう思った。だって、園田先輩と関わってから事件が起こるようになったからだ。
そのことを橘先輩に相談して、真相が分かった。
獅子王さんの劇を手伝ってほしいとお願いしにいったとき、難色を示した園田先輩に橘先輩は提案した。
それが私の観察だった。園田先輩はその提案を了承したんだって。
本人の意思を無視して何しちゃってるの!って怒鳴ったけど、橘先輩に、
「それなら、獅子王さん達の劇の指導、誰がするの?」
この一言で黙らされた。ひどい話だよね。
園田先輩が今度青島祭でやる劇の役で、失恋した女の子の役を演じることになった。
もう、分かるよね? 園田先輩は演じる役作りの為に、私を参考にしていたってこと。
園田先輩は役作りの為、複数の男の子と付き合ったみたい。その……最後までやっちゃって、仲良くなった後に振って失恋した気分を味わおうとしたけど、ピンとくるものがなかったらしい。
それはそうだよね。演技が完璧でも、心に嘘をついていたらそれは本気の恋じゃない。
それに、相手が振ってくれないから、自分から振るしかできなかった。それが失恋につながるはずもない。
処女まで失って、何の収穫もなかったことに頭を悩ませていた園田先輩に、橘先輩の提案はまさに渡りに船だった。
だから、OKしてくれた。
私を観察するだけでは満足してもらえなかったのか、馬淵先輩に私が吉永であることを教えたとのこと。
園田先輩がなぜ、私が吉永の偽名を使っていることを知っていたのかについても、橘先輩に教えてもらった。
まず、吉永とは私が押水先輩にハーレム発言をさせる為に使用していた偽名で、その名前を使い、私は押水先輩に近づいた。
橘先輩も、左京と偽名を使い、変装して押水先輩に接触した。
私は自分で変装したんだけど、橘先輩は園田先輩の協力を得て、変装していたんだって。初めて知ったよ、そんなこと。
橘先輩の依頼で、園田先輩は変装を手伝っていたんだけど、そのときにハーレム発言の全貌を知った。
つまり、私が吉永に変装し、偽名を使っていたことを園田先輩は最初から知っていた。
でも、いくら失恋のことが知りたいからって、馬淵先輩にそのことを教えたのはひどいよね。
一応、私が傷ついたとき、園田先輩は古見君や浪花先輩に連絡して、慰めるよう仕向けてくれたのはうれしかったけど。
私が学校を休んだ時も、連絡くれたし。だけど、やっぱりひどい。
収穫はあったらしく、園田先輩は上機嫌だったって橘先輩が話してくれた。ちょっと、複雑な気分だった。
まあ、私達も園田先輩に助けてもらったし、個人的にも園田先輩の事は好きだったので、文句を言う気が失せたんだけど、にやにやと笑っている橘先輩にはその分、お説教をした。
それで私の気もすんだ。
だから、この件に関しては、園田先輩には何も言わずに黙っていようと思っていたけど、今は違う。先輩が傷ついた。
その事実だけが私を突き動かしている。絶対に許せない。
一歩間違えれば大惨事になっていた。このまま犯人不明でおとがめなしは納得いかない。
「ほのっちも知っていると思うけど、私、演劇部にいたから今日の事は知らないわよ」
「はい。今日の事は分からなくても、観察してきた日の事はわかりますよね? その時に不審な人がいなかったか、知りたいんです。お願いします! 少しでも犯人の手がかりをつかみたいんです!」
私は必死に頭を下げた。お願い、園田先輩! 教えてください!
「……そうね。私がほのっちを観察していた時、何人か何度も見かけた人はいるわ。三人ね。よく見かけたのは」
「三人? 誰ですか?」
三人か……まるで何かの推理アニメでよく出てくる三人の容疑者みたい。その三人の中に犯人がいるのかな?
