133 / 174
134:実は勘違いしていること
しおりを挟む
「伊藤!」
「な、なんっすか、先輩?」
「……俺に言うことあるだろ?」
「……何を? まさか、プライベイトまで包み隠さず報告しろって言うんですか? 先輩のエッチ!」
「それがファイナルアンサーか?」
「……若(宮)×草(薙)物語を持ってきてしまいました」
ゴン!
「あ痛ぁ!」
「いい加減にしろ! いかがわしい本を持ってくるな! 俺が……俺が! どんな気持ちでこんな情けない報告を受けているのか! お前に分かるか!」
「ひ、酷い! 私は素直に告白したのに! ワシントンは正直に桜の木を切ったことを告白して許されたのに!」
「それはウソだ」
「えっ?」
「ワシントンは桜の木を切ってない」
「えっ? このお話しの教訓は嘘をついてはいけない、正直なことは大事ってことじゃないんですか! だとしたら、この話しはどうしてうまれたんですか!」
「ワシントンの伝記の売り上げをアップさせるためだ」
「ある意味正直! 欲望に! あっ、これって前にやった板垣退助のネタの流れっすか? 有名な話しは実は作り話ってオチの」
「……おい、話をそらすな」
「先輩! せっかくだから、そのお話をしましょうよ~。私、このネタ話し、大好きなんですよ~。何かありません?」
「……例えば、ナポレオンは三時間しか寝ていないとあるが、実際は昼寝とかしていた、だな。馬の上で寝ていたって話しもある」
「それ以外は!」
「西郷隆盛の『隆盛』の名前が違う。本当は隆永だ」
「えっ? それは知りませんでした。どういうことっすか?」
「西郷隆永は明治政府樹立に貢献したことで明治天皇から正三位の位を授かることになった。その際、書類にその名を記すために西郷の本名を書く必要があるが、政府は知らなかった。西郷は普段、吉之助という名前を使っていたからな」
「へえ~、そうなんですね」
「西郷本人に聞こうとしたが、箱館戦争を終えて、鹿児島に帰る途中だった為、連絡がとれなかった。そこで、西郷の友人である吉井友実に本名を聞いた。だが、吉井本人も西郷を吉之助と呼んでいたから、本名が思い出せず、隆盛と答えた。それで西郷隆盛の名前で正三位の位を与えてしまい、本人もそれで名乗ることになったわけだ。ちなみに隆盛は西郷隆永の父親の名前だ。後、西郷の弟の名前も違う。西郷従道ではなく隆道だ。これは『りゅうどう』と口頭で告げたとき、薩摩訛りのせいで『じゅうどう』と聞き違えられてしまったオチだ」
「へえ……いろいろとあるんですね。でも、どうして、歴史の本ではそういうこと、書いてくれないんでしょ?」
「ややこしいからだと思うぞ。ただでさえ、歴史は莫大な暗記科目だからな。いちいち覚えていられないだろ?」
「それは確かに。覚えるのが大変ですからね。他にもいろいろとありますので、皆さんも探してみてね!」
「……おい、こら! 話をそらすな……って、いねえ! アイツの逃げ足は逃げの小五郎並か! って、逃げの小五郎も当時のあだ名や異名ではなく、司馬遼太郎の『逃げの小五郎』に由来してるだけどな。いや、そんなことはどうでもいい! 待て、伊藤!」
「な、なんっすか、先輩?」
「……俺に言うことあるだろ?」
「……何を? まさか、プライベイトまで包み隠さず報告しろって言うんですか? 先輩のエッチ!」
「それがファイナルアンサーか?」
「……若(宮)×草(薙)物語を持ってきてしまいました」
ゴン!
