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70:織田ほのか信長の野望 武器
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「……殿、空を見上げてどうかしたのですか?」
「長秀クン……ちょっと、戦のことを考えてたの」
「戦ですか?」
「そう……戦っていっぱい人が死ぬでしょ? 民が死なずにすむにはどうしたらいいのかなって考えたら、強い武器が必要かもって思ったんだ~」
「……殿」
「そんなことをお考えでしたか、殿! ですが、心配無用! この柴田勝家がいるかぎり、合戦に負けることなどござらん! はっははははは!」
((いやいや、稲生の戦いで負けたじゃん))
「この豪快に笑っているお人は新しい仲間の柴田勝家クン。髭面のおじさまではなく、黒髪ワイルド系イケメンで豪快だけど真っ直ぐすぎて、危なっかしい。目を離すと不安だから、つい気になるんだよね」
「おおっ! これが長秀の言う殿の独り言か! それより、武器のことなら勝家にお聞きください! 頭でっかちの長秀よりはいい助言ができますぞ!」
「確かに勝家クンは武器に詳しそうだね。それなら、強い武器ってやっぱり刀かな?」
「刀? ぷっ! くすくす! やはりおなごには戦のいろはすら分かっておらんようだ!」
「……微妙にイラっとくるんですけど。私、勝ったよね?」
「刀など、首取り以外に使うことはござらん」
「そうですね。私も勝家殿と同じ意見です」
「えっ? そうなの? 武士って刀振り回しているってイメージがあるんですけど」
「い、いんめーじぃ?」
「南蛮の言葉ですぞ、勝家殿」
「じゃあ、どんな武器が有効なの?」
「では、柴田勝家が送る戦国時代における死傷させた武器、ザ・トップテン! 今週のトップワンは……」
「いやいや、勝家クン! 言葉! 言葉! 時代背景大事にして! それと、トップテンって十位から発表しないの!」
「遠距離用の武器!」
「大雑把すぎ!」
「殿、落ち着いてください。戦は矢や石といった遠距離武器で過半数は死傷者がでますね」
「石も投げるんだ?」
「ふっ……これだからおなごは」
「ムカぁ!」
「殿、落ち着いて……その次が近距離用の武器で戦いますが、刀よりも槍が主な武器となりますね」
「槍の方が長いから?」
「左様ででございます。足軽の槍の長さは大体二間ほどですな」
「二間? 確か一間が約1.8mくらいだから……3.6メートル? 大きすぎ! 刺せるの、それ!」
「刺す? 殿、勘違いしてるぞ! 足軽の槍は叩くものだ!」
「ええっ~~~! 叩くの? 刺すんじゃなくて? 勝家クン、本気で言ってる?」
「これだからおなごは……二間ある槍を相手に突き刺すことなど、かなり難しいのですぞ」
「そ、そうなんだ……でも、長いからしなるんだよね……威力ってあるのかな?」
「甲冑の上からでも肋骨を折ることが出来ますぞ」
「そ、そんなに! すごいね!」
「威力がありますし、槍は単純な動作で相手を攻撃出来ますから、刀のように使いこなす必要はありません」
「そうなんだね、長秀クン。ためになったよ。ありがとね」
「ははっ!」
「……殿はうつけというよりも……変わっていますな。家来に頭を下げるなど……」
「そうかな? フツウにお礼は言うべきじゃない? 身分とか関係なしに」
「……」
「それより、鉄砲は?」
「鉄砲? ああぁ、あれは役に立たん。矢よりも射程は短いし、何より銭がかかる」
「……確かに、鉄砲は威力があると聞き及びますが、命中率に難があると報告がございます。ここは腕次第だと思いますが、火薬の扱いが難しいので……」
「そうなんだ……それだと、槍の長さを長くしたらいいのかな?」
「槍の長さ?」
「そう。三間の槍を作れば、こっちの槍が先に相手にとどくでしょ? それに槍をすきまもないように突き出して構えると相手は怖がって逃げ出しそうじゃない? そうしたら、戦う必要なくなって死人が出ないし」
「これだからおなごは! 合戦はそんな単純なモノではないぞ!」
「いや、槍の長さを大きくするのは理に適っているかもしれませんぞ。殿の戦法なら、騎馬の突進も圧力がかかるかもしれませんし、試してみるのもありかと」
「そうか~? 俺はそんなことないと思うがな。よし! 今日は酒を交わしながら話し合ってみるか! 勿論、殿も一緒に語り明かしましょうぞ!」
「うん! よろしくね、勝家クン」