「一人目は浪花ね。ほのっちの体を見て、うんうんってうなずいていたわ。『ほのかクンの胸は私が育てました』って自慢げに」
んなわけねえ。私のいないところで何してるんだか。浪花先輩らしい。ちょっと頭痛がしてきたよ。
「二人目は馬淵先輩。何か思いつめたような顔をしていたわ」
馬淵先輩か。あのときは私に復讐しようとしていたから、監視していたと理解できる。
「最後は藤堂よ。心配げにほのっちのことを見てたわ」
せ、先輩が私を? そっか、そうだったんだ……。
胸の奥が苦しくなるのが分かる。先輩は私のことを見守ってくれていたんだ。それが嬉しくて切なくなる。
そういえば、先輩は私が疲れて寝ちゃったときに上着をかけてくれたり、資料を作ってくれた。
ありがとうございます、先輩。
これで三人の容疑者の名前が出た。浪花先輩、馬淵先輩、先輩。
犯人はこの中にいる……なわけないじゃん! この三人がゲートをつないでいたロープを切るなんてありえない。
浪花先輩と馬淵先輩は、体育館で出し物の打ち合わせをしていた。先輩に関しては、ロープから離れた場所に立っていた。
やっぱり、簡単には分からないか。
「後は一回か二回見かけた人がいたわ。確か、ほのっちを苛めていたヒューズの女の子ね。馬淵先輩達を見て、舌打ちしてたっけ。真似するなって」
美月さんだ。私より、馬淵先輩達を偵察していた可能性が高い。いや、絶対にそう。美月さんは犯人じゃない。
「新見先生も一回だけ見た。獅子王先輩を見て、舌打ちして去っていたわ。たまたま通りかかったって感じだったわね」
新見先生は偶然か……。
でも、新見先生が下した決定事項を私は覆した。今なら私の事を恨んでいるかもしれない。一応注意しておかなきゃ。
「ああっ! そうそう、八乙女さんも見かけたわ。一回だけ見かけたけど、ほのっちの事、じっとみつめていたわよ」
八乙女先輩が? 以前会ったとき、会ったことはないって言ってなかったっけ? あれは嘘だったの? いや、確かに会っていないから正しいんだけど……。
八乙女先輩の事は最近知り合ったばかりなので、よく理解はしていない。
おっとりとした人だけど、もしかして、嫉妬から私の事を恨んで……じゃあ、八乙女先輩が?
あのあたたかな笑顔をした八乙女先輩が犯人なの? 信じられない。
「あっ」
「どうしたんですか?」
「そういえば、もう二組いたわ。ほのっちがいつも一緒にいるあの二人も見かけたわ。ニ、三回くらい」
私といつも一緒にいる二人組? それって明日香とるりかの事? 黒井さんとサッキーも一緒にいることが多いけど、やっぱり、いつも一緒となると明日香とるりかだと思う。二人は絶対に興味本位に決まってる。
もう! 黙ってみているなんて。声をかけてくれてもいいじゃない。とりあえず、この二人は論外。犯人じゃない。
「それくらいね。もういい?」
「はい。ありがとうございました! 園田先輩の劇、絶対に見にいきますから!」
あっ、笑ってくれた。
今日初めて見た園田先輩の笑みに、少し安心してしまう。園田先輩は早足でいってしまった。
気になるのは八乙女先輩なんだけど……しっくりとこない。あの人があんなこと、するのかな?
とりあえず、保健室に戻ろう。先輩の治療も終わってるだろうし。
結局、犯人を見つけることはできなかった。念のため、先輩が私のボディーガードをしてくれているけど、何かすっきりしない。
少し不安だけど、今の私はもっと困った事態に陥っていた、それは……。
「ねえ……なにこれ?」
「お化けの衣装だけど」
青島祭一日前、私は教室でお化けの衣装を試着していた。私の衣装は真っ白な着物一枚。お化けの衣装としては有名なんだけど……サイズが合っていない。小さすぎる。
太ももよりも上の丈のせいで、少しでもかがんだら下着が見えてしまう。
胸は窮屈というレベルじゃない。はみ出てしまって、ブラが見えてしまっている。
艶やかというよりはバカ丸出しの格好。
本当になんなの、これ? 自分でもドン引きしてしまう。
着てしまう私も私なんだけど、これってダレトクなわけ? ここは美少年の上半身裸でしょ? サービスシーンがなさすぎでしょ?