「あ痛ぁ!」
「いい加減にしろ! いかがわしい本を持ってくるな! 俺が……俺が! どんな気持ちでこんな情けない報告を受けているのか! お前に分かるか!」
「ひ、酷い! 私は素直に告白したのに! ワシントンは正直に桜の木を切ったことを告白して許されたのに!」
「それはウソだ」
「えっ?」
「ワシントンは桜の木を切ってない」
「えっ? このお話しの教訓は嘘をついてはいけない、正直なことは大事ってことじゃないんですか! だとしたら、この話しはどうしてうまれたんですか!」
「ワシントンの伝記の売り上げをアップさせるためだ」
「ある意味正直! 欲望に! あっ、これって前にやった板垣退助のネタの流れっすか? 有名な話しは実は作り話ってオチの」
「……おい、話をそらすな」
「先輩! せっかくだから、そのお話をしましょうよ~。私、このネタ話し、大好きなんですよ~。何かありません?」
「……例えば、ナポレオンは三時間しか寝ていないとあるが、実際は昼寝とかしていた、だな。馬の上で寝ていたって話しもある」
「それ以外は!」
「西郷隆盛の『隆盛』の名前が違う。本当は隆永だ」
「えっ? それは知りませんでした。どういうことっすか?」
「西郷隆永は明治政府樹立に貢献したことで明治天皇から正三位の位を授かることになった。その際、書類にその名を記すために西郷の本名を書く必要があるが、政府は知らなかった。西郷は普段、吉之助という名前を使っていたからな」
「へえ~、そうなんですね」
「西郷本人に聞こうとしたが、箱館戦争を終えて、鹿児島に帰る途中だった為、連絡がとれなかった。そこで、西郷の友人である吉井友実に本名を聞いた。だが、吉井本人も西郷を吉之助と呼んでいたから、本名が思い出せず、隆盛と答えた。それで西郷隆盛の名前で正三位の位を与えてしまい、本人もそれで名乗ることになったわけだ。ちなみに隆盛は西郷隆永の父親の名前だ。後、西郷の弟の名前も違う。西郷従道ではなく隆道だ。これは『りゅうどう』と口頭で告げたとき、薩摩訛りのせいで『じゅうどう』と聞き違えられてしまったオチだ」
「へえ……いろいろとあるんですね。でも、どうして、歴史の本ではそういうこと、書いてくれないんでしょ?」
「ややこしいからだと思うぞ。ただでさえ、歴史は莫大な暗記科目だからな。いちいち覚えていられないだろ?」
「それは確かに。覚えるのが大変ですからね。他にもいろいろとありますので、皆さんも探してみてね!」
「……おい、こら! 話をそらすな……って、いねえ! アイツの逃げ足は逃げの小五郎並か! って、逃げの小五郎も当時のあだ名や異名ではなく、司馬遼太郎の『逃げの小五郎』に由来してるだけどな。いや、そんなことはどうでもいい! 待て、伊藤!」
0
お気に入りに追加
48
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
『 ゆりかご 』 ◉諸事情で非公開予定ですが読んでくださる方がいらっしゃるのでもう少しこのままにしておきます。
設樂理沙
ライト文芸
皆さま、ご訪問いただきありがとうございます。
最初2/10に非公開の予告文を書いていたのですが読んで
くださる方が増えましたので2/20頃に変更しました。
古い作品ですが、有難いことです。😇
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
" 揺り篭 " 不倫の後で 2016.02.26 連載開始
の加筆修正有版になります。
2022.7.30 再掲載
・・・・・・・・・・・
夫の不倫で、信頼もプライドも根こそぎ奪われてしまった・・
その後で私に残されたものは・・。
・・・・・・・・・・
💛イラストはAI生成画像自作
十年目の結婚記念日
あさの紅茶
ライト文芸
結婚して十年目。
特別なことはなにもしない。
だけどふと思い立った妻は手紙をしたためることに……。
妻と夫の愛する気持ち。
短編です。
**********
このお話は他のサイトにも掲載しています

ぼくたちのたぬきち物語
アポロ
ライト文芸
一章にエピソード①〜⑩をまとめました。大人のための童話風ライト文芸として書きましたが、小学生でも読めます。
どの章から読みはじめても大丈夫です。
挿絵はアポロの友人・絵描きのひろ生さん提供。
アポロとたぬきちの見守り隊長、いつもありがとう。
初稿はnoteにて2021年夏〜22年冬、「こたぬきたぬきち、町へゆく」のタイトルで連載していました。
この思い入れのある作品を、全編加筆修正してアルファポリスに投稿します。
🍀一章│①〜⑩のあらすじ🍀
たぬきちは、化け狸の子です。
生まれてはじめて変化の術に成功し、ちょっとおしゃれなかわいい少年にうまく化けました。やったね。
たぬきちは、人生ではじめて山から町へ行くのです。(はい、人生です)
現在行方不明の父さんたぬき・ぽんたから教えてもらった記憶を頼りに、憧れの町の「映画館」を目指します。
さて無事にたどり着けるかどうか。
旅にハプニングはつきものです。
少年たぬきちの小さな冒険を、ぜひ見守ってあげてください。
届けたいのは、ささやかな感動です。
心を込め込め書きました。
あなたにも、届け。

覚悟は良いですか、お父様? ―虐げられた娘はお家乗っ取りを企んだ婿の父とその愛人の娘である異母妹をまとめて追い出す―
Erin
恋愛
【完結済・全3話】伯爵令嬢のカメリアは母が死んだ直後に、父が屋敷に連れ込んだ愛人とその子に虐げられていた。その挙句、カメリアが十六歳の成人後に継ぐ予定の伯爵家から追い出し、伯爵家の血を一滴も引かない異母妹に継がせると言い出す。後を継がないカメリアには嗜虐趣味のある男に嫁がられることになった。絶対に父たちの言いなりになりたくないカメリアは家を出て復讐することにした。7/6に最終話投稿予定。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる