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69:織田ほのか信長の野望 稲生の戦い
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「殿! 此度の戦、おめでとうございます!」
「……ふぅ……なんとか勝てたね。長秀クン、ありがとね。この勝利は長秀クンや利家クン、森クン達優秀な人達がいなかったら、負けてたよね、絶対。あっ、長秀クン、この戦いで亡くなった孫介クン達を厚く弔ってあげてね」
「……」
「長秀クン?」
「いえ、申し訳ございません。殿がそのようにお考えになられていることに驚きで……」
「当たり前じゃん。みんなのおかげで私は生きているんだから。私、無我夢中で戦ったけど、足ひっぱてた気がしたし」
「そんなことありませんぞ! 殿の渾身の一撃が林通具を討ち取ったではありませんか! それに、あの一喝がなければ、我々は負けていました。殿は織田家の当主に相応しい器です。殿こそが織田家の当主であるべきです!」
「あははっ……」
(天の声、サコーンの助言がなかったら、絶対勝てなかったし! ホント、奇跡だよね。あの柴田勝家クンに勝てたのって……しかも、1700対700で勝てるとかマジ信長さんってすごすぎる。それに学校の歴史の授業とか、漫画やアニメの知識じゃあ、知識チートとか無理! メジャーな話ししか教えてくれないし! こんなに大変な戦いがあったなんて知らなかったよ! それに私、人を殺しちゃったんだ……ううっ……)
「殿、信行様をどうするおつもりですか?」
「……」
「殿?」
「……ごめん。ちょっと、考えさせて」
「ははぁ!」
(情けないよね、私。未来のことを知っていたのに、実際に目の前でそれが起こると、足がすくんで動けなくなっちゃう……これが日本の歴史なんだよね……現在と比べると全然違うし、危険だらけ。私、生き残れるのかな?)
「殿」
「ん? どうしたしたの、長秀クン」
「殿は必ず私が御守りします! この命に代えても!」
「おいおい、丹羽。お前だけが殿のために命を張っているわけじゃないだろ? この前田利家! 目の前に立ち塞がる敵を全て討ち果たしてみせますぞ! そこんとこ、よろしく!」
「……ありがとね、長秀クン、利家クン」
(私なんかのために命をかけて護ってくれている人達がいてくれるのに、私はこのまま未来のことを黙っていていいの? サコーンは絶対に言ってはダメだって言ってたけど、これって裏切りだよね? だったら……)
『ダメだよ、伊藤さん。未来のことを言ったら』
(どうして、ダメなんですか、橘先輩!)
『橘ではなくてサコーンだから。おおまかな未来の流れは絶対に変えられないようになっている。それに、伊藤さんがどれだけ弟の信行を助けたいと想っても、必ず彼は死ぬ。これは運命なんだ』
(だったら、私の知識って何の役に立つんですか! 家族一人救えない知識なら持っていても仕方ないじゃないですか!)
『キミに出来るのは、尾張を統一することさ。それがこの戦いで死んでいった者や伊藤さんを信じてついてきている者達に報いる方法だよ』
(分かりました)
『さて、そろそろトレビアといこうか。織田信長はかなり大声の持ち主だってこと。稲生の戦いでも、この大声が記録されているからね』
(それってトレビアなの?)
『じゃあ、首実検の話しをする?』
(首実検? なんですか、それ?)
『その名の通り、敵の首を実際に見て検めて、将兵への褒美を決める作業だよ。今回の戦いは身内だからすぐに検証できるけど、敵同士の戦いだと、武士ではない人の首をはねて水増ししたこともあったらしい』
(ひどぉ! そんな話し、聞きたくなかった! 武士って酷いじゃん!)
『でも、落ち武者狩りしていた人もいるから、どっちもどっちなんだけど』
(世辞辛い世の中っすね。ううっ……報償だし、首実検をやらないっていうのはナシっすよね。はぁ……戦国時代ってホント、厳しい。女の子にはハードモードすぎません?)