そういえば、古見君や獅子王さん、馬淵先輩達の上半身裸のシーン、なかったよね? なんなの、これ? この世に神はいないの?
少年漫画で、湯煙が消えると美女の裸がでると思いきや、マッチョの男の裸が出るギャグがある。
私にはさっぱり面白さが分からないんだけど、男の子的にはありなみたい。
でも、逆のパターンはありえない。少女漫画で女の子の裸なんて意味ないよね?
どうして、私の初の文化祭がこんなことになってるの? 私の青春、エキセントリックすぎでしょ!
「雪女の衣装だったんだけど、寒いわね。いろんな意味で」
「ねえ、ほのか。そこまでして男の気を引きたいの? バカなの?」
「おたくらが用意したんでしょうが! ねえ、新手のイジメなの? 風紀委員にチクってあげましょうか?」
なんならこの出し物自体、ぶっ壊してあげますよ? ねえ、いいの?
「だったら着なきゃいいのに」
「だって、着ないとツッコめないじゃない」
中途半端は許せないこの性格、憎いね!
「何、そのこだわり? キモい」
「せめて漫才師目指してるのってツッコんでよ」
「その発想がヤバい」
「流石はドMのほのかね」
えっ? 何それ? 私の二つ名、ひどくない?
「だって、新見先生に喧嘩売るなんてチャレンジャーすぎでしょ?」
「……」
ですよね~。先生以外にも獅子王財閥や風紀委員長に喧嘩売りまくりの私ってホント、ドMすぎる。
獅子王さんと古見君がうまくいったら、私、獅子王財閥に消されるのかな?
怖くなったので、話題を変える。
「他の衣装って何かある?」
「残りはぬりかべの衣装だけね。ほのか、どっちがいいの?」
「ぬりかべに決まってるでしょ!」
この衣装でお化けなんてやったら、私は間違いなく停学か、風紀委員に連行される。自ら進んで黒歴史を刻むような真似はしたくない。
私の回答に、女子全員が蔑むような目で私を睨んできた。
「うわ……今、女子全員を敵にまわしたわよ、ほのか。その胸でぬりかべとかありえないでしょ?」
「巨乳反対!」
蹴ってもいいよね? この女達。
巨乳反対って……どこの中学の教室なのよ。この学校に暗殺者はいないよ?
とにかく、さっさと着替えよう……正直、本当に寒い。明日風邪ひいて休みだなんて、間抜けすぎる。
いそいそと着替えようとしたとき、一人の女の子が教室に入ってきた。
その人物とは……。
「ほのかクン! 最高だ! ボクはこの日の為に生まれてきたのかもしれない! ビューティフォ!」
浪花先輩だった。とても喜んでいるけど、誰も共感してませんよ、浪花先輩。
浪花先輩が泣きながら、私の姿を写メしようとしてきた。もちろん、スマホを取り上げる。
まったく、油断も隙もない。
「おい、浪花! 伊藤にちょっかいを出すのはやめろ!」
「ちょ! 先輩! ダメダメ! 絶対にダメ! 絶対に来たらダメですからね! 死にますよ、私!」
先輩の声が聞こえた瞬間、私はマッハで近くにあったぬりかべの衣装で体を隠す。本当に死ぬ。
こんな恥さらしの姿をみせたら、生きていけない。
ああっ、私のキラキラな学校生活はどこにあるの?
結局、私は受付嬢として、クラスの出し物に参加することになった。ちゃんとした衣装でお化けの役、やりたかったな……。
目障りなカップルが来たら、脅かしてやりたかったのに……あれ? 字が違う? 気にしない気にしない。
この衣装事件よりもっと大変だったのが、お化け屋敷の準備が明日までに間に合わないということ。これはもうあの伝説のイベント、教室で徹夜作業するきゃない!
