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136:法的に問題なくても

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「おい! たばこ吸ってるんじゃねえぞ!」
「ちっ! センコーの犬が」
「てめえに迷惑かけてないだろうが!」

「藤堂せんぱ~い。さっさと先生にチクるか、警察呼んだ方がいいんじゃないんですか~」
「紫苑、報告するのは賛成だが、警察に通報しても本人に処罰はないぞ」
「えっ? どういうことですか? 法律違反でしょ?」
「確かに違反だが、たばこを売った相手が処罰対処であって、本人には何もないんだ」
「けっ! そんなことも知らねえのか、お嬢ちゃん?」
「校則違反だとしても、処罰なんてねえんだよ! さっさと消えろ、風紀委員!」

「か、カチンってきますね~。ヤッちゃいます? もういいですよね~藤堂せんぱ~い?」
「落ち着け。それが法だ。ちなみに酒も同じ扱いだ」
「そ、それって意味なくないですか~? それなら、誰もまもらないじゃないですか~?」

「そんなことないですよ、紫苑さん。未成年がたばこを吸っても刑罰の対象外でも、それをどうやって手に入れたかによっては刑罰の対象になりますから」
「どういうことですか、伊藤さん?」
「この人達、どうやってたばこを手に入れたと思います? 自販機から購入してたんです」

「自販機? でも、タスポってICカードが必要じゃあなかったでしたっけ? あれって確か成人でないと作ってもらえないんじゃあ?」
「そうですよ。でも、手に入れる方法があるじゃないですか」
「? 書類偽造とか?」
「そんな面倒なことをしなくても手に入りますよ」
「はぁ……降参。教えてもらえません? どうやって手に入れたんです?」

「盗んだんです。正確にはカツアゲですけどね。ちなみにタスポの貸し借りは特定の条件ならOKです。個人で未成年に貸し出した場合、規約違反になりますけど、刑法の罰則はありません。勿論、ケースバイケースですけど」
「貸し出しOKなんですね……けど、カツアゲなら犯罪ですよね~」
「ですが、パパンのたばこを子供がくすねた場合、親族相盗例が適応される可能性がある為、無罪になる可能性があるんです。けど、この二人には関係ないです」
「は、はぁ~! っざけんなよ! カツアゲなんてしてねえよ!」
「でっち上げてるんじゃねえぞ!」

「伊藤がここにいるってことは……」
「はい! 橘先輩からゴーサイン、いただきました! ええっと、証拠があれば良いんですよね?」
「証拠だと?」
「ふっざけんな! どこに証拠があるんだ!」

「はいこれ。まず、このスマホを見てください。アナタ達がタスポ使っている動画とカツアゲした動画。タスポをカツアゲされた被害者からアナタ達の顔写真を見せて確認とってます。証言もとれてますので、言い逃れ出来ませんよ?」
「て、てめえは私人逮捕系YouTuberか!」
「逮捕罪だぞ!」

「まず、俺達風紀委員はYouTuberではないし、逮捕はしない。無論、警察官でもない。結果を学校に報告するだけだ。それにお前達を裁くのは俺達ではない。学校だ。高校は義務教育ではないから、犯罪者は退学もありえるな。これは警告だ。もう二度と学校でたばこを吸うな。いいな?」
「ちっ!」
「くそがぁ!」

「……ふぅいっちゃいましたね。でも、これでいいんですか? おとがめなしで」
「だから言ってるだろ? 俺達に裁く権利はない。この件は風紀委員の顧問に報告を入れる。後は先生方に任せるだけだ」
「風紀委員って警察みたいな事もするんですね~」
「警察? 冗談だろ? 警察官は俺達よりも真面目に、それこそ身体を張って頑張っているんだ。一緒にされるなんておごかましいだろ?」

「出た~おじいちゃんっこ」
「やかましい。祖父を尊敬して何が悪い、伊藤」
「何も悪くありませんよ。でも、どうしてここまでするんです? 恨みを買うかもしれないのに」
「納得いかないからだ。たばこを吸いたいからって、真面目にちゃんとルールを守っている人が理不尽な目にあうなんて許せないだろ? ただの自己満足だっていい。迷惑だと思われてもやるだけだ」
「藤堂先輩って面倒ですよね~。一歩間違えれば迷惑系YouTuberですよ~」
「だよね~」

「別に面倒なら付き合う必要はないぞ。俺と左近が始めたことだ。巻き込むつもりはない」
「私! 先輩の相棒ですから!」
「私はまあ……あにぃの為に頑張るだけですけど~」
「なら文句を言うな」
「はぁ……伊藤さんの苦労、分かりますね~」
「でしょ!」
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