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80:節分

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「ううっ……先輩……寂しいよ……会えなくて……寂しいよ……ぽりぽり……」
「ほのか、豆、食べ過ぎ」
「食べなきゃやってられないの! 今日は節分だし!」
「……ほのか、それ、間違ってるし」
「間違い?」
「今日は節分じゃないし」

「はっ? 節分は二月三日でしょ? 今日じゃない」
「違うわよ、ほのか。今年は二月二日だから」
「どういうこと?」
「公転周期が一年ちょうどでないことは知ってるかい?」
「? ええっと、節分って立春の前日……でしたっけ?」
「そう。けど、地球が太陽の周りを一周するのにかかる時間は三百六十五日と六時間弱。だから、四年に一度、閏年うるうどしで調整しているわけだけど……」
「そっか、六時間『弱』だから……」
「そう、正確には五時間四十八分四十六秒だから、四年で一日追加したら誤差が発生する。その分を計算すると、今年が節分になるわけ。ちなみに二月二日が節分になるのは百二十四年ぶりなんだって」

「す、すごいね……ぽりぽり」
「ほのか……豆食うのやめなよ」
「年の数の倍は食ってるし」
「明日香、知らないの? 節分は年の数プラス一個食べると来年も健康でいられるって意味があるんだよ」
「いや……一個どころじゃないじゃん」
「ねえ、そんなことより……話に割り込んできた彼、誰?」
「イケメンだよね?」
「超イケメンだよね?」

「キミが伊藤ほのかさんだね?」
「そ、そうっすけど……ぽりぽり」
「初めまして。僕の名前は新宮司爽真。よろしく」
「よ、よろしくっす。けど、私に何か用ですか?」
「聞いてない? 僕がキミのパートナーになるって」
「「ぱ、パートナー?」」
「そう、風紀委員のね」
「「「えええええええええええええええ!!!」」」
(ど、どういうこと? もしかして、この爽やか王子様タイプの男の子が私の相棒になるわけ? どういうこと?)
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