「こちらこそ! この柴田勝家。殿の恩義、一生忘れませんぞ! 戦場ではぜひ、俺を頼ってくれ!」
「長秀クン……ちょっと、戦のことを考えてたの」
「戦ですか?」
「そう……戦っていっぱい人が死ぬでしょ? 民が死なずにすむにはどうしたらいいのかなって考えたら、強い武器が必要かもって思ったんだ~」
「……殿」
「そんなことをお考えでしたか、殿! ですが、心配無用! この柴田勝家がいるかぎり、合戦に負けることなどござらん! はっははははは!」
((いやいや、稲生の戦いで負けたじゃん))
「この豪快に笑っているお人は新しい仲間の柴田勝家クン。髭面のおじさまではなく、黒髪ワイルド系イケメンで豪快だけど真っ直ぐすぎて、危なっかしい。目を離すと不安だから、つい気になるんだよね」
「おおっ! これが長秀の言う殿の独り言か! それより、武器のことなら勝家にお聞きください! 頭でっかちの長秀よりはいい助言ができますぞ!」
「確かに勝家クンは武器に詳しそうだね。それなら、強い武器ってやっぱり刀かな?」
「刀? ぷっ! くすくす! やはりおなごには戦のいろはすら分かっておらんようだ!」
「……微妙にイラっとくるんですけど。私、勝ったよね?」
「刀など、首取り以外に使うことはござらん」
「そうですね。私も勝家殿と同じ意見です」
「えっ? そうなの? 武士って刀振り回しているってイメージがあるんですけど」
「い、いんめーじぃ?」
「南蛮の言葉ですぞ、勝家殿」
「じゃあ、どんな武器が有効なの?」
「では、柴田勝家が送る戦国時代における死傷させた武器、ザ・トップテン! 今週のトップワンは……」
「いやいや、勝家クン! 言葉! 言葉! 時代背景大事にして! それと、トップテンって十位から発表しないの!」
「遠距離用の武器!」
「大雑把すぎ!」
「殿、落ち着いてください。戦は矢や石といった遠距離武器で過半数は死傷者がでますね」
「石も投げるんだ?」
「ふっ……これだからおなごは」
「ムカぁ!」
「殿、落ち着いて……その次が近距離用の武器で戦いますが、刀よりも槍が主な武器となりますね」
「槍の方が長いから?」
「左様ででございます。足軽の槍の長さは大体二間ほどですな」
「二間? 確か一間が約1.8mくらいだから……3.6メートル? 大きすぎ! 刺せるの、それ!」
「刺す? 殿、勘違いしてるぞ! 足軽の槍は叩くものだ!」
「ええっ~~~! 叩くの? 刺すんじゃなくて? 勝家クン、本気で言ってる?」
「これだからおなごは……二間ある槍を相手に突き刺すことなど、かなり難しいのですぞ」
「そ、そうなんだ……でも、長いからしなるんだよね……威力ってあるのかな?」
「甲冑の上からでも肋骨を折ることが出来ますぞ」
「そ、そんなに! すごいね!」
「威力がありますし、槍は単純な動作で相手を攻撃出来ますから、刀のように使いこなす必要はありません」
「そうなんだね、長秀クン。ためになったよ。ありがとね」
「ははっ!」
「……殿はうつけというよりも……変わっていますな。家来に頭を下げるなど……」
「そうかな? フツウにお礼は言うべきじゃない? 身分とか関係なしに」
「……」
「それより、鉄砲は?」
「鉄砲? ああぁ、あれは役に立たん。矢よりも射程は短いし、何より銭がかかる」
「……確かに、鉄砲は威力があると聞き及びますが、命中率に難があると報告がございます。ここは腕次第だと思いますが、火薬の扱いが難しいので……」
「そうなんだ……それだと、槍の長さを長くしたらいいのかな?」
「槍の長さ?」
「そう。三間の槍を作れば、こっちの槍が先に相手にとどくでしょ? それに槍をすきまもないように突き出して構えると相手は怖がって逃げ出しそうじゃない? そうしたら、戦う必要なくなって死人が出ないし」
「これだからおなごは! 合戦はそんな単純なモノではないぞ!」
「いや、槍の長さを大きくするのは理に適っているかもしれませんぞ。殿の戦法なら、騎馬の突進も圧力がかかるかもしれませんし、試してみるのもありかと」
「そうか~? 俺はそんなことないと思うがな。よし! 今日は酒を交わしながら話し合ってみるか! 勿論、殿も一緒に語り明かしましょうぞ!」
「うん! よろしくね、勝家クン」
「こちらこそ! この柴田勝家。殿の恩義、一生忘れませんぞ! 戦場ではぜひ、俺を頼ってくれ!」
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