『まあ、一番悪いのは世の中が悪いって事で』
「……ふぅ……なんとか勝てたね。長秀クン、ありがとね。この勝利は長秀クンや利家クン、森クン達優秀な人達がいなかったら、負けてたよね、絶対。あっ、長秀クン、この戦いで亡くなった孫介クン達を厚く弔ってあげてね」
「……」
「長秀クン?」
「いえ、申し訳ございません。殿がそのようにお考えになられていることに驚きで……」
「当たり前じゃん。みんなのおかげで私は生きているんだから。私、無我夢中で戦ったけど、足ひっぱてた気がしたし」
「そんなことありませんぞ! 殿の渾身の一撃が林通具を討ち取ったではありませんか! それに、あの一喝がなければ、我々は負けていました。殿は織田家の当主に相応しい器です。殿こそが織田家の当主であるべきです!」
「あははっ……」
(天の声、サコーンの助言がなかったら、絶対勝てなかったし! ホント、奇跡だよね。あの柴田勝家クンに勝てたのって……しかも、1700対700で勝てるとかマジ信長さんってすごすぎる。それに学校の歴史の授業とか、漫画やアニメの知識じゃあ、知識チートとか無理! メジャーな話ししか教えてくれないし! こんなに大変な戦いがあったなんて知らなかったよ! それに私、人を殺しちゃったんだ……ううっ……)
「殿、信行様をどうするおつもりですか?」
「……」
「殿?」
「……ごめん。ちょっと、考えさせて」
「ははぁ!」
(情けないよね、私。未来のことを知っていたのに、実際に目の前でそれが起こると、足がすくんで動けなくなっちゃう……これが日本の歴史なんだよね……現在と比べると全然違うし、危険だらけ。私、生き残れるのかな?)
「殿」
「ん? どうしたしたの、長秀クン」
「殿は必ず私が御守りします! この命に代えても!」
「おいおい、丹羽。お前だけが殿のために命を張っているわけじゃないだろ? この前田利家! 目の前に立ち塞がる敵を全て討ち果たしてみせますぞ! そこんとこ、よろしく!」
「……ありがとね、長秀クン、利家クン」
(私なんかのために命をかけて護ってくれている人達がいてくれるのに、私はこのまま未来のことを黙っていていいの? サコーンは絶対に言ってはダメだって言ってたけど、これって裏切りだよね? だったら……)
『ダメだよ、伊藤さん。未来のことを言ったら』
(どうして、ダメなんですか、橘先輩!)
『橘ではなくてサコーンだから。おおまかな未来の流れは絶対に変えられないようになっている。それに、伊藤さんがどれだけ弟の信行を助けたいと想っても、必ず彼は死ぬ。これは運命なんだ』
(だったら、私の知識って何の役に立つんですか! 家族一人救えない知識なら持っていても仕方ないじゃないですか!)
『キミに出来るのは、尾張を統一することさ。それがこの戦いで死んでいった者や伊藤さんを信じてついてきている者達に報いる方法だよ』
(分かりました)
『さて、そろそろトレビアといこうか。織田信長はかなり大声の持ち主だってこと。稲生の戦いでも、この大声が記録されているからね』
(それってトレビアなの?)
『じゃあ、首実検の話しをする?』
(首実検? なんですか、それ?)
『その名の通り、敵の首を実際に見て検めて、将兵への褒美を決める作業だよ。今回の戦いは身内だからすぐに検証できるけど、敵同士の戦いだと、武士ではない人の首をはねて水増ししたこともあったらしい』
(ひどぉ! そんな話し、聞きたくなかった! 武士って酷いじゃん!)
『でも、落ち武者狩りしていた人もいるから、どっちもどっちなんだけど』
(世辞辛い世の中っすね。ううっ……報償だし、首実検をやらないっていうのはナシっすよね。はぁ……戦国時代ってホント、厳しい。女の子にはハードモードすぎません?)
『まあ、一番悪いのは世の中が悪いって事で』
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