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91:青島高等学校七不思議 その四 13階段
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「藤は女、松は男……だっけ? 反対だった気がするけど、獅子王さんも古見君も私を置いていかないでよ……なんだかんだで七不思議のうち、三つをクリアしたわけだけど。もう、帰ってもいいよね? だって、私一人で三つだよ? 褒められることはあっても、非難されることは……」
「何独り言ぬかしてやがる」
「きゃあああああああああ!」
「ああん! うっせえよ! ぶん殴るぞ!」
「暴力反対! ひぃ! 犯される!」
「人聞きの悪いことぬかしてるんじゃねぞ!」
「きゃああ! きゃあああ!」
「はぁ……お姉様、話が進みませんの。伊藤さんも落ち着いてくださいませ」
「えっ、黒井さん? それに御堂先輩?」
「お姉様」
「ちっ!」
(今回のゲストは元『Blue Ruler』のヘッド、御堂優希先輩とその側近の黒井麗子さんみたい。このお二人も同じ風紀委員なんだけど……御堂先輩と黒井さん、朝乃宮先輩が風紀委員に所属していること自体、七不思議なんだけど)
「く、黒井さん達も七不思議の調査?」
「そうですの。全くこの年になって七不思議とか勘弁してほしいですの」
「……黒井さんはこういうオカルトとか否定派なの?」
「否定派というか……一番怖いのは人間だって分かってからは冷めたというか……」
「ああっ、それ分かる! 先輩に鞄一杯の布教用のBL本見つかったとき、無言でずっと無視されたときの恐怖といったら……」
「「……」」
「どったの、黒井さん?」
「お前の頭がお花畑なのに呆れているだけだ」
「御堂先輩は相変わらず超ウブですよね~」
「お前が変態なだけだろうが! 近寄るな!」
「ひどい! こうなったら、御堂先輩にもBLの素晴らしさを……」
「お姉様、伊藤さん。つきましたの」
「ついたって?」
「七不思議のうち一つ、十三段階段ですの」
「ひぃ! おうちに帰るつもりがまた七不思議に遭遇してしまった!」
「ウチに帰るつもりだっただと? てめえ、まさかサボって……」
「いやいやいや! 私、三つ! 三つの怪談を経験しました! 階段なだけに!」
「全然うまくねえ。けど、三つもやってるんならまあいい。もう、帰りな。後は私達がやってやる」
「ううっ……御堂先輩って男気があるよね……でも、一人は怖いから家まで送ってくれませんか?」
「なんで私がお前ん家まで送らなければならねえんだよ」
「そこは可愛い後輩を護ると思って! お願いします! 御堂先輩しか頼れないんですよ!」
「あほ、自分でなんとかしろ……って言いたいが、確かストーカーに襲われたことあったよな? しゃあねえ、麗子。アイツらを呼んでやれ」
「アイツら?」
「舎弟だ。ソイツらに送ってもらえ」
「ううっ……御堂先輩ってやっぱり、面倒見がいいですね……」
「それで? 何人くらい呼びますの?」
「とりあえず、十人くらい呼べばいいだろ?」
「ストップ! なんとなくオチが読めましたので、いいです! 御堂先輩と一緒に行動させてください!」
「んだと、我が儘なヤツだな」
「お願いしますから、フツウに送ってくださいよ~。私、凡人ですよ~」
「青島のジャンヌダルクって呼ばれたお前がか?」
「それを言わないでください……若気の至りっていうか、私もやんちゃだったといいますか……」
「そろそろ話を進めてもよろしくて?」
「あっ、ごめんなさい。ここって階段ですよね? ということは……」
「そうですの。定番中の定番、十三階段ですの」
「十三階段? なんだそれは?」
「青島西棟の屋上に続く階段ですが、階段の数は十二なのに、夜十一時になると十三になるって噂ですの」
「それのどこが怪談なんだ? たかが一段増えるだけじゃねえか」
「その一段に問題があるんですよ、御堂先輩。十三階段は絞首台に続く階段の段数と同じ数ってことで不吉なんです。それに大概、階段を上ってしまうと、戻れないのがセオリーといいますか……」
「どういう理屈だ? とりあえず、確かめてみるか」
「み、御堂先輩! その選択は真っ先に死ぬフラグたちますよ! 悪徳令嬢目指しているんですか!」
「相変わらず騒がしい人ですわね」
「黒井さんまで! もう、破れかぶれです! ついてきます! それ、一、二、三……」
「「……」」
「五、六、七! おしまい!」
「……おい、伊藤」
「なんですか、御堂先輩。まだ、全然上がってないじゃないですか~。あっ、まさか……怖いんですか~~~。ぷぷぷっ!」
「……遺言はそれだけでいいのか?」
「そこじゃありませんわよ、お姉様。伊藤さん、どうして二段飛ばしであがっていますの?」
「おバカさんですね、黒井さんは。これなら、十三にならないでしょ? 学校の階段、敗れたり!」
「……どうでもいいのですけれど、二段飛ばしで七歩であがったら、そこは十三段じゃありませんこと?」
「えっ? 嘘! 十三階段! どういうこと!」
「くっくっくっ、良かったな、伊藤。七不思議を体験できて」
「ここは伊藤さんにお任せ致しましょうか、お姉様。呪われたくありませんし」
「「じゃあな」」
「ちょっと! どうして、後ろに前進していくんすか! 逃げるんですか! 小学生ですか、おたくらは! かむば~~~~く!」
ピンポン!
