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57:ベツレヘムの星盗難事件 前編
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「We Wish You A Merry Christmas~ We Wish You A Merry Christmas~♪」
「ご機嫌だな、伊藤」
「当たり前じゃないですか。この時期にテンションの上がらない高校生はいないでしょ!」
「いや、俺は別に上がらないのだが。クリスマスまで委員会の仕事とか、疲れるだろ」
「この正直者! もう! 少しは空気を読んでください! ちなみに私達風紀委員は、クリスマスの日に開催される子供会の準備スタッフとしてかり出され、私と先輩はクリスマスツリーに飾りをつけています」
「はいはい。あとは電飾を巻いて完成だ」
「あれ? あそこにあるオーナメントブーツは?」
「……大きすぎるだろ? ツリーに飾ると垂れるし、他の飾りの邪魔になる」
「残念ですね。似合っていると思うんですけど」
「もう少し小さかったら飾れたのにな。このオーナメントブーツは元々お菓子が入っていたものだろう。少し大きすぎたな」
「ですね。あと、ベツレヘムの星は? ツリーのてっぺんについている星のヤツ」
「……それは当日につけることになった」
「なんでですか?」
「……見てみるか? あの箱に入っている」
「結構、しっかりとした箱に入っていますね……って! なんか、凄い! キラキラしてる! これ、金ですか?」
「ゴールデンベツレヘムの星……らしい。公民館の館長が特別に貸してくれたもので時価数千万するんだと」
「すごい! どれどれ……」
「おい! 触るなよ! 壊れたりしたら、大変なことになる! 弁償なんてできないだろ。この星の飾り付けは館長がやることになっているんだ」
「ううっ……触ってみたい……」
「触るなよ」
「……は~い。電飾の飾りつけ、終わらせましょうか」
「そうだな……」
「正道! ちょっと、来て!」
「左近か? わるい、伊藤。少し待ってくれ」
「了解です!」
「左近、今行く!」
「……先輩がいなくなっちゃいました。これはもう、ゴールデンベツレヘムの星を触るしかないですよね~。ゴールドですもんね~。触るなって事は触れって事ですよね~。では、ちょっとだけ……って、あれ? これって……」
「……ありがとう、正道」
「いや、あれだけのジュースとお菓子、運ぶのは大変だろ。俺でよければ、力を貸す」
「ほんと、正道や順平がいてくれると力仕事がはかどるよ。ツリーはどう?」
「もう少しで終わる。見ていくか?」
「そうだね。ゴールデンベツレヘムの星を見ておきたい」
「……なんで子供会のイベントにあんな高価な物を用意するんだか」
「全くだね」
どん!
「あ、すみません」
「いえ……あの、アナタは?」
「僕ですよ、藤堂君。ほら……」
「富岡さんじゃないですか! 市の職員ってサンタのコスプレまでさせられるんですか?」
「悲しき宮仕えだよ。前もって衣装合わせしておこうと思ってさ、着替えたんだ。館長はどこにいるか、知っているかい?」
「いえ」
「そう。なら探してみるよ。あっ、お菓子とジュース、館内に運んでくれてありがとう! クリスマス会、よろしくね!」
「……サンタも大変だね。しかも、派遣されるとか。一瞬、富岡さんの事、泥棒かと思ったよ」
「全くだ。髭をとらなかったら富岡さんだって全然分からなかったぞ。それより、左近。部屋に入ろう。ゴールデンベツレヘムの星を見たら、びっくりするぞ」
「それは楽しみだ。この部屋、結構広いね。ああっ、あれがツリーかい? いいツリーだ。このツリーにゴールデンベツレヘムの星が光り輝くわけね」
「ああっ、この無駄に派手なゴールデン……」
「ん? どったの、正道。真っ青な顔をして?」
「……ない」
「ないって?」
「ああっ、よかった。風紀委員の橘君だね。実は聞きたいことがあるのですが……」
「なんでしょう、館長さん?」
「左近、大変だ! ゴールデンベツレヘムの星がない! なくなってるぞ!」
「な、なんだって!」
「あれ? どうしたんですか、先輩? 橘先輩も難しい顔をして。館長さんも警備員さんも集まっちゃって、何かあったんですか?」
「……伊藤、どこにいっていた?」
「どこって……と……化粧室ですけど。先輩が戻ってこないから暇でしたので」
「本当かね? キミが盗んでどこかに隠してきたのではないか?」
「盗んだ? どういうことですか?」
「伊藤……実はな、ゴールデンベツレヘムの星がなくなったんだ」
「う、嘘でしょ! 盗まれたんですか?」
「だから、そう言っている。キミじゃないかね?」
「ち、違います!」
「やめてください、警備員さん。伊藤がそんなこと、するはずがありません」
「どうかな? 盗まれたゴールデンベツレヘムの星は数千万はする代物だろ? 出来心でつい、盗んだとも考えられる」
「警備員さん、証拠もないのに伊藤さんを犯人扱いは酷くない? 言いがかりだよ」
「左近、落ち着け。とにかく、ゴールデンベツレヘムの星を探してみましょう。あの大きさなら隠してもすぐに見つかるでしょ」