そうみんなで張り切っていたんだけど、先輩に見つかって強制的に解散させられちゃった。結局、明日の朝一で作業することになったんだけど、間に合うのかな?
いろんな問題が私の頭に中を駆け巡る。
橘先輩との勝負。
獅子王さんと古見君の恋の行方。
馬淵先輩達の合唱が本庄先輩の心に届くのか?
クラスの出し物が間に合うのか、ゲートの事件はもう起きないのか……。
いろんな不安を抱えつつ、ついに明日、青島祭が始まろうとしていた。
「……悪いんだけど、後にして。集中したいの」
「俺もそう言ったんだが、どうしてもっていうからよ。伝言あるぞ。『伊藤が報酬の件について話したいことがある』 ちゃんと伝えたからな!」
「……」
私は演劇部の人の邪魔にならないよう、廊下の端っこで待ち人を待っていた。演劇部のみなさんは劇の最終チェックで忙しそうにしている。
そこを邪魔しちゃって申し訳ないんだけど、緊急事態だから、許してほしい。
先輩……。
先輩は今、保健室で手当てを受けている。幸い大怪我ではなかった。
それでも、私がもっとしっかりしていれば先輩を巻き込まずに済んだのかもしれない。今更だけど、それでも、考えてしまう。
「何か用? 忙しいんだけど」
私は目の前にいる人物を見て、唖然としてしまった。
園田先輩。
人懐っこくて、少しだらけた雰囲気は見る影もなかった。髪はぼさぼさ、目の下にクマができている。
でも、目はぎらぎらしていて、目つきが鋭い。劇の事となると、園田先輩は人が変わったように真剣になることを知っていたけど、その認識があまかった。
今の園田先輩は近寄りがたい雰囲気に包まれている。
劇以外はどうでもいい、私の邪魔をするなって無言でプレッシャーが、一秒でも早く演劇をさせろって意志がびしびしと伝わってくる。
裸足で逃げ出したいけど、そうはいかない。私にも譲れないものがあるから。
「ごめんなさい、いそ……」
「用がないなら呼ぶな」
園田先輩は演劇部の部室へ戻ろうとする。ちょ、ちょっと、せっかちすぎでしょ! 泣きますよ、本当に!
「園田先輩! どうしても確認したいことがあるんです!」
「確認って、何? 報酬の事? 悪いけど、橘から聞いて。私、暇じゃないの。劇が終わったら教えてあげるから」
「殺されかけたんです! お願いします! 話を聞いてください!」
園田先輩の足が止まる。予想すら出来なかった意外な言葉に、興味なさそうだった園田先輩の目が丸くなっている。今なら聞いてもらえるはず。
園田先輩の返事を待たずに、一気に話しかけた。
「今さっきのことです。校門にあったゲートが倒れてきて、下敷きになるところでした。ゲートを調べてみると、ゲートを支えていたロープが切れていました。ただ、切れ口が綺麗だったんです」
「……ナイフで切られたってわけね。自然にロープが切れたら、切れ口は縮れたような跡になる」
園田先輩のご指摘通り。ロープが重みに耐えられなくて切れた場合、ロープが伸びきって、外側から内側にほつれ、ぶちっと切れる。
でも、ゲートを支えていたロープは、切り口が綺麗だった。ほつれた様子はなく、スパッとまるで刃物に切られたかのような切り口だった。
だから、誰かが意図的にロープを切ったと推測できた。
「そうです。私がゲートに近寄って写メを撮ろうとして足を止めたら、音がしたんです。そしたらゲートが倒れてきました。意図的に私が狙われた可能性があります。そのせいで先輩が被害にあってしまいました。許せないんです。だから、園田先輩に確認に来たんです」
「まるで私が犯人みたいな口ぶりね」
犯人扱いされて眉をひそめる園田先輩に、私はきっぱりと否定する。
「園田先輩は犯人じゃありません。演劇部で稽古をしていたことは確認済みです」
「確認したってことは疑っていたってことでしょ? どうして、私が疑われるの?」
「疑ってはいません。知っているだけです。園田先輩が私をずっと観察していたことを」
「……」
園田先輩は黙り込んでしまう。それは私の考えがあっていることを物語っていた。
園田先輩が獅子王さんの演劇を手伝ってくれる報酬が、私の事を観察することだった。私がこの考えに至ったのは、一つの疑問から始まった。
なぜ、私が失恋の事で落ち込んでいた時、タイミングを見計らったように浪花先輩や古見君達が現れたのか?
