藤堂正道と伊藤ほのかのおしゃべり

78:幻の干支

「あけましておめてとうございます」
「今年もよろしくお願いします」
「「……」」
ぺこり。
「いや～、ついに2021年がきましたね。先輩」
「何がついにか分からないが、今年こそ、東京オリンピックが開催されるといいな」

「ですね～。先輩、今年の干支は何か分かりますか？」
「丑うしだな」

「干支の意味は？」
「十二支は、紀元前の中国でつかわれた暦法上の用語だな。十干と十二支を組み合わせた60を周期とし、十干は甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸の十種類、十二支は子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥の十二種類となる」

「『丑』は『牛』じゃダメなの？」
「さっきもいったが、干支は中国の文化で、『丑』は方角を示すものだ。『牛』はそもそも日本語だから違う。丑は元々「からむ」という意味らしいぞ。ただ、牛は三世紀以降に朝鮮から輸入されているから、朝鮮、韓国の言葉から変化したとも言われている」

「十二支の並びってどうやって決まったの？」
「昔の神様が動物たちにお触れをだしたことが始まりだ。その内容は「元日の朝に私の元に新年の挨拶に来なさい。先着十二位までのモノを順位ごとに、それぞれ一年の間、動物の大将にしてやろう」と言ったそうだ。その順位が……」
「干支の並びってわけですね。牛は誰よりも早く、前の晩に出発するんですけど、牛の背中に乗っていたネズミがゴールの門が開いた瞬間、牛を追い越して一位になりました。その次が牛ってわけです」

「ちなみにこのレース、猫もイタチもいたって知っているか？」
「猫は有名ですね。猫はねずみに騙されて十二位に入れなかったから、追いかけ回しているって話があるくらいですし。イタチって何か逸話がありましたっけ？」
「イタチは神様のお触れがきてなかったといって、再戦を申し出たんだ。神様は妥協案として一年で十二日、イタチの日にすると提案してきた。イタチは渋々従ったわけだ」
「イタチの日なんてありましたっけ？」
「月初めだ」
「一日ってことですか？　でも、それだと十二日にならないんじゃあ……」
「違う。毎月の一日目だ。これで十二日だろ？　月初めは『つきたち』と呼ばれていてな……」
「つきたちがイタチの日……つきたちがイタチの日……つきたち……イタチの日……つ……イタチ……ついたち……ダジャレか！」

「そんなわけだ。諸説あるので調べてみてくれ。それでは……」
「今年もぜひ、一読お願いします！」