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73:猛暑

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「暑い……暑いよ……」
「いちいち声に出すな。ほら、水分補給しろ」
「ありがとです、先輩。でも、マジで暑いっすね~。こんな炎天下の中で働いている大人ってホント、すごいっす。あっ、先輩。私が口につけたペットボトル、どうするつもりですか? まさか、間接キスが目的でいつも私に……」

「いや、伊藤用と俺用で二つ用意しているのだが。伊藤が倒れたら、運ぶの面倒だろ?」
「この正直者! ううっ、ツッコんだら頭がクラッときた。今日はもう暑いんで帰りません? ウチでいたほうが熱中症にならなくてすみますし」
「建物の中が安全とは限らないぞ。住宅等の居住場所が一番救急要請時の発生場所だからな」

「直射日光が原因ってわけじゃないんですね~。でもでも、熱中症のピークって七月から八月の初めっぽいらしいですけど、お盆過ぎの今が一番暑いってカンジがするんですけどね。こまめな水分補給が必要だってことで。ちなみに日本で一番暑い日って何℃なんでしょう?」
「41.1℃らしいけどな。体温よりも高いなんてキツいな……」

「ですよね~。こんな日はそうめんが食べたいです。簡単な料理ですし、せ~んぱい。可愛い後輩のために作ってくれません?」
「なぐりたい 夏にそうめん たのむヤツ」
「な、なんすか、その暴言と俳句は! ヒドイ! 許せないっす!」

「伊藤……」
「なんですか? 私、間違った事、言ってませんよ。先輩が悪いです!」
「そうめんはな、ゆでるんだよ」
「んん?」
「このクソ暑いときに熱湯をあつかうとか、全然簡単じゃねえんだよ! お前がつくってみせろ!」
「ぎゃああああああああああああああああああ!」
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