正直すごく助かったんだけど、ちょっと都合がいいと思っていたんだよね。
そんなことが可能なのかなって考えてみると、一つの推測が思い浮かんだ。
誰かが私を監視していたのではないかと。その監視者が浪花先輩や古見君に私の事を伝えていたのでは?
厨二みたいな考えで、馬鹿げていると最初は思った。ただの妄想だと。
だけど、都合よくみんなが現れることとと監視者がいること、どちらがありえないかと考えると、やっぱり都合よくみんなが現れることだった。
もし、監視者がいると想定して、それは誰なのか? 何の為に監視をしていたのか?
思いついた人物は一人だけだった。その人物とは馬淵先輩。理由は私に復讐する機会をうかがっていたから。
でも、すぐにその考えは間違いだと気づかされた。復讐する相手に助け舟なんてだすわけがない。
だったら誰が監視者なの? 大体、本当にいるの? 私みたいなモブを監視して何の得があるの?
結局ここで思考が停止してしまう。この考えをずっと私一人で抱えていたんだけど、思わぬところで知ってしまう。
私の疑問に答えてくれたのは馬淵先輩だった。
私がゲートの下敷きになりそうになったとき、馬淵先輩が心配して電話してきてくれた。そのとき、私はつい誰かに狙われたことを話した。
ロープが意図的に切られたことは分かったけど、気づくのが遅すぎた。
多くのギャラリーが集まってしまい、人の出入りが激しくなって、犯人が誰かさっぱり分からなくなってしまった。
先輩が怪我したせいで、私が混乱して声をあげてしまったことが原因の一つなんだけど。
犯人が捕まらず悔しがる私に、馬淵先輩は意外な提案をしてくれた。
「……もしかしたら、犯人が分かるかも。園田さんに確認してみて」
「園田先輩? どういうことですか?」
なんで、ここで園田先輩の名前が出てくるの? 軽くパニックになっていると、馬淵先輩が驚きの事実を教えてくれた。
「園田さんから教えてもらったんだ。伊藤さんが吉永と偽名を使って、押水を追い詰めたって事を。それだけじゃない。屋上でヒューズと伊藤さんを合わせる方法を考えてくれたのも園田さんなんだ。園田さんはどうやら伊藤さんの事を調べているらしい。理由は分からないけど」
最初は信じられなかった。なぜ、園田先輩がそんな事を……。
それよりも、どうして園田先輩は私が吉永の偽名を使っていることを知っていたのか?