「だといいんだがな」
「……ううっ、先輩。あの警備員、少し怖いです」
「大丈夫だ。伊藤は犯人じゃないんだろ? だったら、俺達が護ってやるから」
「ご機嫌だな、伊藤」
「当たり前じゃないですか。この時期にテンションの上がらない高校生はいないでしょ!」
「いや、俺は別に上がらないのだが。クリスマスまで委員会の仕事とか、疲れるだろ」
「この正直者! もう! 少しは空気を読んでください! ちなみに私達風紀委員は、クリスマスの日に開催される子供会の準備スタッフとしてかり出され、私と先輩はクリスマスツリーに飾りをつけています」
「はいはい。あとは電飾を巻いて完成だ」
「あれ? あそこにあるオーナメントブーツは?」
「……大きすぎるだろ? ツリーに飾ると垂れるし、他の飾りの邪魔になる」
「残念ですね。似合っていると思うんですけど」
「もう少し小さかったら飾れたのにな。このオーナメントブーツは元々お菓子が入っていたものだろう。少し大きすぎたな」
「ですね。あと、ベツレヘムの星は? ツリーのてっぺんについている星のヤツ」
「……それは当日につけることになった」
「なんでですか?」
「……見てみるか? あの箱に入っている」
「結構、しっかりとした箱に入っていますね……って! なんか、凄い! キラキラしてる! これ、金ですか?」
「ゴールデンベツレヘムの星……らしい。公民館の館長が特別に貸してくれたもので時価数千万するんだと」
「すごい! どれどれ……」
「おい! 触るなよ! 壊れたりしたら、大変なことになる! 弁償なんてできないだろ。この星の飾り付けは館長がやることになっているんだ」
「ううっ……触ってみたい……」
「触るなよ」
「……は~い。電飾の飾りつけ、終わらせましょうか」
「そうだな……」
「正道! ちょっと、来て!」
「左近か? わるい、伊藤。少し待ってくれ」
「了解です!」
「左近、今行く!」
「……先輩がいなくなっちゃいました。これはもう、ゴールデンベツレヘムの星を触るしかないですよね~。ゴールドですもんね~。触るなって事は触れって事ですよね~。では、ちょっとだけ……って、あれ? これって……」
「……ありがとう、正道」
「いや、あれだけのジュースとお菓子、運ぶのは大変だろ。俺でよければ、力を貸す」
「ほんと、正道や順平がいてくれると力仕事がはかどるよ。ツリーはどう?」
「もう少しで終わる。見ていくか?」
「そうだね。ゴールデンベツレヘムの星を見ておきたい」
「……なんで子供会のイベントにあんな高価な物を用意するんだか」
「全くだね」
どん!
「あ、すみません」
「いえ……あの、アナタは?」
「僕ですよ、藤堂君。ほら……」
「富岡さんじゃないですか! 市の職員ってサンタのコスプレまでさせられるんですか?」
「悲しき宮仕えだよ。前もって衣装合わせしておこうと思ってさ、着替えたんだ。館長はどこにいるか、知っているかい?」
「いえ」
「そう。なら探してみるよ。あっ、お菓子とジュース、館内に運んでくれてありがとう! クリスマス会、よろしくね!」
「……サンタも大変だね。しかも、派遣されるとか。一瞬、富岡さんの事、泥棒かと思ったよ」
「全くだ。髭をとらなかったら富岡さんだって全然分からなかったぞ。それより、左近。部屋に入ろう。ゴールデンベツレヘムの星を見たら、びっくりするぞ」
「それは楽しみだ。この部屋、結構広いね。ああっ、あれがツリーかい? いいツリーだ。このツリーにゴールデンベツレヘムの星が光り輝くわけね」
「ああっ、この無駄に派手なゴールデン……」
「ん? どったの、正道。真っ青な顔をして?」
「……ない」
「ないって?」
「ああっ、よかった。風紀委員の橘君だね。実は聞きたいことがあるのですが……」
「なんでしょう、館長さん?」
「左近、大変だ! ゴールデンベツレヘムの星がない! なくなってるぞ!」
「な、なんだって!」
「あれ? どうしたんですか、先輩? 橘先輩も難しい顔をして。館長さんも警備員さんも集まっちゃって、何かあったんですか?」
「……伊藤、どこにいっていた?」
「どこって……と……化粧室ですけど。先輩が戻ってこないから暇でしたので」
「本当かね? キミが盗んでどこかに隠してきたのではないか?」
「盗んだ? どういうことですか?」
「伊藤……実はな、ゴールデンベツレヘムの星がなくなったんだ」
「う、嘘でしょ! 盗まれたんですか?」
「だから、そう言っている。キミじゃないかね?」
「ち、違います!」
「やめてください、警備員さん。伊藤がそんなこと、するはずがありません」
「どうかな? 盗まれたゴールデンベツレヘムの星は数千万はする代物だろ? 出来心でつい、盗んだとも考えられる」
「警備員さん、証拠もないのに伊藤さんを犯人扱いは酷くない? 言いがかりだよ」
「左近、落ち着け。とにかく、ゴールデンベツレヘムの星を探してみましょう。あの大きさなら隠してもすぐに見つかるでしょ」
「だといいんだがな」
「……ううっ、先輩。あの警備員、少し怖いです」
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