「愚かにも浅知恵を駆使し、地獄への十三段階段を逃れようとした愚かな生徒、伊藤ほのか。今回は特別な問いを出す。もし、間違えたのなら……」
「ま、間違えたのなら……死んじゃうとかですか?」
「キミが押し入れに隠しているBL本、全てを燃やす」
「この外道!」
「では、階段について問おう。世界で一番長い……」
「一万千六百七十四段!」
「ですが、日本で一番長い石団は何段でしょうか? 正解は三千三百三十三段!」
「引っかけ! ずるい!」
「キミは必死すぎるね。だが、不正解は不正解。契約に従い……」
「そんなことしたら学校燃やしますよ。跡形もなく」
「や、闇が深すぎる……深淵の闇よりも闇黒だ……よ、よかろう、汝の罪を許す。いくがよい!」
「……この後、どうしたらいいの? ん? 足下をよくみると……木の板が……って、これが十三段階段の正体! しょぼ!」
「ちなみにその板は藤堂正道が不良をぶちのめすために使った木の板だから」
「なにやっているんですか、先輩は……」
「何独り言ぬかしてやがる」
「きゃあああああああああ!」
「ああん! うっせえよ! ぶん殴るぞ!」
「暴力反対! ひぃ! 犯される!」
「人聞きの悪いことぬかしてるんじゃねぞ!」
「きゃああ! きゃあああ!」
「はぁ……お姉様、話が進みませんの。伊藤さんも落ち着いてくださいませ」
「えっ、黒井さん? それに御堂先輩?」
「お姉様」
「ちっ!」
(今回のゲストは元『Blue Ruler』のヘッド、御堂優希先輩とその側近の黒井麗子さんみたい。このお二人も同じ風紀委員なんだけど……御堂先輩と黒井さん、朝乃宮先輩が風紀委員に所属していること自体、七不思議なんだけど)
「く、黒井さん達も七不思議の調査?」
「そうですの。全くこの年になって七不思議とか勘弁してほしいですの」
「……黒井さんはこういうオカルトとか否定派なの?」
「否定派というか……一番怖いのは人間だって分かってからは冷めたというか……」
「ああっ、それ分かる! 先輩に鞄一杯の布教用のBL本見つかったとき、無言でずっと無視されたときの恐怖といったら……」
「「……」」
「どったの、黒井さん?」
「お前の頭がお花畑なのに呆れているだけだ」
「御堂先輩は相変わらず超ウブですよね~」
「お前が変態なだけだろうが! 近寄るな!」
「ひどい! こうなったら、御堂先輩にもBLの素晴らしさを……」
「お姉様、伊藤さん。つきましたの」
「ついたって?」
「七不思議のうち一つ、十三段階段ですの」
「ひぃ! おうちに帰るつもりがまた七不思議に遭遇してしまった!」
「ウチに帰るつもりだっただと? てめえ、まさかサボって……」
「いやいやいや! 私、三つ! 三つの怪談を経験しました! 階段なだけに!」
「全然うまくねえ。けど、三つもやってるんならまあいい。もう、帰りな。後は私達がやってやる」
「ううっ……御堂先輩って男気があるよね……でも、一人は怖いから家まで送ってくれませんか?」
「なんで私がお前ん家まで送らなければならねえんだよ」
「そこは可愛い後輩を護ると思って! お願いします! 御堂先輩しか頼れないんですよ!」
「あほ、自分でなんとかしろ……って言いたいが、確かストーカーに襲われたことあったよな? しゃあねえ、麗子。アイツらを呼んでやれ」
「アイツら?」
「舎弟だ。ソイツらに送ってもらえ」
「ううっ……御堂先輩ってやっぱり、面倒見がいいですね……」
「それで? 何人くらい呼びますの?」