手がかりは橘先輩にあると思った。なぜなら、園田先輩に劇に指導をしてくれるよう交渉した時、報酬の事を話していた。
それが気になっていた。根拠はないけど、直感でそう思った。だって、園田先輩と関わってから事件が起こるようになったからだ。
そのことを橘先輩に相談して、真相が分かった。
獅子王さんの劇を手伝ってほしいとお願いしにいったとき、難色を示した園田先輩に橘先輩は提案した。
それが私の観察だった。園田先輩はその提案を了承したんだって。
本人の意思を無視して何しちゃってるの!って怒鳴ったけど、橘先輩に、
「それなら、獅子王さん達の劇の指導、誰がするの?」
この一言で黙らされた。ひどい話だよね。
園田先輩が今度青島祭でやる劇の役で、失恋した女の子の役を演じることになった。
もう、分かるよね? 園田先輩は演じる役作りの為に、私を参考にしていたってこと。
園田先輩は役作りの為、複数の男の子と付き合ったみたい。その……最後までやっちゃって、仲良くなった後に振って失恋した気分を味わおうとしたけど、ピンとくるものがなかったらしい。
それはそうだよね。演技が完璧でも、心に嘘をついていたらそれは本気の恋じゃない。
それに、相手が振ってくれないから、自分から振るしかできなかった。それが失恋につながるはずもない。
処女まで失って、何の収穫もなかったことに頭を悩ませていた園田先輩に、橘先輩の提案はまさに渡りに船だった。
だから、OKしてくれた。
私を観察するだけでは満足してもらえなかったのか、馬淵先輩に私が吉永であることを教えたとのこと。
園田先輩がなぜ、私が吉永の偽名を使っていることを知っていたのかについても、橘先輩に教えてもらった。
まず、吉永とは私が押水先輩にハーレム発言をさせる為に使用していた偽名で、その名前を使い、私は押水先輩に近づいた。
橘先輩も、左京と偽名を使い、変装して押水先輩に接触した。
私は自分で変装したんだけど、橘先輩は園田先輩の協力を得て、変装していたんだって。初めて知ったよ、そんなこと。
橘先輩の依頼で、園田先輩は変装を手伝っていたんだけど、そのときにハーレム発言の全貌を知った。
つまり、私が吉永に変装し、偽名を使っていたことを園田先輩は最初から知っていた。
でも、いくら失恋のことが知りたいからって、馬淵先輩にそのことを教えたのはひどいよね。
一応、私が傷ついたとき、園田先輩は古見君や浪花先輩に連絡して、慰めるよう仕向けてくれたのはうれしかったけど。
私が学校を休んだ時も、連絡くれたし。だけど、やっぱりひどい。
収穫はあったらしく、園田先輩は上機嫌だったって橘先輩が話してくれた。ちょっと、複雑な気分だった。
まあ、私達も園田先輩に助けてもらったし、個人的にも園田先輩の事は好きだったので、文句を言う気が失せたんだけど、にやにやと笑っている橘先輩にはその分、お説教をした。
それで私の気もすんだ。
だから、この件に関しては、園田先輩には何も言わずに黙っていようと思っていたけど、今は違う。先輩が傷ついた。
その事実だけが私を突き動かしている。絶対に許せない。
一歩間違えれば大惨事になっていた。このまま犯人不明でおとがめなしは納得いかない。
「ほのっちも知っていると思うけど、私、演劇部にいたから今日の事は知らないわよ」
「はい。今日の事は分からなくても、観察してきた日の事はわかりますよね? その時に不審な人がいなかったか、知りたいんです。お願いします! 少しでも犯人の手がかりをつかみたいんです!」
私は必死に頭を下げた。お願い、園田先輩! 教えてください!
「……そうね。私がほのっちを観察していた時、何人か何度も見かけた人はいるわ。三人ね。よく見かけたのは」
「三人? 誰ですか?」
三人か……まるで何かの推理アニメでよく出てくる三人の容疑者みたい。その三人の中に犯人がいるのかな?
