195 / 531
番外編 バットエンド_届かない声 前編 プロローグ
プロローグ 後悔 その一
しおりを挟む
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
番外編です。
このお話は「三話 伊藤ほのかの猛省 失われた楽園」と「四話 伊藤ほのかのファーストキス」の間でのお話です。
多少、辻褄があわないところもありますが、多めに見ていただけるとありがたいです。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「はあ……」
何度目のため息になるのか分からない。
苛立った気持ちとモヤモヤとした想いを抱え、俺は誰もいない廊下を歩いていた。
六時過ぎにもなると、騒がしかった校舎は鳴りを潜め、逆に耳が痛くなるほどの静寂を感じる。冷たい初秋の風が苛立った感情を落ち着かせてくれる。
俺の足音だけが廊下に響き渡り、反響している。
静かなのは望むところだ。じっくりと考えたいことがある。
俺はつい隣を見てしまう。いつもそこにいる相棒はいない。
俺はまた、ため息がもれた。
どうして、こうなった?
俺は今日の出来事を思い返してみる。
「……それでですね、先輩。よっちーがいいとこ見せようとして誤爆しちゃって……」
伊藤の楽しげな世間話に、俺は適度に相づちを打つ。
伊藤ほのか。
最近コンビを組むことになった俺の相棒で、一つ年下の女子だ。
明るめの脱色された茶髪のエアリーショートにスカート丈は膝上十センチ以上、ブラウスのボタンが二つ開けられ、そこから見える胸元にハートのネックレス。風紀委員をなめてるとしか思えない服装だ。
性格も考えも正反対の俺達だが、とある事件で知り合い、今では相棒としてお互い行動している。
本当に世の中、予測できないことばかりだ。
伊藤はなぜか、俺を恐れない。俺は不本意ながら『不良狩り』という二つ名がついている。
青島は別名、不良の聖地などと呼ばれていた。そのせいで不良達がこの島に集まってくるのだ。俺はそんな不良ばかり相手をしてきた為、いつの間にかそう呼ばれるようになってしまった。
伊藤はそんな俺を怖がりもせず、そばにいてくれる。俺は戸惑いながらも、久しぶりに誰かと話が出来る相手を重宝していた。
まあ、なんだ。手のかかる後輩だから可愛いと……思わなくもない。
俺の短い相づちでも、伊藤は喜んで話を続けてくれる。俺と一緒にいることで誰かに喜んでもらえた事なんてあっただろうか?
普段の俺は周りから嫌われているので、こういった存在は本当にありがたい。
それに可愛い女の子に微笑んでもらえるだけでも、男としては嬉しいものだ。
今日の活動はただの見回りで、不良を相手にする必要もない。もちろん、不良が誰かに迷惑をかけていれば止めに入るが、そうそう事件など起きるはずもない。
少々退屈を感じるが、何も問題ないことが一番だ。ならば、今日はこのまま伊藤との会話を楽しませてもらおう。
そう思った矢先の出来事だった。
「……」
「? どうかしましたか、先輩?」
俺が黙り込んでしまったせいで、伊藤の口も止まってしまう。
俺が気になったのは……。
「何か臭わないか?」
「はい? それって刑事が犯罪の臭いを嗅ぎ分ける的なアレですか? 問題発生ですか!」
「んなわけねえだろ。それに問題が起こって喜ぶな。不謹慎だ」
俺は軽く伊藤のおでこをこつく。伊藤は大げさに痛がり、睨んでくる。
「相変わらず冗談が通じませんね、先輩は。臭いってタバコの臭いですか?」
「……よく分かったな」
「パパンが庭の端っこで吸っているので。あれ、本当にやめて欲しいんですけどね。どうして、タバコなんて吸うんでしょうね? 禿げるのに」
肩身狭いだろうな、伊藤の父親は。それに禿げはしないだろ。
伊藤に追いやられる伊藤の父親を想像すると、つい笑ってしまった。
さて、冗談はここまでにして喫煙しているヤツがいるようだ。俺は伊藤を俺の後ろにいるように指示する。
喫煙している相手が不良だった場合、喧嘩になる恐れがある。伊藤をくだらない争いに巻き込みたくない。
伊藤は俺の意図を読み取って、そそくさと俺の後ろに隠れる。
臭いの元は体育館の裏からのようだ。安直だなと思いつつ、俺は角を曲がった。
目的の相手はすぐに見つかった。
男子生徒が三人、座り込んでタバコを吸っている。