「とりあえず、十人くらい呼べばいいだろ?」
「ストップ! なんとなくオチが読めましたので、いいです! 御堂先輩と一緒に行動させてください!」
「んだと、我が儘なヤツだな」
「お願いしますから、フツウに送ってくださいよ~。私、凡人ですよ~」
「青島のジャンヌダルクって呼ばれたお前がか?」
「それを言わないでください……若気の至りっていうか、私もやんちゃだったといいますか……」
「そろそろ話を進めてもよろしくて?」
「あっ、ごめんなさい。ここって階段ですよね? ということは……」
「そうですの。定番中の定番、十三階段ですの」
「十三階段? なんだそれは?」
「青島西棟の屋上に続く階段ですが、階段の数は十二なのに、夜十一時になると十三になるって噂ですの」
「それのどこが怪談なんだ? たかが一段増えるだけじゃねえか」
「その一段に問題があるんですよ、御堂先輩。十三階段は絞首台に続く階段の段数と同じ数ってことで不吉なんです。それに大概、階段を上ってしまうと、戻れないのがセオリーといいますか……」
「どういう理屈だ? とりあえず、確かめてみるか」
「み、御堂先輩! その選択は真っ先に死ぬフラグたちますよ! 悪徳令嬢目指しているんですか!」
「相変わらず騒がしい人ですわね」
「黒井さんまで! もう、破れかぶれです! ついてきます! それ、一、二、三……」
「「……」」
「五、六、七! おしまい!」
「……おい、伊藤」
「なんですか、御堂先輩。まだ、全然上がってないじゃないですか~。あっ、まさか……怖いんですか~~~。ぷぷぷっ!」
「……遺言はそれだけでいいのか?」
「そこじゃありませんわよ、お姉様。伊藤さん、どうして二段飛ばしであがっていますの?」
「おバカさんですね、黒井さんは。これなら、十三にならないでしょ? 学校の階段、敗れたり!」
「……どうでもいいのですけれど、二段飛ばしで七歩であがったら、そこは十三段じゃありませんこと?」
「えっ? 嘘! 十三階段! どういうこと!」
「くっくっくっ、良かったな、伊藤。七不思議を体験できて」
「ここは伊藤さんにお任せ致しましょうか、お姉様。呪われたくありませんし」
「「じゃあな」」
「ちょっと! どうして、後ろに前進していくんすか! 逃げるんですか! 小学生ですか、おたくらは! かむば~~~~く!」
ピンポン!
「愚かにも浅知恵を駆使し、地獄への十三段階段を逃れようとした愚かな生徒、伊藤ほのか。今回は特別な問いを出す。もし、間違えたのなら……」
「ま、間違えたのなら……死んじゃうとかですか?」
「キミが押し入れに隠しているBL本、全てを燃やす」
「この外道!」
「では、階段について問おう。世界で一番長い……」
「一万千六百七十四段!」
「ですが、日本で一番長い石団は何段でしょうか? 正解は三千三百三十三段!」
「引っかけ! ずるい!」
「キミは必死すぎるね。だが、不正解は不正解。契約に従い……」
「そんなことしたら学校燃やしますよ。跡形もなく」
「や、闇が深すぎる……深淵の闇よりも闇黒だ……よ、よかろう、汝の罪を許す。いくがよい!」
「……この後、どうしたらいいの? ん? 足下をよくみると……木の板が……って、これが十三段階段の正体! しょぼ!」
「ちなみにその板は藤堂正道が不良をぶちのめすために使った木の板だから」
「なにやっているんですか、先輩は……」
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