「一人目は浪花ね。ほのっちの体を見て、うんうんってうなずいていたわ。『ほのかクンの胸は私が育てました』って自慢げに」
んなわけねえ。私のいないところで何してるんだか。浪花先輩らしい。ちょっと頭痛がしてきたよ。
「二人目は馬淵先輩。何か思いつめたような顔をしていたわ」
馬淵先輩か。あのときは私に復讐しようとしていたから、監視していたと理解できる。
「最後は藤堂よ。心配げにほのっちのことを見てたわ」
せ、先輩が私を? そっか、そうだったんだ……。
胸の奥が苦しくなるのが分かる。先輩は私のことを見守ってくれていたんだ。それが嬉しくて切なくなる。
そういえば、先輩は私が疲れて寝ちゃったときに上着をかけてくれたり、資料を作ってくれた。
ありがとうございます、先輩。
これで三人の容疑者の名前が出た。浪花先輩、馬淵先輩、先輩。
犯人はこの中にいる……なわけないじゃん! この三人がゲートをつないでいたロープを切るなんてありえない。
浪花先輩と馬淵先輩は、体育館で出し物の打ち合わせをしていた。先輩に関しては、ロープから離れた場所に立っていた。
やっぱり、簡単には分からないか。
「後は一回か二回見かけた人がいたわ。確か、ほのっちを苛めていたヒューズの女の子ね。馬淵先輩達を見て、舌打ちしてたっけ。真似するなって」
美月さんだ。私より、馬淵先輩達を偵察していた可能性が高い。いや、絶対にそう。美月さんは犯人じゃない。
「新見先生も一回だけ見た。獅子王先輩を見て、舌打ちして去っていたわ。たまたま通りかかったって感じだったわね」
新見先生は偶然か……。
でも、新見先生が下した決定事項を私は覆した。今なら私の事を恨んでいるかもしれない。一応注意しておかなきゃ。
「ああっ! そうそう、八乙女さんも見かけたわ。一回だけ見かけたけど、ほのっちの事、じっとみつめていたわよ」
八乙女先輩が? 以前会ったとき、会ったことはないって言ってなかったっけ? あれは嘘だったの? いや、確かに会っていないから正しいんだけど……。
八乙女先輩の事は最近知り合ったばかりなので、よく理解はしていない。
おっとりとした人だけど、もしかして、嫉妬から私の事を恨んで……じゃあ、八乙女先輩が?
あのあたたかな笑顔をした八乙女先輩が犯人なの? 信じられない。
「あっ」
「どうしたんですか?」
「そういえば、もう二組いたわ。ほのっちがいつも一緒にいるあの二人も見かけたわ。ニ、三回くらい」
私といつも一緒にいる二人組? それって明日香とるりかの事? 黒井さんとサッキーも一緒にいることが多いけど、やっぱり、いつも一緒となると明日香とるりかだと思う。二人は絶対に興味本位に決まってる。
もう! 黙ってみているなんて。声をかけてくれてもいいじゃない。とりあえず、この二人は論外。犯人じゃない。
「それくらいね。もういい?」
「はい。ありがとうございました! 園田先輩の劇、絶対に見にいきますから!」
あっ、笑ってくれた。
今日初めて見た園田先輩の笑みに、少し安心してしまう。園田先輩は早足でいってしまった。
気になるのは八乙女先輩なんだけど……しっくりとこない。あの人があんなこと、するのかな?
とりあえず、保健室に戻ろう。先輩の治療も終わってるだろうし。
結局、犯人を見つけることはできなかった。念のため、先輩が私のボディーガードをしてくれているけど、何かすっきりしない。
少し不安だけど、今の私はもっと困った事態に陥っていた、それは……。
「ねえ……なにこれ?」
「お化けの衣装だけど」
青島祭一日前、私は教室でお化けの衣装を試着していた。私の衣装は真っ白な着物一枚。お化けの衣装としては有名なんだけど……サイズが合っていない。小さすぎる。
太ももよりも上の丈のせいで、少しでもかがんだら下着が見えてしまう。
胸は窮屈というレベルじゃない。はみ出てしまって、ブラが見えてしまっている。
艶やかというよりはバカ丸出しの格好。
本当になんなの、これ? 自分でもドン引きしてしまう。
着てしまう私も私なんだけど、これってダレトクなわけ? ここは美少年の上半身裸でしょ? サービスシーンがなさすぎでしょ?
そういえば、古見君や獅子王さん、馬淵先輩達の上半身裸のシーン、なかったよね? なんなの、これ? この世に神はいないの?
少年漫画で、湯煙が消えると美女の裸がでると思いきや、マッチョの男の裸が出るギャグがある。
私にはさっぱり面白さが分からないんだけど、男の子的にはありなみたい。
でも、逆のパターンはありえない。少女漫画で女の子の裸なんて意味ないよね?