やれやれ、伊藤の言うとおり、どうしてタバコなんて吸いたがるのか。それも、わざわざ学校で。
やってはいけないことでも、仲間がいればしてもいいと勘違いしているのか。
俺だっていちいち口やかましく言いたくはない。正直、俺達の目の届かない場所で好きにやってろと言ってやりたい。
だが、見つけてしまった以上、風紀委員として見過ごせない。
「おい」
俺の一声で喫煙していた男子生徒が一斉に俺を見る。
最初は声を掛けられびびっていたが、俺が先生でないと分かると、俺に背を向け、またタバコを吸い始めた。
いい度胸をしている。
俺は少しドスを利かせて、言い放つ。
「おい、無視してんじゃねえぞ」
「……んだよ、お前」
「お、おい。コイツ……風紀委員じゃねえか? それも不良狩りの……」
男子生徒はコソコソと何かを話していたが、ようやく俺の方に振り向く。忌み嫌っていた名前もこういうところで役に立つとは皮肉だな。
俺は改めて男子生徒を睨みつける。
相手は不良には見えない。ただの男子生徒達だ。少し悪ぶっているようにしか思えない。
不良と違って暴れる可能性は少ない。だが、キレると何をしでかすか分からない危険性がある。
前に一般生徒を注意して、キレた生徒が俺に向かってナイフを振り回したことがあった。
素人の攻撃だったのですぐに取り押さえることが出来たが、危険である事は変わりない。
伊藤もいることだ。警戒するに越したことはない。
「タバコとライターを出せ」
男子生徒は渋々タバコとライターを差し出してきた。俺は連中からタバコとライターを慎重に受け取る。
「もう二度と学校でタバコを吸うな。いいな」
これで男子生徒が頷けば終了だ。何事もなく終わる予定だった。
だが、事はそう簡単に進まなかった。
「……んだよ、偉そうに。お前はセンコーかよ。同じ学生なのに説教なんかしやがって」
一人の男子生徒が反抗の意思を示した。
コイツ、どうしてこんな状況になっているのか、理解していないのか?
俺は少し腹ただしい気分で言い返す。
「未成年者が喫煙してはいけないなんて、幼稚園児でも知っているのだがな。お前は知らないのか? それに説教じゃない。苦情だ。お前の勝手な行動で、学校が悪く思われるのは納得いかない」
「んだと! 俺だってお前のような不良狩りなんて物騒なヤツが同じ学校にいるなんて、迷惑なんだよ! 誰も頼んでないっつーの! どうせ、お前も不良なんだろ? 不良がセンコーの真似してるんじゃねえよ! 底辺の人間が俺達にどれだけ迷惑をかけているのか分からねえのかよ!」
俺が不良だと? 底辺の人間だと? 黙っていれば、好き勝手言ってくれるな。
不良=底辺の人間だと決めつける人種が一番腹が立つ。不良と話したこともないくせに、勝手にレッテルを貼って好き放題言うこの男、どうしてくれようか。
俺が睨んでやると、男子生徒は二、三歩後ろに後退する。
本当に根性がないヤツだ。まだ、不良の方が度胸も根性もある。
「なら、俺達風紀委員がお前にどんな不利益をもたらした? そこまで啖呵切るんなら、もちろんあるんだろうな?」
「うっ、うっせえ! 存在自体がうっとうしいんだよ! みんな言ってるんだよ!」
「具体的なことは何も言えないんだな。全く説得力がないぞ。それにみんなって誰だ? お前の脳内にいるみんなか?」
「てめえ……」
一触即発の空気が漂う。なるべくなら、穏便に済ませたかったが、仕方ない。
俺は拳を握りしめ、喧嘩を覚悟したそのとき。
番外編です。
このお話は「三話 伊藤ほのかの猛省 失われた楽園」と「四話 伊藤ほのかのファーストキス」の間でのお話です。
多少、辻褄があわないところもありますが、多めに見ていただけるとありがたいです。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「はあ……」
何度目のため息になるのか分からない。
苛立った気持ちとモヤモヤとした想いを抱え、俺は誰もいない廊下を歩いていた。
六時過ぎにもなると、騒がしかった校舎は鳴りを潜め、逆に耳が痛くなるほどの静寂を感じる。冷たい初秋の風が苛立った感情を落ち着かせてくれる。
俺の足音だけが廊下に響き渡り、反響している。
静かなのは望むところだ。じっくりと考えたいことがある。
俺はつい隣を見てしまう。いつもそこにいる相棒はいない。
俺はまた、ため息がもれた。
どうして、こうなった?
