藤堂正道と伊藤ほのかのおしゃべり

Keitetsu003

文字の大きさ
上 下
99 / 174

100:大掃除

しおりを挟む
「も~いくつ寝ると~ 和尚がツ~
 和尚が二人 絡み合って~
 薄い本が 売れていく~」

「「……」」」
「どうしたんですか、先輩に紫苑さん。黙っていたら放送事故案件ですよ? ちなみに今日は風紀委員最後のシメとして、風紀委員室を大掃除しています」
「あの人何言ってるんですか、藤堂先輩~。ちょっと怖いです」
「すまん! 本当にすまん! 今年も伊藤の病気を治療できなかった。俺の責任だ!」
「ちょいちょいちょい! 人を頭の残念な人扱いしないでください! 後、先輩から半径三十メートル離れてくださいね、紫苑さん」
「同じ部屋にいられないじゃないですか~。藤堂先輩~伊藤さんがいじめる~」
「おい、伊藤。お前は風紀委員として先輩なんだから、ちゃんと面倒を見ろ」
「ううっ……紫苑さんばかり贔屓ひいきにしてるし……」

「藤堂先輩~、これ重いです~」
「これは俺が持つから橘はホウキをやってくれ」
「藤堂先輩、力持ち~頼りになりますね~」
「ちょい、泥棒猫。それ以上、先輩に色目使うと粗大ゴミにだしますよ?」
「や~だ~藤堂先輩~、怖い~」
「それは私への挑戦と受け取った! このブラコン!」
「かかってこいや! メロン!」

 バッ……

「せ、先輩……たしゅけて……」
「……伊藤、頼むから瞬殺されるのはやめてくれ。せめて、バキッ! ドガッ! バキッ! っくらいのやりとりくらいさせてみろ。橘、頼む。離してやってくれ」
「藤堂先輩も大変ですよね~」
「全くだ」
「紫苑、貴様は私の……私の……」
「おい、名台詞入れるほど善戦してないだろうが。さっさと掃除しろ」

「ううっ……そういえば、先輩。どうして、年末に大掃除するんでしょうね?」
「……煤払いすすはらいが元ネタだな。一年間の間に積もりに積もった煤を払って、神様を迎える準備をするのが年末に大掃除をする風習だ」
「ちなみにお掃除っていつまでにすればいいんですか? 大晦日までですかね?」

「いや、12/13から12/28までだな」
「? 藤堂先輩、どうして、12/13から何ですか?」
「江戸時代に徳川幕府が煤払いの日として定めたのが12月13日だからだ。その日は「鬼宿日」と呼ばれていて、婚礼に関わること以外は全て大吉とされる吉日なんだそうだ。年神様を迎える準備を始めるのにふさわしいということで12/13が選ばれた」
「へえ~そうなんですね~。でも、12/29に掃除するのはダメなんですか?」
「29日は二重の苦、縁起が悪いっていうのが理由だ。31日は掃除した後に正月に飾り付けすると、一夜飾りと見なされて縁起が悪いからって理由がある。正月に掃除をすると、お迎えした神様を払うことになるからNGだ。洗濯もふくを洗い流すってことで縁起が悪いって言われているぞ」

「いろいろあるんですね~。大掃除の日付なんて全然気にしてなかったです~」
「日本人はそういうことろ大事にしますからね」
「よし! 掃除終了! お疲れ様!」
「おつ~」
「お疲れ様です! んん~~~疲れましたね~。大掃除が終わると一年の終わりってカンジがしますね、先輩」
「そうだな。一年の労をねぎらって甘味処で何かおごってやる」
「やった!」
「ゴチになります~」
しおりを挟む
感想 14

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

『 ゆりかご 』  ◉諸事情で非公開予定ですが読んでくださる方がいらっしゃるのでもう少しこのままにしておきます。

設樂理沙
ライト文芸
皆さま、ご訪問いただきありがとうございます。 最初2/10に非公開の予告文を書いていたのですが読んで くださる方が増えましたので2/20頃に変更しました。 古い作品ですが、有難いことです。😇       - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - " 揺り篭 " 不倫の後で 2016.02.26 連載開始 の加筆修正有版になります。 2022.7.30 再掲載          ・・・・・・・・・・・  夫の不倫で、信頼もプライドも根こそぎ奪われてしまった・・  その後で私に残されたものは・・。            ・・・・・・・・・・ 💛イラストはAI生成画像自作  

注意する兄と怒る妹(フリー台本)

ライト文芸
公園で順番を守らなかったと、妹を注意するが、妹はそんなことしていないと怒りだし…

十年目の結婚記念日

あさの紅茶
ライト文芸
結婚して十年目。 特別なことはなにもしない。 だけどふと思い立った妻は手紙をしたためることに……。 妻と夫の愛する気持ち。 短編です。 ********** このお話は他のサイトにも掲載しています

病弱な愛人の世話をしろと夫が言ってきたので逃げます

音爽(ネソウ)
恋愛
子が成せないまま結婚して5年後が過ぎた。 二人だけの人生でも良いと思い始めていた頃、夫が愛人を連れて帰ってきた……

ぼくたちのたぬきち物語

アポロ
ライト文芸
一章にエピソード①〜⑩をまとめました。大人のための童話風ライト文芸として書きましたが、小学生でも読めます。 どの章から読みはじめても大丈夫です。 挿絵はアポロの友人・絵描きのひろ生さん提供。 アポロとたぬきちの見守り隊長、いつもありがとう。 初稿はnoteにて2021年夏〜22年冬、「こたぬきたぬきち、町へゆく」のタイトルで連載していました。 この思い入れのある作品を、全編加筆修正してアルファポリスに投稿します。 🍀一章│①〜⑩のあらすじ🍀 たぬきちは、化け狸の子です。 生まれてはじめて変化の術に成功し、ちょっとおしゃれなかわいい少年にうまく化けました。やったね。 たぬきちは、人生ではじめて山から町へ行くのです。(はい、人生です) 現在行方不明の父さんたぬき・ぽんたから教えてもらった記憶を頼りに、憧れの町の「映画館」を目指します。 さて無事にたどり着けるかどうか。 旅にハプニングはつきものです。 少年たぬきちの小さな冒険を、ぜひ見守ってあげてください。 届けたいのは、ささやかな感動です。 心を込め込め書きました。 あなたにも、届け。

今更気付いてももう遅い。

ユウキ
恋愛
ある晴れた日、卒業の季節に集まる面々は、一様に暗く。 今更真相に気付いても、後悔してももう遅い。何もかも、取り戻せないのです。

処理中です...