どうして、私の初の文化祭がこんなことになってるの? 私の青春、エキセントリックすぎでしょ!
「雪女の衣装だったんだけど、寒いわね。いろんな意味で」
「ねえ、ほのか。そこまでして男の気を引きたいの? バカなの?」
「おたくらが用意したんでしょうが! ねえ、新手のイジメなの? 風紀委員にチクってあげましょうか?」
なんならこの出し物自体、ぶっ壊してあげますよ? ねえ、いいの?
「だったら着なきゃいいのに」
「だって、着ないとツッコめないじゃない」
中途半端は許せないこの性格、憎いね!
「何、そのこだわり? キモい」
「せめて漫才師目指してるのってツッコんでよ」
「その発想がヤバい」
「流石はドMのほのかね」
えっ? 何それ? 私の二つ名、ひどくない?
「だって、新見先生に喧嘩売るなんてチャレンジャーすぎでしょ?」
「……」
ですよね~。先生以外にも獅子王財閥や風紀委員長に喧嘩売りまくりの私ってホント、ドMすぎる。
獅子王さんと古見君がうまくいったら、私、獅子王財閥に消されるのかな?
怖くなったので、話題を変える。
「他の衣装って何かある?」
「残りはぬりかべの衣装だけね。ほのか、どっちがいいの?」
「ぬりかべに決まってるでしょ!」
この衣装でお化けなんてやったら、私は間違いなく停学か、風紀委員に連行される。自ら進んで黒歴史を刻むような真似はしたくない。
私の回答に、女子全員が蔑むような目で私を睨んできた。
「うわ……今、女子全員を敵にまわしたわよ、ほのか。その胸でぬりかべとかありえないでしょ?」
「巨乳反対!」
蹴ってもいいよね? この女達。
巨乳反対って……どこの中学の教室なのよ。この学校に暗殺者はいないよ?
とにかく、さっさと着替えよう……正直、本当に寒い。明日風邪ひいて休みだなんて、間抜けすぎる。
いそいそと着替えようとしたとき、一人の女の子が教室に入ってきた。
その人物とは……。
「ほのかクン! 最高だ! ボクはこの日の為に生まれてきたのかもしれない! ビューティフォ!」
浪花先輩だった。とても喜んでいるけど、誰も共感してませんよ、浪花先輩。
浪花先輩が泣きながら、私の姿を写メしようとしてきた。もちろん、スマホを取り上げる。
まったく、油断も隙もない。
「おい、浪花! 伊藤にちょっかいを出すのはやめろ!」
「ちょ! 先輩! ダメダメ! 絶対にダメ! 絶対に来たらダメですからね! 死にますよ、私!」
先輩の声が聞こえた瞬間、私はマッハで近くにあったぬりかべの衣装で体を隠す。本当に死ぬ。
こんな恥さらしの姿をみせたら、生きていけない。
ああっ、私のキラキラな学校生活はどこにあるの?
結局、私は受付嬢として、クラスの出し物に参加することになった。ちゃんとした衣装でお化けの役、やりたかったな……。
目障りなカップルが来たら、脅かしてやりたかったのに……あれ? 字が違う? 気にしない気にしない。
この衣装事件よりもっと大変だったのが、お化け屋敷の準備が明日までに間に合わないということ。これはもうあの伝説のイベント、教室で徹夜作業するきゃない!
そうみんなで張り切っていたんだけど、先輩に見つかって強制的に解散させられちゃった。結局、明日の朝一で作業することになったんだけど、間に合うのかな?
いろんな問題が私の頭に中を駆け巡る。
橘先輩との勝負。
獅子王さんと古見君の恋の行方。
馬淵先輩達の合唱が本庄先輩の心に届くのか?
クラスの出し物が間に合うのか、ゲートの事件はもう起きないのか……。
いろんな不安を抱えつつ、ついに明日、青島祭が始まろうとしていた。
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