俺は今日の出来事を思い返してみる。
「……それでですね、先輩。よっちーがいいとこ見せようとして誤爆しちゃって……」
伊藤の楽しげな世間話に、俺は適度に相づちを打つ。
伊藤ほのか。
最近コンビを組むことになった俺の相棒で、一つ年下の女子だ。
明るめの脱色された茶髪のエアリーショートにスカート丈は膝上十センチ以上、ブラウスのボタンが二つ開けられ、そこから見える胸元にハートのネックレス。風紀委員をなめてるとしか思えない服装だ。
性格も考えも正反対の俺達だが、とある事件で知り合い、今では相棒としてお互い行動している。
本当に世の中、予測できないことばかりだ。
伊藤はなぜか、俺を恐れない。俺は不本意ながら『不良狩り』という二つ名がついている。
青島は別名、不良の聖地などと呼ばれていた。そのせいで不良達がこの島に集まってくるのだ。俺はそんな不良ばかり相手をしてきた為、いつの間にかそう呼ばれるようになってしまった。
伊藤はそんな俺を怖がりもせず、そばにいてくれる。俺は戸惑いながらも、久しぶりに誰かと話が出来る相手を重宝していた。
まあ、なんだ。手のかかる後輩だから可愛いと……思わなくもない。
俺の短い相づちでも、伊藤は喜んで話を続けてくれる。俺と一緒にいることで誰かに喜んでもらえた事なんてあっただろうか?
普段の俺は周りから嫌われているので、こういった存在は本当にありがたい。
それに可愛い女の子に微笑んでもらえるだけでも、男としては嬉しいものだ。
今日の活動はただの見回りで、不良を相手にする必要もない。もちろん、不良が誰かに迷惑をかけていれば止めに入るが、そうそう事件など起きるはずもない。
少々退屈を感じるが、何も問題ないことが一番だ。ならば、今日はこのまま伊藤との会話を楽しませてもらおう。
そう思った矢先の出来事だった。
「……」
「? どうかしましたか、先輩?」
俺が黙り込んでしまったせいで、伊藤の口も止まってしまう。
俺が気になったのは……。
「何か臭わないか?」
「はい? それって刑事が犯罪の臭いを嗅ぎ分ける的なアレですか? 問題発生ですか!」
「んなわけねえだろ。それに問題が起こって喜ぶな。不謹慎だ」
俺は軽く伊藤のおでこをこつく。伊藤は大げさに痛がり、睨んでくる。
「相変わらず冗談が通じませんね、先輩は。臭いってタバコの臭いですか?」
「……よく分かったな」
「パパンが庭の端っこで吸っているので。あれ、本当にやめて欲しいんですけどね。どうして、タバコなんて吸うんでしょうね? 禿げるのに」
肩身狭いだろうな、伊藤の父親は。それに禿げはしないだろ。
伊藤に追いやられる伊藤の父親を想像すると、つい笑ってしまった。
さて、冗談はここまでにして喫煙しているヤツがいるようだ。俺は伊藤を俺の後ろにいるように指示する。
喫煙している相手が不良だった場合、喧嘩になる恐れがある。伊藤をくだらない争いに巻き込みたくない。
伊藤は俺の意図を読み取って、そそくさと俺の後ろに隠れる。
臭いの元は体育館の裏からのようだ。安直だなと思いつつ、俺は角を曲がった。
目的の相手はすぐに見つかった。
男子生徒が三人、座り込んでタバコを吸っている。
やれやれ、伊藤の言うとおり、どうしてタバコなんて吸いたがるのか。それも、わざわざ学校で。
やってはいけないことでも、仲間がいればしてもいいと勘違いしているのか。
俺だっていちいち口やかましく言いたくはない。正直、俺達の目の届かない場所で好きにやってろと言ってやりたい。
だが、見つけてしまった以上、風紀委員として見過ごせない。
「おい」
俺の一声で喫煙していた男子生徒が一斉に俺を見る。
最初は声を掛けられびびっていたが、俺が先生でないと分かると、俺に背を向け、またタバコを吸い始めた。
いい度胸をしている。
俺は少しドスを利かせて、言い放つ。
「おい、無視してんじゃねえぞ」
「……んだよ、お前」
「お、おい。コイツ……風紀委員じゃねえか? それも不良狩りの……」
男子生徒はコソコソと何かを話していたが、ようやく俺の方に振り向く。忌み嫌っていた名前もこういうところで役に立つとは皮肉だな。
俺は改めて男子生徒を睨みつける。
相手は不良には見えない。ただの男子生徒達だ。少し悪ぶっているようにしか思えない。
不良と違って暴れる可能性は少ない。だが、キレると何をしでかすか分からない危険性がある。
前に一般生徒を注意して、キレた生徒が俺に向かってナイフを振り回したことがあった。
素人の攻撃だったのですぐに取り押さえることが出来たが、危険である事は変わりない。
伊藤もいることだ。警戒するに越したことはない。
「タバコとライターを出せ」
男子生徒は渋々タバコとライターを差し出してきた。俺は連中からタバコとライターを慎重に受け取る。
「もう二度と学校でタバコを吸うな。いいな」
これで男子生徒が頷けば終了だ。何事もなく終わる予定だった。
だが、事はそう簡単に進まなかった。
「……んだよ、偉そうに。お前はセンコーかよ。同じ学生なのに説教なんかしやがって」
一人の男子生徒が反抗の意思を示した。
コイツ、どうしてこんな状況になっているのか、理解していないのか?
俺は少し腹ただしい気分で言い返す。
「未成年者が喫煙してはいけないなんて、幼稚園児でも知っているのだがな。お前は知らないのか? それに説教じゃない。苦情だ。お前の勝手な行動で、学校が悪く思われるのは納得いかない」
「んだと! 俺だってお前のような不良狩りなんて物騒なヤツが同じ学校にいるなんて、迷惑なんだよ! 誰も頼んでないっつーの! どうせ、お前も不良なんだろ? 不良がセンコーの真似してるんじゃねえよ! 底辺の人間が俺達にどれだけ迷惑をかけているのか分からねえのかよ!」
俺が不良だと? 底辺の人間だと? 黙っていれば、好き勝手言ってくれるな。
不良=底辺の人間だと決めつける人種が一番腹が立つ。不良と話したこともないくせに、勝手にレッテルを貼って好き放題言うこの男、どうしてくれようか。
俺が睨んでやると、男子生徒は二、三歩後ろに後退する。
本当に根性がないヤツだ。まだ、不良の方が度胸も根性もある。
「なら、俺達風紀委員がお前にどんな不利益をもたらした? そこまで啖呵切るんなら、もちろんあるんだろうな?」
「うっ、うっせえ! 存在自体がうっとうしいんだよ! みんな言ってるんだよ!」
「具体的なことは何も言えないんだな。全く説得力がないぞ。それにみんなって誰だ? お前の脳内にいるみんなか?」
「てめえ……」
一触即発の空気が漂う。なるべくなら、穏便に済ませたかったが、仕方ない。
俺は拳を握りしめ、喧嘩を覚悟したそのとき。
0
お気に入りに追加
62
あなたにおすすめの小説
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】美しい人。
❄️冬は つとめて
恋愛
「あなたが、ウイリアム兄様の婚約者? 」
「わたくし、カミーユと言いますの。ねえ、あなたがウイリアム兄様の婚約者で、間違いないかしら。」
「ねえ、返事は。」
「はい。私、ウイリアム様と婚約しています ナンシー。ナンシー・ヘルシンキ伯爵令嬢です。」
彼女の前に現れたのは、とても美しい人でした。
旦那様に愛されなかった滑稽な妻です。
アズやっこ
恋愛
私は旦那様を愛していました。
今日は三年目の結婚記念日。帰らない旦那様をそれでも待ち続けました。
私は旦那様を愛していました。それでも旦那様は私を愛してくれないのですね。
これはお別れではありません。役目が終わったので交代するだけです。役立たずの妻で申し訳ありませんでした。
アルバートの屈辱
プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。
『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
貞操観念逆転世界におけるニートの日常
猫丸
恋愛
男女比1:100。
女性の価値が著しく低下した世界へやってきた【大鳥奏】という一人の少年。
夢のような世界で彼が望んだのは、ラブコメでも、ハーレムでもなく、男の希少性を利用した引き籠り生活だった。
ネトゲは楽しいし、一人は気楽だし、学校行かなくてもいいとか最高だし。
しかし、男女の比率が大きく偏った逆転世界は、そんな彼を放っておくはずもなく……
『カナデさんってもしかして男なんじゃ……?』
『ないでしょw』
『ないと思うけど……え、マジ?』
これは貞操観念逆転世界にやってきた大鳥奏という少年が世界との関わりを断ち自宅からほとんど出ない物語。
貞操観念逆転世界のハーレム主人公を拒んだ一人のネットゲーマーの引き籠り譚である。
最底辺の落ちこぼれ、実は彼がハイスペックであることを知っている元幼馴染のヤンデレ義妹が入学してきたせいで真の実力が発覚してしまう!
電脳ピエロ
恋愛
時野 玲二はとある事情から真の実力を隠しており、常に退学ギリギリの成績をとっていたことから最底辺の落ちこぼれとバカにされていた。
しかし玲二が2年生になった頃、時を同じくして義理の妹になった人気モデルの神堂 朱音が入学してきたことにより、彼の実力隠しは終わりを迎えようとしていた。
「わたしは大好きなお義兄様の真の実力を、全校生徒に知らしめたいんです♡ そして、全校生徒から羨望の眼差しを向けられているお兄様をわたしだけのものにすることに興奮するんです……あぁんっ♡ お義兄様ぁ♡」
朱音は玲二が実力隠しを始めるよりも前、幼少期からの幼馴染だった。
そして義理の兄妹として再開した現在、玲二に対して変質的な愛情を抱くヤンデレなブラコン義妹に変貌していた朱音は、あの手この手を使って彼の真の実力を発覚させようとしてくる!
――俺はもう、人に期待されるのはごめんなんだ。
そんな玲二の願いは叶うことなく、ヤンデレ義妹の暴走によって彼がハイスペックであるという噂は徐々に学校中へと広まっていく。
やがて玲二の真の実力に危機感を覚えた生徒会までもが動き始めてしまい……。
義兄の実力を全校生徒に知らしめたい、ブラコンにしてヤンデレの人気モデル VS 真の実力を絶対に隠し通したい、実は最強な最底辺の陰キャぼっち。
二人の心理戦は、やがて学校全体を巻き込むほどの大きな戦いへと発展していく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる